GK福元美穂、39歳の緊張感と歩む2年目のWEリーグ/サンフレッチェ広島レジーナ
サッカーキング2022年10月22日(土)20時0分
サンフレッチェ広島レジーナのGK福元美穂 [写真]=湊昂大
10月2日、サンフレッチェ広島レジーナの練習場でにぎやかな声が上がった。その中心には、この日に誕生日を迎えたGK福元美穂がいる。練習後、主役を囲んだ集合写真を撮ったあと、豪快な水かけでチームから祝福された。誕生日の選手を祝うレジーナの恒例行事だ。
秋の天気の中、氷水を浴びた福元は「寒い!」と嬉しそうに叫んだ。「このメンバーの一員であることが、改めて嬉しいなと思いました」と笑顔を見せる。さらに、主役がチームにドーナツを差し入れて、また練習場に歓声が上がった。「39歳なので、サンキューということで、みんなに感謝の気持ちを込めて」と笑う。どこまでも仲間思いの人間だ。
ドイツ・ワールドカップ優勝やロンドン五輪銀メダルなどを経験してきたレジェンドは、昨年のレジーナ発足時に広島へ移籍した。WEリーグ初年度の昨季は、開幕からベンチで試合を見守る時間が長く、「選手としては悔しいことだった」と振り返る。だが、キャリアを重ねてきたことで、悔しい日々でも心の持ち方が変わっていた。
「(若い頃よりも)より考えるようになりましたね。試合に出られないのは何かが足りないから。自分自身の問題なので、もっとこうしようとか色々考えます。出られないからネガティブにはならず、よりポジティブに取り組めていました」
試合に出たいという思いはベテランでも変わらない。それでも、どんな立場だろうとチームの勝利を考えていた。「もちろん試合に出る準備をしながら、その中で少しでもチームの力になれるように、自分ができることを意識しながらやっていました」
自分にベクトルを向けつつ、チームのためにも力を尽くす。創設2年目の若いチームに不可欠な存在だ。中村伸監督は福元について、「全体にアンテナを張って、チームの空気感や状況を見られる選手だし、自分に対しても今やるべきことを整理して、コツコツやれる人なので、みんなの指標になる。みんなが見るべき、学ぶべきことをたくさん持っている選手だと思う」と話す。
ともに世界で戦った盟友のMF近賀ゆかりも、「ずっと試合に出られなくていろんな思いがあった中で、それでも変わらず練習してきたところを見て、チームも絶対感じるものはあったと思う」と真摯に取り組むベテランGKの影響を語った。
待望の出番が訪れたのはシーズン後半戦の第15節・三菱重工浦和レッズレディース戦。38歳でのWEリーグデビューだった。試合には負けたものの、その後はスタメンの座を掴んで8試合に出場。王者のINAC神戸レオネッサを撃破するなど、5勝1分2敗の快進撃を最後尾から支えた。
新たな一歩を踏み出した福元は、「私にとって全ての試合が最後の1試合だと思ってやっている。8試合すべての試合で、同じような緊張感の中でやらせてもらったし、毎試合が最後だと思ってやっています」と確然と話す。
「引退」という2文字は決して口にしなかったが、近い将来くるであろうその時のことを見据えているようだった。覚悟を持ってプレーする試合には、若い時にはない感覚がやどる。「この年齢だから感じられる緊張感だと思うので、そういうプレッシャーを楽しみながらやりたい」
また新たなシーズンが開幕する。「自分も経験したことがないので、日々を大事にしたい」。ひとつ歳を重ねた“39歳の福元”としての新たな戦い。いつか訪れるキャリアの終幕を意識しながら、緊張感とともに着実に歩んでいく。
「先は長くないと思っているし、まだまだこれからだとは全く思っていないので、本当に1日1日を大事に、チームメイトと一緒にサッカーができることもそうだし、自分自身もサッカーができることに感謝して頑張りたいです」
昨季WEリーグ6位で終わったレジーナは、今季の目標に「トップ3」を掲げる。まだ経験の浅いチームだからこそ、チャレンジャーとして上を目指す。福元は、「もっと高みを目指して全員がやっていかないと、私たちのチームに先はない」と力を込めた。
「昨年はベースにあるけど、昨年と同じ戦いをしていたら、それ以上のものはない。目の前の1試合1試合にチーム全員が全てを懸けて戦わないといけない。それがまだまだ足りないし、日々の積み重ねが大事だと思うので、みんなと作っていきたい」
個人としても、チームとしても1試合1試合大事な戦いが始まる。福元は39歳の緊張感を楽しみながら、2年目のWEリーグに挑む。
取材・文=湊昂大
秋の天気の中、氷水を浴びた福元は「寒い!」と嬉しそうに叫んだ。「このメンバーの一員であることが、改めて嬉しいなと思いました」と笑顔を見せる。さらに、主役がチームにドーナツを差し入れて、また練習場に歓声が上がった。「39歳なので、サンキューということで、みんなに感謝の気持ちを込めて」と笑う。どこまでも仲間思いの人間だ。
ドイツ・ワールドカップ優勝やロンドン五輪銀メダルなどを経験してきたレジェンドは、昨年のレジーナ発足時に広島へ移籍した。WEリーグ初年度の昨季は、開幕からベンチで試合を見守る時間が長く、「選手としては悔しいことだった」と振り返る。だが、キャリアを重ねてきたことで、悔しい日々でも心の持ち方が変わっていた。
「(若い頃よりも)より考えるようになりましたね。試合に出られないのは何かが足りないから。自分自身の問題なので、もっとこうしようとか色々考えます。出られないからネガティブにはならず、よりポジティブに取り組めていました」
試合に出たいという思いはベテランでも変わらない。それでも、どんな立場だろうとチームの勝利を考えていた。「もちろん試合に出る準備をしながら、その中で少しでもチームの力になれるように、自分ができることを意識しながらやっていました」
自分にベクトルを向けつつ、チームのためにも力を尽くす。創設2年目の若いチームに不可欠な存在だ。中村伸監督は福元について、「全体にアンテナを張って、チームの空気感や状況を見られる選手だし、自分に対しても今やるべきことを整理して、コツコツやれる人なので、みんなの指標になる。みんなが見るべき、学ぶべきことをたくさん持っている選手だと思う」と話す。
ともに世界で戦った盟友のMF近賀ゆかりも、「ずっと試合に出られなくていろんな思いがあった中で、それでも変わらず練習してきたところを見て、チームも絶対感じるものはあったと思う」と真摯に取り組むベテランGKの影響を語った。
待望の出番が訪れたのはシーズン後半戦の第15節・三菱重工浦和レッズレディース戦。38歳でのWEリーグデビューだった。試合には負けたものの、その後はスタメンの座を掴んで8試合に出場。王者のINAC神戸レオネッサを撃破するなど、5勝1分2敗の快進撃を最後尾から支えた。
新たな一歩を踏み出した福元は、「私にとって全ての試合が最後の1試合だと思ってやっている。8試合すべての試合で、同じような緊張感の中でやらせてもらったし、毎試合が最後だと思ってやっています」と確然と話す。
「引退」という2文字は決して口にしなかったが、近い将来くるであろうその時のことを見据えているようだった。覚悟を持ってプレーする試合には、若い時にはない感覚がやどる。「この年齢だから感じられる緊張感だと思うので、そういうプレッシャーを楽しみながらやりたい」
また新たなシーズンが開幕する。「自分も経験したことがないので、日々を大事にしたい」。ひとつ歳を重ねた“39歳の福元”としての新たな戦い。いつか訪れるキャリアの終幕を意識しながら、緊張感とともに着実に歩んでいく。
「先は長くないと思っているし、まだまだこれからだとは全く思っていないので、本当に1日1日を大事に、チームメイトと一緒にサッカーができることもそうだし、自分自身もサッカーができることに感謝して頑張りたいです」
昨季WEリーグ6位で終わったレジーナは、今季の目標に「トップ3」を掲げる。まだ経験の浅いチームだからこそ、チャレンジャーとして上を目指す。福元は、「もっと高みを目指して全員がやっていかないと、私たちのチームに先はない」と力を込めた。
「昨年はベースにあるけど、昨年と同じ戦いをしていたら、それ以上のものはない。目の前の1試合1試合にチーム全員が全てを懸けて戦わないといけない。それがまだまだ足りないし、日々の積み重ねが大事だと思うので、みんなと作っていきたい」
個人としても、チームとしても1試合1試合大事な戦いが始まる。福元は39歳の緊張感を楽しみながら、2年目のWEリーグに挑む。
取材・文=湊昂大
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