新王者アレックス・パロウに挑むのは? 2022年もインディカーは若手ドライバーが台頭か
2021年のNTTインディカー・シリーズでは、24歳のスペイン人ドライバー、アレックス・パロウがチャンピオンに輝いた。
もちろん、彼にとっても、スペイン人にとっても初めてのタイトルだ。参戦僅か2シーズン目での快挙がなったのは、彼が最強豪チップ・ガナッシ・レーシングのカーナンバー10を委ねられただけでなく、チームの期待以上のスピードと安定感を見せ続けたからだった。
3勝、1ポールポジション、8回のトップ3フィニッシュ、16戦で12回のトップ10入りというパフォーマンスは、6度のタイトル獲得経験を持つ先輩チームメイト、スコット・ディクソンも舌を巻くものだった。
パロウとチャンピオンの座を争ったのは、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)とジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、そしてディクソンだった。
最終的にランキング2位となったのはニューガーデンだったが、パロウと長く競り合い続けたのはオーワードの方だった。
メキシコ出身の22歳は最終戦ロングビーチで1周目に他車にぶつけられる不運に見舞われ、ランキング2位の座を明け渡すこととなった。オーワードはマクラーレンがシュミット・ピーターソン・モータースポーツに参画した新体制で初となる優勝を含めた2勝、3ポールポジションを記録した。
来る2022年もパロウとオーワードはチャンピオン候補として戦うことになるだろう。ガナッシはチーム力が非常に高く、2021年にスケジュールされた全コースでトップ争いに加わるスピードを獲得していた。
一方のマクラーレンは、2021年シーズンに最も力を伸ばしたチームで、彼らは今や、ガナッシ、ペンスキー、アンドレッティ・オートスポートに肩を並べるレベルに達しつつある。
■パロウらに挑む新しいスターは生まれるか?
チャンピオンの座を争うポテンシャルを秘めているのは、すでにキャリア6勝を挙げているコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)だ。
2021年の成績は、パロウと同じく3勝。ポールポジションも3回あったが、ランキングは5番手と、前年度の3位から下がってしまった。しかし、彼は今年また実力を伸ばした。シーズン終盤の2連勝がそれを証明している。
彼を走らせるアンドレッティ勢は、技術提携するメイヤー・シャンク・レーシングまで含めると5〜6台が協力し合う体制を敷いているのだが、2021年はガナッシやマクラーレンに比べ、苦戦するレースが多くなっていた。
ハータとアレクサンダー・ロッシがチーム内で良い意味でのライバル関係を築き、チームのレベルを引き上げて行くことが期待されていたが、ロッシは瞬間的な速さこそ見せるものの、表彰だに上るのにも苦労をし続け、2021年も勝つことはできなかった。2シーズンも勝利から遠ざかってしまった彼は、このままだとフェイドアウトしかねない。
しかし、アンドレッティ・オートスポートには2022年シーズンにロマン・グロージャンが加わってくる。デイル・コイン・レーシング・ウィズRWRで走ったデビューイヤーの戦いぶりは、勝利こそなかったが、実に見事なものだった。
スピードがある上に順応性、学習能力の高さを見せていた。強豪の一角で戦う参戦2年目、フランス出身の元F1ドライバーはインディ500を含むオーバルレース全戦に出場することにもなる。経験豊富なグロージャンと、まだまだ速くなるだろうハータとのコンビネーションは、揃ってタイトル争いへと食い込んでくる可能性大だ。
さらに、アンドレッティ軍団はエリオ・カストロネベスとシモン・パジェノーという元ペンスキーのベテランドライバーたちからのフィードバックも手に入れる。彼らふたりがメイヤー・シャンク・レーシングからフルシーズンエントリーを行うからで、アンドレッティ軍団がシーズンの中心になって行く可能性すらある。
■注目のルーキーは参戦なるか?
2022年のルーキーたちに注目すると、インディライツで最多タイ記録となる10勝を挙げてチャンピオンとなったカイル・カークウッドに注目したい……のだが、彼のフルシーズンエントリーはまだ決まっていない。
2018年にUSF2000、2019年にインディプロ2000でタイトルを獲得したカークウッドは、2020年はパンデミックでインディライツ・シリーズが開催されなかったためにスポーツカー、GTカーで走り、2021年にインディライツにデビューするや、ここでも参戦初年度にしてチャンピオンとなった。
ロード・トゥ・インディの3ステップすべてでタイトルを手にするドライバーが初めて誕生しただけでなく、カークウッドはこれら3つのシリーズをいずれもデビューイヤーに制するという快挙を成し遂げた点でも注目に値する。
パンデミックで1シーズンをロスしながら、まだ22歳のカークウッド。彼にはジェイムズ・ヒンチクリフの乗っていたアンドレッティ・スタインブレナー・オートスポートのカーナンバー29が委ねられても不思議はないのだが、そちらに乗ることになるのはデブリン・デフランチェスコだと言われている。
カークウッド同様にアンドレッティ・オートスポートからインディライツに出場していた21歳のカナディアンだ。(シーズン終了後、アンドレッティ・オートスポートはセブリングのショートコースでカークウッドをコルトン・ハータのマシン、デフランチェスコをヒンチクリフのマシンに乗せてテストを行っている)
デフランチェスコも2021年からインディライツに参戦したが、勝利もポールポジションもファステストラップもなし。ランキングは6位で、ステップアップは時期尚早の感が強い。
しかし、彼にはアンドレッティを説得するに足る持ち込み資金があるようだ。一方、カークウッドが持っているのは、チャンピオンに贈られる奨学金130万ドルのみ。インディ500を含む3レースへの出場は可能だが、その資金をアンドレッティ・オートスポートに持ち込んでスポット参戦だけで満足するのか、他のチームからのフルシーズンエントリーのチャンスを狙うのか、現時点ではハッキリしていない。マイケル・アンドレッティはカークウッドを手放したくないと考えているようだが……。
インディライツ勢では、ランキング2位となったデイビッド・マルーカスもインディカーへと上がって来るとの噂がある。彼は父親の作ったチーム=HMDモータースポーツが、現在インディカーシリーズに参戦中のチームと提携してのステップアップを画策しているようだ。
2021年は若いドライバーたちが一気に台頭してきた印象が強いが、2022年の新シーズンで勝つのが若手ばかり……ということにはならないだろう。
2021年に2勝とポールポジション4回を記録したニューガーデンがチャンピオン争いに絡んでくるのは、ほぼ間違いない。2年連続でランキング2位となった悔しさをバネに、自身3度目となるタイトルを獲りにくる。そして、1勝でランキング4位だったディクソンももちろんチャンピオン候補に挙げられるだろう。AJ・フォイトに並ぶ7度目のインディカータイトル獲得が彼のモチベーションだ。
「インディカー」をもっと詳しく
「インディカー」のニュース
-
マクラフランが最速。ペンスキー勢がフロントロウ確保【順位結果】2024インディカー第3戦バーバー 予選総合4月28日8時58分
-
インディカー開幕戦で違反が発覚。勝者ニューガーデン含むペンスキー勢が失格、オワードが繰り上がりウイナーに4月25日0時19分
-
インディカー初参戦のテオ・プルシェールが次戦も続投へ。「彼の戦い方に感銘を受けた」とチーム代表4月24日21時26分
-
佐藤琢磨が日本人初のインディカーウイナーとして殿堂入り。初優勝の地ロングビーチに記念板が埋め込まれる4月24日3時2分
-
先行ピットインを決めたディクソンが逆転勝利。初参戦プルシェールは11位完走/インディカー第2戦4月22日16時58分
-
【順位結果】2024年NTTインディカー・シリーズ第2戦ロングビーチ 決勝4月22日16時42分
-
ローゼンクヴィストが移籍後初ポール【順位結果】2024年NTTインディカー・シリーズ第2戦ロングビーチ 予選総合4月21日11時48分
-
SFドライバーのテオ・プルシェールがインディカー参戦決定。第2戦ロングビーチでマクラーレンから代役出走へ4月19日0時30分
-
FIA F2参戦のプレマ・レーシングが2025年インディカー参戦を表明。シボレー陣営に加わる4月10日11時33分
-
アレックス・パロウが初開催のミリオンダラー・チャレンジを勝利。優勝賞金50万ドルを手にする/インディカー3月25日11時55分
スポーツニュースランキング
-
1J1広島巡り安芸高田市長から反論。新潟スポンサー社長がX閉鎖へ「悲しい」 FOOTBALL TRIBE
-
2大谷翔平の驚がく2本塁打に地元メディア「国の宝だ」「1ドルたりとも無駄にしない価値がある」 スポーツ報知
-
3息できてるか…? 大谷翔平、特大アーチを打った瞬間に“異変”が起きた…!? 相手投手の“動き”がヤバすぎると話題に「秒で確信」「この打球ならしょうがない」 ABEMA TIMES
-
4これは反則レベル!大谷翔平、中継カメラがとらえたヤバすぎる“数秒間” 特大アーチ直後に見せた一瞬の“表情”にファン騒然「秒で確信したな」「なんだ、ただの神か…」 ABEMA TIMES
-
5大谷翔平は一体どうなってしまうのだろう…助走期間5月で無双状態、打者専念の好影響を担当記者が「見た」 スポーツ報知