北朝鮮の女子高生が「骨と皮だけ」にされた禁断の行為
韓国政府は最近、脱北者500人余りの証言を基に作成した2023年版の北朝鮮人権報告書を公開した。
同政府は北朝鮮人権法が制定された翌年の17年から同報告書を毎年発刊していたが、これまでは非公開だった。その理由については表向き「脱北者の個人情報漏えいの恐れや北朝鮮の反発を考慮したため」とされているが、北朝鮮との融和を掲げた文在寅前政権(2017~22年)が、金正恩総書記に忖度したためだろう。
報告書は、北朝鮮の老若男女が様々な暴力にさらされている実態を明らかにしているが、未成年に対しても容赦なく死刑判決が下されている事実は注目される。例えば2015年に東部の元山で16~17歳の青少年6人が韓国の映像を視聴し、アヘンを使用したとして死刑を宣告され、すぐさま銃殺されたという。
こうした未成年者に対する過酷な処罰は、現在も行われている。また刑罰だけでなく、取り調べの過程も残酷だ。
デイリーNK内部情報筋によると、南浦(ナムポ)市の臥牛島(ワウド)の閘門(カンムン)第1高等中学校の少年会館で2年ほど前、2年生の女子生徒をはじめ男女6人に対する公開裁判が行われた。容疑は、「韓国映画を見た」というものだった。
手錠をはめられた状態で壇上に引き立てられてきた6人は、両親、同級生が見守る中で裁判にかけられた。情報筋によれば、「顔は骨と皮だけにやつれ、フラフラで立っているのがやっとだった」。非常に厳しい取り調べ、つまり拷問を受けた様子がありありと見て取れたということだ。
通常、未成年の場合は罪を犯しても、少年教養所(少年院)で1年間の労働教養を受けることになっているが、今回の6人に対しては、5年の労働教化刑が下された。つまり、成人同様に、教化所(刑務所)送りになるということだ。
2020年12月4日の最高人民会議常任委員会第14期第12回総会で採択された「反動的思想文化排撃法」は27条で、「傀儡(韓国)の映画や録画物、編集物、図書、歌、絵、写真などを見たり聞いたり、保管した者、または傀儡の歌、絵、写真、図案などを流入、流布した者は、5年以上10年以下の労働教化刑に処す」と定めている。同法に関しては、未成年であっても成人と同じ量刑が課され得るということだ。
青少年は流行に敏感であるだけに、同法に引っかかって摘発される事例も多い。北朝鮮当局もそのことに危機感を抱き、一部で適用を緩和しているとされるが、その対象は有力者の子どもたちに限られている可能性もある。
だが、北朝鮮も日韓などと同様、少子化が進行している。そんな中でこうした無茶苦茶な取締りを行うのは、自ら国を亡ぼす行為に等しいと言えるだろう。
Copyright(C)DailyNKJapan 2014
「北朝鮮」をもっと詳しく
「北朝鮮」のニュース
-
金正恩氏、党中央委員会政治局会議を司会…総会招集を決定5月25日19時15分
-
「聞くだけでゾッとする」金正恩がこよなく愛する“粛清劇の主題歌”5月25日12時1分
-
韓国統一相、歴代政権で初めて拉致現場へ…横田めぐみさん元夫被害の場所に5月25日8時17分
-
北朝鮮、6月に党重要会議 上半期総括、昨年12月以来5月25日7時14分
-
日中韓「朝鮮半島の完全な非核化目標」…首脳会談の共同宣言原案、北朝鮮の核・ミサイル開発念頭5月25日5時0分
-
「誰も使おうとしない」金正恩の通貨が“紙くず”になる日5月25日4時2分
-
「NO金正恩」示す「Nを刻め」 北朝鮮反体制派がネットに投稿5月24日20時20分
-
北朝鮮、軍事衛星打ち上げ準備の兆候 韓国が指摘5月24日19時40分
-
韓国拉致家族「再会願う」 現場にモニュメント設置5月24日18時32分
-
北朝鮮が軍事偵察衛星の発射準備か…韓国軍関係者「推定される状況確認」、米韓が動向監視5月24日18時27分