ルクレールとベッテルの違い過ぎるドライビングスタイルが、マシン開発の問題に発展か
F1第3戦中国GPでは、フェラーリのチームオーダーが物議を醸した。コース上で激しく火花を散らすセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールは、同時にマシンセットアップのアプローチにおいても、かなりの違いが見られる。今後はそれが、フェラーリの新たな火種となりそうである。
ベッテルは前戦のレース終了後、「チームは早急に、SF90の開発の方向性を決める必要がある」とコメント。「そうでないと開幕3戦で見られたパフォーマンスの激しい上下に、また見舞われることになる」と、危機感を隠さなかった。
「今季のSF90が、優れたマシンであることは間違いない。車体に根本的な問題などないことも確かだ。なのに僕らはその性能を100%引き出すウィンドウに、依然として入れずにいる。特に僕の場合、バルセロナで最初にテストした時の感触が、なかなか再現できないんだ」
「もちろん序盤3戦のサーキットはそれぞれまったくコース特性が違っていたし、週末のコンディションもそれぞれだった。とはいえ3戦のデータを解析するうちに、何が問題だったのか、特にレース本番でどうすべきだったのかが、少しずつ見えてきた。5月からのヨーロッパラウンドを控えて、どの方向に進むべきかを早急に決める必要がある」
SF90に関しては、特にベッテルがその挙動に不満を募らせているといわれる。ベッテルは本来、安定したリヤが好みである。コーナー立ち上がりですばやくスロットルを開けて行くのが、彼のドライビングスタイルだからだ。そのため、その方向での変更を強く望んでいる。しかしルクレールは、そうではない。
「バルセロナでのウィンターテストの時から、僕とセブとはかなり違うドライビングスタイルなのがわかった。なので当然セッティングも、違った方向で進めている。具体的な内容には触れないけど、同じクルマじゃないことは確かだね」
そして当然ながらふたりのドライバーはチームに対し、自分好みの方向での開発を要求している。それで思い出されるのが、2014年のレッドブルである。この年、ブロウン・ディフューザーが禁止されたことに対し、ダニエル・リカルドがいち早く順応したのに対し、ベッテルはずっと苦しみ続けた。その結果、ベッテルは移籍してきたばかりのチームメイトを突き放すことができず、突然のフェラーリ移籍へと繋がっていったのだ。
今年のフェラーリにしても、ふたりのドライバーの両方を満足させる方向性は不可能と思われる。だとすればマッティア・ビノット代表はコース上のチームオーダーだけでなく、開発の方向性に関してもどちらのドライバーを優先するか、遠からず決断を迫られることになるだろう。
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