よみがえる2000年前のレシピ、中国・前漢時代の墓から出土した竹札や木札に調理法記載
中国湖南省にある2000年前の前漢時代の墓から食べ物の調理法が記載された竹札や木札が出土。当時のレシピは煮る、焼く、ゆでるなど多岐にわたっていた。
中国湖南省懐化市沅陵県にある湖南虎渓山1号漢墓出土の簡牘(かんどく、文字を記した竹札や木札)「食方」に当時の食べ物の調理法が記載されていた、と国営メディアが報じた。2000年前の前漢時代のレシピには煮る、焼く、ゆでるなど多くがあり、現代人が好きな牛肉や羊肉の串焼きも含まれていた。
AFP通信が紹介した国営新華社通信の記事によると、墓の被葬者は初代沅陵侯の呉陽(ご・よう)で、1999年の発掘調査で出土した簡牘1300枚余りのうち、各種料理の調理方法を記したものが300枚余り、約2000字あり、研究者からレシピを意味する「食方」と呼ばれるようになった。長い期間地中に埋まっていたため腐朽が進んでいたが、修復作業により文字を判読できるようになった。
湖南省文物考古研究院の張春竜研究員によると「食方」に記載された食材は穀物のほか、馬や牛、羊、鹿、ニワトリなどの動物性食材、塩や酢、酒、肉用ソースといった調味料などがあり、動物の解体や食材処理、調味料の使い方、盛り付けに至る漢代貴族の食へのこだわりが反映されていた。
同研究院で簡牘整理を担当する楊先雲さんは「古代の貴族の食文化の中で、米炊きはかなり工夫がこらされていた」と説明。「食方」の数枚には主食の調理が記されており、現代文でのおおかたの意味は次のようになる。
「米を汁が透明になるまでとぎ、水を切った後にしばらく置く。底の米を蒸したら、ひっくり返してもう一度蒸す。蒸し終わった米を取り出し、鉢の中央か布巾の上に置き、うちわであおいで湯気を飛ばす。水を加えた後に底と表をもう一度ずつ蒸す」。
楊さんは「きれいに米をとぎ、何度も蒸すのは食感を良くするためで、前漢の貴族のこだわりが見て取れる」と指摘。こだわりは衛生面にも向けられ、「毛を取る」「水をかける」「あくを取る」「皮と腸を取る」などの言葉が見られるという。
食材処理の「小技」も記されていた。楊さんによると、ブタの毛を取り除くにはまず火で焼き、燃え残った毛を手で引き抜く。ニワトリの場合は熱湯を使った。
「茱茰(シュユ)」や「木闌(モクラン)」などの辛味調味料も頻繁に登場。辛い物が好む湖南の人々の食習慣をうかがわせた。楊さんは「『食方』は前漢初期のさまざまな食品の加工方法を詳細に記録している。王侯貴族の食習慣を直接的に反映し、古代の食物調理方法に関する記録の空白を埋めた」と語った。(編集/日向)
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