【ライターコラムfrom福岡】“その日”のために準備する、4人のゴールキーパー
サッカーキング2018年6月9日(土)17時45分
今季、福岡には神山(左)、圍(中左)、杉山(中右)、山ノ井(右)と4人のGKがしのぎを削っている [写真]=J.LEAGUE
ひとつのポジションを勝ち得るために、ゴールキーパーは常に最高の準備をして“その日”を待つ。
アビスパ福岡には4人のゴールキーパーが在籍する。福岡一筋16年目、J1&J2リーグ戦通算242試合でアビスパのゴールを守り続けてきたベテラン33歳の神山竜一。福岡に移籍した昨季は、脳震とうと目の負傷で離脱する時期はあったものの、30試合に出場して正GKの座を勝ち取った30歳の杉山力裕。今季セレッソ大阪から期限付きで加入した26歳の圍謙太朗。そしてプロ2年目で負けん気の強い若手GK、山ノ井拓己だ。
今季の開幕戦は前年に引き続き、杉山力裕が先発した。開幕から第9節までゴールマウスを守り、計10失点。チーム目標である“1試合1失点以下”は達成できていないが、身体能力の高さと持ち味のコーチングでチームを支えてきた。第9節は好調のレノファ山口FC相手に無失点勝利。誰もが予想していなかったが、そのタイミングで、第10節ジェフユナイテッド千葉戦に圍が先発した。
「(第10節は)相手が高さのある千葉ということで、セットプレーの脅威もあり、高さへの対策と、ハイラインの千葉DF背後を狙うため」。井原正巳監督は、試合後の会見で、GK交代の意図をそう語った。実際その試合は、多彩なキックを持つ圍のロングフィードが千葉に効果的で、キーパーから攻撃のチャンスを何度も作っていた。試合は3-1で勝利し、福岡は今季初の連勝を飾った。
「いつ(出番が)来てもいい準備を常にしていた。やっときた、という気持ちだった」。千葉戦の2日前に先発を告げられた圍は、そのとき、そう感じたと話してくれた。そして「(千葉戦の前まで)3戦負けなしだから、責任を持ってプレーしてくれと、そのとき監督に言われました。誰かのミスで負けたとしても、その試合で負ければ自分の責任。ただ、結果を出せば人生が変わるかもしれないチャンスでもある。いつも以上のことはできないので、積み重ねてきたことをいつも通りにやろうと思って臨みました」と続けた。その後、圍は第10節から前節の徳島ヴォルティス戦まで7試合に先発し、チームはその間4勝1敗2分、6失点、J2リーグ2位に浮上と結果を残している。
そして6日の天皇杯2回戦、ゴールキーパーに若手の山ノ井拓己が先発した。プロ2年目でリーグ戦の出場経験はないが、今季は1試合にベンチ入り。「シーズン初めの頃、圍さんと『レギュラー争いしような』って言ってたんです。圍さんが本当にレギュラーの座につくのを目の当たりにして、自分も続かなきゃって思いますよ。最大限の努力をして準備していました」。ギラギラした目で、山ノ井はそう話した。
鹿児島ユナイテッドFCとの天皇杯2回戦は、1-0で福岡が勝利した。無失点という結果に、試合後は少し安堵の表情を見せながら、山ノ井は「次の天皇杯3回戦はJ1の札幌と対戦。J1チームとの対戦でも出してもらえるように、また努力します」と語った。その顔はとても凛々しく、頼もしかった。
文=新甫條利子
アビスパ福岡には4人のゴールキーパーが在籍する。福岡一筋16年目、J1&J2リーグ戦通算242試合でアビスパのゴールを守り続けてきたベテラン33歳の神山竜一。福岡に移籍した昨季は、脳震とうと目の負傷で離脱する時期はあったものの、30試合に出場して正GKの座を勝ち取った30歳の杉山力裕。今季セレッソ大阪から期限付きで加入した26歳の圍謙太朗。そしてプロ2年目で負けん気の強い若手GK、山ノ井拓己だ。
今季の開幕戦は前年に引き続き、杉山力裕が先発した。開幕から第9節までゴールマウスを守り、計10失点。チーム目標である“1試合1失点以下”は達成できていないが、身体能力の高さと持ち味のコーチングでチームを支えてきた。第9節は好調のレノファ山口FC相手に無失点勝利。誰もが予想していなかったが、そのタイミングで、第10節ジェフユナイテッド千葉戦に圍が先発した。
「(第10節は)相手が高さのある千葉ということで、セットプレーの脅威もあり、高さへの対策と、ハイラインの千葉DF背後を狙うため」。井原正巳監督は、試合後の会見で、GK交代の意図をそう語った。実際その試合は、多彩なキックを持つ圍のロングフィードが千葉に効果的で、キーパーから攻撃のチャンスを何度も作っていた。試合は3-1で勝利し、福岡は今季初の連勝を飾った。
「いつ(出番が)来てもいい準備を常にしていた。やっときた、という気持ちだった」。千葉戦の2日前に先発を告げられた圍は、そのとき、そう感じたと話してくれた。そして「(千葉戦の前まで)3戦負けなしだから、責任を持ってプレーしてくれと、そのとき監督に言われました。誰かのミスで負けたとしても、その試合で負ければ自分の責任。ただ、結果を出せば人生が変わるかもしれないチャンスでもある。いつも以上のことはできないので、積み重ねてきたことをいつも通りにやろうと思って臨みました」と続けた。その後、圍は第10節から前節の徳島ヴォルティス戦まで7試合に先発し、チームはその間4勝1敗2分、6失点、J2リーグ2位に浮上と結果を残している。
そして6日の天皇杯2回戦、ゴールキーパーに若手の山ノ井拓己が先発した。プロ2年目でリーグ戦の出場経験はないが、今季は1試合にベンチ入り。「シーズン初めの頃、圍さんと『レギュラー争いしような』って言ってたんです。圍さんが本当にレギュラーの座につくのを目の当たりにして、自分も続かなきゃって思いますよ。最大限の努力をして準備していました」。ギラギラした目で、山ノ井はそう話した。
鹿児島ユナイテッドFCとの天皇杯2回戦は、1-0で福岡が勝利した。無失点という結果に、試合後は少し安堵の表情を見せながら、山ノ井は「次の天皇杯3回戦はJ1の札幌と対戦。J1チームとの対戦でも出してもらえるように、また努力します」と語った。その顔はとても凛々しく、頼もしかった。
文=新甫條利子
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