自身9度目のポール獲得でシーズン2勝目へまい進する琢磨「逃げる展開にはならないけどレースは楽しみ」
連戦の続くNTTインディカー・シリーズ。テキサス・モータースピードウェイの第9戦で佐藤琢磨が今季2度目のポールポジションを獲得した。第3戦アラバマに続く2度目のポールで、自身通算9度目のポールポジションとなる。
先週のデトロイトではレース2で3位入賞を逃してしまい、インディ500、デトロイト・レース1に続く3戦連続3位入賞はならなかったが、今年の琢磨は良い波に乗れている。
インディ500に続き今季2戦目となるテキサスだが、ハイスピードでバンクの深いトラックで1周は1.5マイル。平均アベレージは220mphとインディアナポリス並みに速い。
今年は木曜日の夕方に最初のプラクティスが2時間設けられた。レース時間に合わせた時間帯をあえて設定しつつ、このプラクティスではファイアストンからの指示で2種類のタイヤを全チームで試すことになっていた。
琢磨はプラクティス開始から好調ですぐに215mphを突破していた。そして10周目にはベストラップとなる219.262mphを出している。その後も決勝に向けてセッティングに余念がなかったが、開始から40分を過ぎた頃にテキサスに大雨が降り、セッションはもちろん中断となり、マシンとチームはガレージに引き上げることになった。
その後スコット・ディクソンが琢磨のタイムを上回っていたが、琢磨は初日のプラクティスを2番手で終える。
「もっと走りたかったですよね。タイヤは1種類しか試せなかったし。でも走り出しとしては良かった。いいフィーリングで走れていました。もっと走ってチェックしたいこともあったんですが……」と残念そう。
翌金曜日は予選日で日中に1時間30分のプラクティスと予選が行われる。
プラクティス2でも琢磨のスピードは衰えなかった。決勝のセッティングから入り、最後は予選のシミュレーションを3回こなし、220.974mphでまたもや2番手となる。トップはルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)。
「このセッションは良かったと思います。気温の暑い昼間でもペースを落とすことなく走れたし、予選シミュレーションも3回できたし。これなら予選も楽しみ」と笑顔がこぼれた。
■順調な流れで予選アタックへ
注目の予選は今年のオーバルレースでは、インディ500をのぞきポイントランキングの下位のドライバーからのアテンプトとなる。したがって琢磨は後ろから5番目のアテンプト。
日が出たり陰ったりというコンディションだったが大勢に影響はない。18番目のアテンプトとなる琢磨の前までではデイル・コイン・レーシングのセバスチャン・ブルデーがベストタイムだった。
予選計測2周のアタックを、琢磨は1周目23.5173秒、2周目を23.5565秒とまとめ上げて、その時点のベストタイムをマークした。その後のスコット・ディクソン、アレクサンダー・ロッシ、シモン・パジェノー、そしてジョゼフ・ニューガーデンと誰も琢磨のタイムを上回ることができなかった。
ニューガーデンが走り終えるとポールポジションが決定した琢磨。喜んでガッツポーズを見せた。
「今日のポールはうれしいですね。チームが良いクルマを作ってくれたおかげだと思います。実を言うとグラハム(レイホール)とほぼ同じようなセッティングだったので、グラハムのタイムを見て、ちょっとまずいかな?とは思っていました」
「ですがグラハムも自分のアテンプトが終わった後、教えに来てくれて彼のおかげでクルマどうなりそうかイメージできてからスタートすることができました」
「明日のレースですが、まだタイヤのフィーリングがどうなるのかわかりません。クルマはダウンフォースが増えていますし、昨年のようにまったく抜けないような展開にはならないと思いますが、レースは逃げる展開にはならないでしょう」
「ニュータイヤからしばらくするとグリップも落ちてくるので、アクセルを戻してターンするようになると思います。でもこのコースでは、前からスタートできるのはうれしいですよね。真ん中だと変なクラッシュに巻き込まれることもあるし。レースは楽しみにしたいと思います」
もう琢磨がポールを取っても、表彰台でも、優勝しても、誰も驚かなくなってしまった。もちろんそれはうれしい事ではあるのだが、成績が安定して来ている証拠でもある。
今季2勝目に限りなく近いポジションからスタートする明日のレースが楽しみだ。
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