【角田裕毅F1第11戦分析】タイヤの判断は正解も、0.076秒差でQ2進出を逃す。最終コーナーでのスナップも一因
第11戦イギリスGPの予選開始15分前、アルファタウリのピットウォールに角田裕毅の姿があった。角田はレースエンジニアのマティア・スピニとチーフレースエンジニアのジョナサン・エドルズとともにコース側を見ながら、話し込んでいた。
「最初にどのタイヤで行くかを話し合っていました」
角田はそう語った。
というのも、土曜日のシルバーストンは朝から雨が降ったり止んだりする不安定な空模様が続いていて、予選開始15分前の段階では雨は上がっていたが、路面はまだ乾ききってはいなかった。
その後、3人の話し合いに、ピットスタンドに座って予選の準備をしていたニック・デ・フリースのレースエンジニアを務めるピエール・ハムリンも加わる。さらにしばらくすると、テクニカルディレクターのジョディ・エギントンも話し合いに加わった。
いかに今年のアルファタウリにとって角田が重要な役割を果たしているかがわかるシーンだった。
「あのときはインターミディエイトで行こう」(角田)ということで話がまとまり、角田はガレージに戻っていった。
しかし、その後、路面が急速に乾いていったため、「直前になってドライ(ソフト)に変更しました」と角田は言う。
その判断は間違っていなかった。ソフトタイヤを履いた角田は最初のアタックから常にQ2進出圏内の15番手以内のタイムを出し続けていた。タイヤを交換して、ピットアウトした直後にハースのケビン・マグヌッセンが油圧トラブルに見舞われてコース上でストップして赤旗が出された。この時点で、残り時間は3分11秒。角田のポジションは10番手だった。
残り時間から考えて、赤旗解除後に残されたタイムアタックのチャンスは1回。路面コンディションは赤旗前よりも改善されていたため、Q2進出を賭けた戦いは、最後の1アタックにかかっていた。
このアタックで1分30秒025を叩き出した角田は、その時点で10番手となったが、角田の直後でタイムアタックをしていたドライバーたちに次々と角田のタイムを上回ったため、角田の順位は17番手まで落ち、Q2進出はならなかった。
「そこまで悪くなかったんですが、わずかな差(Q1で15番手だったアストンマーティンのフェルナンド・アロンソとの差は0.076秒差)で通過できなかったのは、とても残念です」
アロンソとの0.076秒の差を縮められるとしたら、どこだったを尋ねると、角田はこう言った。
「ターン15とか、最終コーナーで少しスナップがあった(リヤが滑ってオーバーステアになっていた)ので……。でも、そもそもペースがなかった」
今シーズン5回目のQ1敗退。しかも、満を持してアップデートパーツを投入したにも関わらず、この結果に終わった角田の表情は、結果以上に暗かった。
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