良かれと思った行動が、実は相手を苛立たせていた!?「精一杯ほめたのに反応が悪い・ありがとうの一言がなくてがっかり」すれ違いが生まれる理由とは
2024年5月1日(水)12時30分 婦人公論.jp
今回は、なぜ人間関係で不平不満が生まれるのかです(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
誰かの言動にモヤっとすることはありませんか?人間関係研究家の稲葉真由美さんいわく、「嫌なヤツ、あの人とは合わない」と思っていた相手でも「受け止め方」を変えるだけで、その見え方は180度変わるとのこと。今回は、なぜ人間関係で不平不満が生まれるのか、その原因をご紹介します。
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その言葉、ちゃんと伝わってる?
Aさんが上司に頼まれた資料を作って、提出しました。
上司は「おお! すごいじゃないか!」とAさんを精一杯ほめます。
でも、Aさんは喜ぶどころか不服な顔をしています。
なぜAさんが喜ばないのか、その理由がわかりますか?
人は、自分が言われて嬉しい言葉を相手にかけます。
あなたにとってのほめ言葉はなんでしょうか?
「すごいね!」と大げさに言われることが嬉しい人は、相手をほめるときにも「すごいね!」と言い、「ありがとう」と言われることが嬉しい人は、相手をほめるときにも「ありがとう」と言います。
誰でも、自分が言われて嬉しい言葉は、相手にとっても嬉しい言葉だと思い込んでいるものです。
「思い込み」と言い切れるのは、相手から想定通りの反応をもらえることはあまりないから。上司が「喜ぶだろう」と思い込んでかけた言葉も、Aさんにはほめ言葉として受け取ってもらえなかったのです。
あなたにも、相手に言葉がうまく伝わらなかったり、相手の言葉があまり理解できなかったりして、悩むことがあるでしょう。
自分と相手の価値観は同じだと思い込んでいる
たとえば、こんな経験はありませんか?
精一杯ほめたのに反応が悪くて損をした
「適当にやって」と上司の指示がわかりづらくて困った
「ありがとう」の一言がなくてがっかりした
ちょっとしたことだけど、期待通りの言葉や反応をくれない相手に不満を抱いてしまう。そんなことが日常にはたくさんありますよね。
人間関係の中で不平不満が湧き起こるとき、実は原因は相手の性格にあるのではなく、自分と相手は「同じ」だという思い込みにあることが多いのです。
さきほどの例でモヤッとするのは、
「大げさにほめられたら、誰でも嬉しいでしょ」
「仕事は細かく指示されたほうが進めやすいはずだ」
「こまめに『ありがとう』を言うのが当たり前だよね」
こんなふうに自分と相手の価値観は同じだと思い込んで、コミュニケーションをとってしまっているからなんですね。
相手の性格は変えられないから…
かつての私も、そう思い込んでいました。
私にとっては嬉しい「すごい!」というほめ言葉。それを周囲の人に積極的にかけていたら、当時の部下から「何がすごいのかわからない。テキトーに見ている言葉にしか聞こえない」と言われ、私は頭が真っ白になりました。
「こんなにほめてきたのに、まったく伝わっていなかった」
私にとってはポジティブな言葉が、相手にとってはネガティブな意味を与えていたことに初めて気づいたのです。そのときすでに、多くの部下が私から離れてしまっていました。
そして自分の思い込みに気づいた私は、「このままではいけない」と、やり方を変えることを決意。ほめ言葉の違いや仕事の進め方の違いなど、さまざまな点からコミュニケーションを研究し始めました。
それから16年間、多くの人を調査した結果、人の性格は大きく4タイプに分けられ、それぞれコミュニケーションの取り方が違うことが体系的に見出されたのです。
「性格統計学」と名づけたその理論では、自分の性格だけでなく、相手の性格までわかり、お互いの違いを知ることができます。
違いを知ることで、相手の性格は変えられなくても、自分の中で相手の受け止め方を変えることができるのです。
たとえば、「すごい!」がほめ言葉と受け取れない人は、具体的に評価されることが嬉しいタイプ。
「お風呂をピカピカにしてくれて、すごいね!」と言われるよりも、「浴槽だけじゃなくて、窓まで拭いてくれたんだね。細かいところまでよくやってくれたね」と具体的に評価することでほめられたと感じます。
冒頭のAさんも、「すごい!」とほめられただけでは、どこのことを言っているのかわからず、「ちゃんと見てくれていない」と思い込んでしまっていたのですね。
「なんでそうなるの!?」を減らすために
それがわかっていれば、「ほめたのに無愛想で嫌なヤツ」ではなく、「具体的にほめてほしかったんだな」と相手の受け止め方が180度変わるのです。そして次からかける言葉も変わり、人間関係もよくなっていくでしょう。
生きていると、いろいろな人と出会います。
威圧的な態度をとる人、しつこい人、わがままな人、やる気がない人、冷たい人、重たい人……。
誰かに対して「なんでそうなるの!?」と思うことなんて毎日起こります。
でももしそれが、あなたの思い込みによるものだったら?
気づいていない相手の本音が隠れていたら?
相手の言葉の意味がわかれば、イラッとしたり、傷ついたり、悶々とすることも減っていきます。
自分の中の受け止め方を変えるだけで、人間関係のストレスは激減するのです。
相手の言葉の意味がわかれば、イラッとしたり、傷ついたり、悶々とすることも減っていく(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
※本稿は、『性格が合わないんじゃなくて話がかみ合っていないから』(WAVE出版)の一部を再編集したものです