攻めの作戦もペースを上げられず15位の佐藤琢磨「もっと長いイエローが出てくれれば......」
NTTインディカー・シリーズの第13戦は、今年2度目の開催となるインディアナポリス・モータースピードウエイのロードコースで行われるギャラガ—GP。
先々週のトロントでは市街地コース、先週はアイオワでショートオーバルのダブルヘッダー、そして今週はインディのロードコースと過酷なスケジュールが続く。しかも今回はNASCARとの併催で2デイのサタデーレース。忙しさにも拍車がかかっている。
厳しいスケジュールはチームにも大きな負担がかかるし、その中からグッドリザルトで光明を見出したい佐藤琢磨とデイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウエア・レーシングだが、金曜日から厳しい戦いを強いられた。
プラクティスの1回目は90分が設定されていたが、午後にはいきなり予選に臨まなければならない。その中で琢磨はFP1を23番手で終える。
「おかしい。遅すぎる」不満顔の琢磨。
1周が70秒余りでFP1でもトップのアレクサンダー・ロッシから21番手のロマン・グロージャンまでは0.65秒差中にいるのを見るといかに接近した戦いかわかる。
セッティングを変更した琢磨は、グループ2で予選Q1に臨み、グループ9番手総合18番手で終えた。
「プラクティスからは、かなり良くなりました。ですがあと0.2秒足りなかった……」という琢磨。チームメイトのデイビット・マルーカスがQ1を突破してQ2に進んだのを見ると心境は複雑だろう。
日曜日の朝はウォームアップが行われたが、なんと琢磨は最下位になってしまう。
「他のマシンはニュータイヤとかコンディションの良いタイヤで走っていて、僕はユーズドのタイヤで走ったのでタイムはそれほど気にしていません。タイム以上にマシンのフィーリングは良いです」とサバサバした表情だった。
朝のウォームアップを終えた後、ブリックヤード上で過去のインディ500に勝ったウイナーとNASCARのブリックヤード400で勝ったウイナーが勢揃いして記念撮影が行われた。
もちろん琢磨も呼ばれ、マリオ・アンドレッティ、AJ・フォイト、リック・メアーズ、ジェフ・ゴードンらと記念撮影に収まる。アメリカのレジェンドたちと並ぶ姿は誇らしくかった。
記念撮影が終わった後、レースモードになった琢磨は「過去のレースを見ても、レッドタイヤがメインとなると思うので、それをどう組み合わせて戦うか。ブラックでスタートして、イエローが出たらなるべく早くレッドに履き替えると思います」と予想していた。
そしてその予想通りにレースは展開したのだった。
18番手からスタートした琢磨はひとつポジションを上げて戻ってきたが、翌周にAJフォイトのダルトン・ケレットがスピンしてイエローコーションとなった。
琢磨はこの機とばかりにピットに入って、レッドからブラックのタイヤに変えた。琢磨と同じ戦略を取ったのはペンスキーのウィル・パワーとスタートで最後尾に落ちたアロウ・マクラーレンSPのパト・オワードだった。
レッドタイヤに変えた彼らは明らかにペースが良く、後方から3台揃うようにしてポジションを上げる、上位陣がピットに入り始めるとポジションをどんどん上げた。
24周目には3番手までポジションを上げ、31周目に2度目のピットに入る。
琢磨がピットアウトしてから4周後、36周目に再度イエローコーションとなると、ライバルたちも2度目のピットインに入り、琢磨はトップ10まで戻ってきた。
だが心配だったのは最初のピットが早かったために、2度目と3度目のピットインを引き延ばすしかなく、燃料をフルリッチに使えることはなかったことだ。スピードと燃費を両立させながら走らせたものの、容易にプッシュtoパスを使うわけにもいかず楽な戦いではなかった。
3度目のピットインがグリーンの状態のまま59周目から61周目に集中。琢磨もパワーと同じ59周目に入っている。
13番手にコースに戻った琢磨だが、後方から来たカラム・アイロット(フンコス・ホーリンガー・レーシング)やマルーカスに先行され、15番手に落ちたところで85周目のチェッカーを受けた。
ほぼ同じ作戦を取ったパワーが3位に入賞しただけに悔しい結果。ペンスキーのマシンの仕上がりは一枚上手だったということだ。
「最初にピットに入ったのはスタートのポジションを考えても、作戦としては悪くなかったと思います。その後燃費が厳しくなるのはわかっていましたが、イエローコーションが入るだろうとは思ってましたし、できればもっと長いイエローが出てくれればうれしかったんですけどね」
「ウィル(パワー)はペースも良かったから、前にどんどん行ってしまいましたけど、僕らのクルマは本当に苦しかったです。燃料もほんとギリギリ。裏と表のストレートでミクスチャーを変えるくらいでした」
「厳しいレースになりましたけど、チャレンジし続けることもチームには大事ですし、来週のナッシュビルも頑張りたいと思います」
次戦は昨年から開催されたナッシュビルのストリートレース。大荒れに荒れたレースだったが、今年はどんな波乱が待っているのだろうか。
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