チーム内争いは“贅沢な問題”だとレッドブルF1代表。重要なのは「ドライバーを疑心暗鬼に陥らせずに平等に扱う」こと
レッドブルF1のチーム内におけるマックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレスの間のタイトル争いは、今後極度の緊張を生み出す可能性があるが、クリスチャン・ホーナー代表は、このライバル関係を“贅沢な問題”と捉えている。
2023年シーズンのF1は5戦が終わったところだが、レッドブルがチャンピオンシップを制する力はすでに鋼のように強力になっている。これもRB19がライバルたちに対して揺るぎない優位性を誇っているためだ。今年これまでに3勝を上げたフェルスタッペンは、現在3勝を挙げタイトル争いにおいてペレスに14ポイント差をつけて首位に立っている。一方ペレスはサウジアラビアとアゼルバイジャンで優勝を飾った。
レッドブルの覇権を考えると、シーズン全体を通してふたりのドライバーの間で激戦が繰り広げられることを、すべての兆候が示している。しかしレースが進むごとに、チーム内の健全な競争の促進と有害な対立の防止の間で微妙なバランスを取るという、ホーナーにとっては絶え間のない綱渡りのような状況になる危険性がある。
メルセデスF1のチーム代表であるトト・ウォルフはライバル関係を導き、エゴに対処するという根気のいる仕事を熟知しているが、ホーナーは“トリッキーな仕事”を抱えていると考えている。
「私の過去の経験から言えることだが、クリスチャンとチームにとって非常に難しい仕事だろう」とウォルフは、メルセデスにおけるルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの間の熾烈なライバル関係について言及した。
「もちろんドライバーはふたりとも、常に公平かつ平等に扱われていると感じようとするが、同時にアドバンテージも得ようとするからだ」
「我々のチームでは透明性と明確さをはっきりと維持し、日曜日に実際にレースをする前に話し合いをすることが重要だったと思う。境界線を引くのだ」
「そして最終的には、ニコとルイスのふたりのドライバーはチームの意見を尊重してくれたが、彼らの間に争いがあることを我々は認識していた」
「時間をさかのぼってみると、特に2016年には違うやり方をしたかもしれないと思うことがいくつかある。ふたりのドライバーを受け入れて適切なバランスを取ることは、タイトルを賭けてレースをすることだ。それは同じガレージ内でのことになる」
「それと同時に、彼らはより大きな組織の一部だ。これはいつも簡単にはいかないと思う。彼らは非常に競争心の強い動物だからだ」
調和した雰囲気を維持しながら、公平な扱いと平等なチャンスをふたりのドライバーに確保するということは、複雑な課題になり得る。しかしホーナーは、それがチーム内部の戦いを乗り越える鍵になるだろうだと考えている。
「我々はトトが言っていることをすべて実行するが、もう少しうまくやるだろう!」とホーナーは冗談めかして語った。
「まず、これは贅沢な問題だと思う。ピットレーンのチーム代表は誰であれ同じ問題を抱えたいと願っているだろう。それにこの状況は以前にも経験したことだ」
「トトが言っていたように、最も重要なことはふたりのドライバーを疑心暗鬼に陥らせずに、平等に扱うようにすることだ。平等を実現するには、毎週末にどちらのドライバーが先にガレージを出るかというレベルまで苦労が伴う。交互に行うようにするのだ。報告会でどちらが先に話すかということまで交互に決める」
「しかしこれはF1レースであり、セーフティカーやピットストップなど何かが起きることもある。このスポーツのあらゆる側面をコントロールすることはできない。不確定要素があるものだ」
「また、ドライバーが平等なチャンスを与えられていると考えている以上は、最終的にはコース上で彼らがやることにかかっている。たとえば信頼性によるのではなく、全力の戦いが行われることを望む。自チームのふたりのドライバーがタイトル争いをするなかで、重要な役割を果たすのならね」
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