平川亮のマクラーレンF1リザーブに「度肝を抜かれました」と中嶋一貴TGR-E副会長。きっかけはル・マン
平川亮が2024年からマクラーレンF1チームのリザーブドライバーに就任することになり、2023年F1第17戦日本GPが開催されている三重県の鈴鹿サーキットには平川やモリゾウ(トヨタ自動車豊田章男会長)をはじめ、複数のTOYOTA GAZOO Racing(TGR)関係者がパドックを訪れていた。
そのなかには、元F1ドライバーであり、現在はTOYOTA GAZOO Racingヨーロッパ(TGR-E)の副会長を務める中嶋一貴の姿も。改めて今回の経緯について聞くと「あまり詳しい話はできないんですけど……」と苦笑いをみせつつ、取材に応じてくれた。
「(マクラーレンと)コミュニケーションをしていくなかで『平川ってどんなドライバーなのか?』という興味が向こうからあったのは事実ですし、そこから始まった話です。それで『こんな話がありますよ』というところになり、モリゾウさんがお話していただいたとおり“ドライバーファースト(ドライバーを応援したい)”という気持ちを実現できたというかたちです」と大まかな経緯を説明してくれた。
平川のコメントにもあったとおり、リザーブドライバーの件については“急に進んだ話”だったことは間違いなさそうだ。「(マクラーレンとは)もっと前からコミュニケーションを取っていましたけど、こうして具体的な話になっていったのはスーパーフォーミュラのもてぎ大会より少し前くらい……それくらい“最近”だったということです」と中嶋副会長。「僕としても度肝を抜かれました! 『そんなことってあるんだな』と思いましたよ」と、ある意味で平川以上に驚いていた。
マクラーレン側が平川の実力に対して興味を示したきっかけとなったのは、彼のWEC世界耐久選手権での活躍だという。
平川は昨年からTGRの一員としてWECに参戦し、ル・マン24時間レースで総合優勝。2連覇をかけて臨んだ今年はトップのフェラーリを逆転するべく最終スティントを任されるも、コースオフを喫して勝機を逃した。それでも最終ラップまで追い続けた姿は多くのファンを魅了した。
「彼の経験、特にル・マンで見せてきたことをしっかりと評価してもらえたと思います」と中嶋副会長。
「純粋に平川というドライバーに興味を持ってくれて、実際にシミュレーターに乗ってみたら……先方の期待していた以上に良いものをみ見せてくれた。そういったところでいろいろと歯車が噛み合い、今に至る感じです」
■中嶋副会長「夢のある話」
ただ、リザーブドライバーへの起用が決まったばかりで、実際にマクラーレンのなかでどのような役割を担っていくのか、また来シーズンはどのレースに参戦するか、疑問は尽きないのだが、そのあたりは“まったくもって未定”とのこと。「マクラーレンと話をしながら、どういったことをやっていくのか。また、平川がレースに出場する部分とどうバランスをとっていくのかは、これから詰めていく感じです」というコメントに留めていた。
とはいえ、今回の発表が来季のWECの体制にどう影響するのか気になるところ。これについても「お楽しみに待っていていただければと思います!」と笑顔でかわされた。
まだまだ話を進めなければいけないところが多いようだが、中嶋副会長も平川を全力でバックアップしていきたい気持ちは強い様子。彼に対して大きな期待を寄せている。
「彼もこの話は驚いていると思いますし、僕自身も驚いていると同時にすごくワクワクしています。まずは楽しんでもらいたいなというのはありますし、いざクルマに乗るとなるとけっこう速いので、苦労する部分もあると思います。それが彼にとっての成長になると思いますし、今回の機会というのは、彼自身が成長するための環境ということで始まっている話でもあります。この環境を活かして成長に繋げてもらいたいです。そこで彼自身が良いものをみせれば、可能性は広がると思います」
「ドライバーからするとこんなにありがたい機会はないですし、夢のある話だと思います。僕自身は、これをどうやって良い方向に動かしていけるかというところで、できる限りサポートしていきたいないなと思います」
そして中嶋副会長は、「平川も言っていましたけど、背中を見せて後輩に道を作っていくことが、彼のこれからのミッションだと思います。また、僕自身もドライバー育成に関わる立場でもあるので、そういったところをもっと繋げていければいいなと思います」と、次のドライバーが続いていく道が開けることを期待していた。
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