アルピーヌ、F1チーム売却のうわさを否定。大不振のなか、A524の改善に取り組み、2026年新規則への準備も進行中
アルピーヌF1は、親会社ルノーがチームを売却することを検討しているという報道を否定した。今シーズン序盤4戦で、アルピーヌはノーポイントにとどまり、コンストラクターズ選手権最下位に沈んでいる。
今季ここまでのベストリザルトは13位、日本GPではシーズン初の大規模な空力アップグレードを導入したが、リザルト的に大きな変化は見られず、予選ではエステバン・オコンがQ2に進出するも15番手、ピエール・ガスリーは17番手だった。ガスリーは今季ここまで、一度もQ1を突破していない。
こうした状況のなか、最近、イギリスの一部メディアが、アルピーヌがF1から退くのではないかと報じた。
日本GPの週末にささやかれていたうわさは、ルノーのCEOルカ・デメオはオーストラリアGPでチームの不振を目の当たりにした後、活動を取りやめることを考え、本社が持つチームの過半数株式の取得を希望する投資家からのオファーを前向きに検討することにしたというものだった。
そのうわさによると、ルノーは売却後もエンストンとビリー−シャティヨンの両ファクトリーが稼働を続け、従業員が職を失わず、ルノーの名称がF1に残り続けることを希望しており、株式売却の条件のひとつとして、新オーナーが2030年末までルノーのパワーユニット(PU)を使用することを求めているのだという。
ルノーは、1987年と1988年の短い期間を除いて、1977年のイギリスGP以来、F1チームのオーナーあるいはエンジンサプライヤーとして、F1に関与してきた。F1に関与することで企業が得るイメージ上のメリットは非常に大きく、デメオCEOはそのステータスは維持したいと考えているというわけだ。
しかし今週、こういったチーム売却にまつわるうわさを、アルピーヌの広報担当者が公式に否定した。ただ、それ以前から、ルノーがアルピーヌF1チームの売却を考えているという情報の信ぴょう性を疑う者は多かった。
その理由はいくつかある。まず第一に、アルピーヌは現在、A524の改善のために、積極的かつ挑戦的な開発プログラムを実施中で、F1活動にこれまで同様、集中して取り組んでいる。エミリア・ロマーニャGPで新しい空力パッケージが導入され、大幅な軽量化が図られる計画で、サマーブレイク前にさらなるアップデートも予定されている。
また、2026年の新テクニカルレギュレーション下でのシャシー設計に関する初期作業がすでにスタートしており、専任のエンジニアグループがこのプログラムに取り組み、フランスのファクトリーでは次世代パワーユニットの設計と開発の作業が全力で進められている。
さらに、上層部の体制変更がまもなく完了する予定で、主要な役割のために数十人のエンジニアや技術者の雇用を進めている。チームの売却が予定されているのであれば、このような動きはないものと思われる。
そして、ルノーが所有するチームの株式は76パーセントであり、残りを他の投資家たちが所有していることも、チーム売却を難しくする可能性がある。2023年に、チームの24パーセントの株式が、オトロ・キャピタル、レッドバード・キャピタル・パートナーズ、マキシマム・エフォート・インベストメンツから成る投資グループに売却された。
その投資家のメンバーには、ライアン・レイノルズ、ロブ・マケルヘニー、マイケル・B・ジョーダン、ロリー・マキロイ、パトリック・マホームズ、トラヴィス・ケルス、アンソニー・ジョシュアなど、アメリカの著名な俳優やスポーツ選手が含まれている。チームの売却には彼らの同意が必要であり、買収に過度の費用がかかる可能性があることが、チーム取得を希望する者にとってのハードルになるかもしれない。
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