【津川哲夫の私的F1メカ】エンジニアリングの常識を越えたマクラーレンMCL33の複雑怪奇なリヤ足回り
今シーズンのF1マシンのトレンドで、不可解な部分がもっとも多いのがリヤサスペンションだ。と言っても、サスペンション機構そのものではなく、アップライトとサスペンションアームに不思議な部分が見られるのだ。
この写真はマクラーレンMCL33の右リヤサスペンションアームを後ろから見たもの。
アッパーアームのピボットは思い切り車体中心側に入り込んでいて、アップライト本体から実に遠い位置にある。ロワアームのアップライト側のピボットは見えないが、トラックロッドのピボットが見えるので、ほぼ同じ高さで前方に設置されているはずだ。
そして、アッパーアームとロワアームの長さが極端に違うのがわかる。面白いのはZ字型のエクステンションブラケット。おそらくアルミニウム合金の3Dプリンター加工で製造されたアップライトの本体にボルトオンされているのだろう。
エクステンションブラケット自体はチタニウム製の加工品のようで、ティーザースと言われるホイール脱落防止縄をこのブラケット内部の空間に引き入れている。
エクステンションブラケットのアームピボット直後に、プルロッドピボットがかなりの角度を持って設けられている。ここにプルロッドを引っ張る負荷がかかるのだが、あくまでも老婆心としてだが、アップライトにマウントされたエクステンションブラケットのホイール側にはかなりの応力がかかりそうな気がしてしまう。
リヤサスペンションは大きなストロークを取るのが今シーズンのトレンド。したがって、サスペンションは比較的柔らかいので、この手のエクステンションブラケットでも充分に耐えられるのかもしれない。
しかし、とにかく形状が複雑化してその狙いが不可解なMCL33のリヤサスペンション。2018年シーズンのF1エンジニアリングはもはやエンジニアリングの一般常識から大きく離れたところにまで行ってしまったようだ。
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