「自分のミス」と吉田広樹。まるで第2戦の再現のように明暗分かれた2台のGRスープラ/第8戦GT300決勝
予選2番手から見せた下馬評どおり良好なレースペース、そして素早いピットストップも活かし、レース後半はGT300クラスの事実上のトップをキープして有利に戦いを進めていた埼玉トヨペットGB GR Supra GT。早めのピットインと「思った以上に頑張れた」(吉田広樹)アウトラップもあり、序盤にオーバーテイクを許したSYNTIUM LMcorsa GR Supra GTをアンダーカットすることにも成功していた。
45周目にFCY(フルコースイエロー)が導入される時点でのリードは3秒ほど。それまでは少しずつ差を詰めらている状況だったが、FCYが解除されるとSYNTIUMに対するマージンは5秒程度にまで拡大した。コクピットの吉田は「うしろを見ながら、そろそろ余裕を持っていってもいいかな」と思い始めていたという。
だが51周目の最終パナソニックコーナー、吉田がコース外側のランオフエリアにスピンアウトしている映像が映し出される。直後のリプレイ映像では左リヤタイヤが壊れた影響でスピンしたようにも見えたが、原因はその手前、13コーナー立ち上がりでの接触にあった。
吉田は「自分の判断ミスというか、もうちょっと余裕を持って走るべきだったんでしょうけど……」と説明する。
「1台、譲ってくれる(GT300の周回おくれの)クルマがいて、そのタイミングでGT500に2台くらい抜かれました。ただ、それが全部13コーナーでぐちゃぐちゃに入り乱れてしまったんです」
「立ち上がりで外側(左側)に避けてくれたクルマがいて、自分もそのスペースは残して加速していったんですけど、GR Supraコーナーに向けてトラクションをかけていったら自分のリヤが出てしまって……。それで外側にいた360号車と当たってしまい、おそらくタイヤがリム落ちして、一気に空気が抜け、最終コーナーでスピンしてしまいました。自分のミスです」
なんとかピットへと戻った吉田は、再度コースインすると9位まで順位を戻してフィニッシュ。残り6周というところで駆動系トラブルに見舞われた第2戦に続き、またしても目前で勝利を逃すことになってしまった。
■2勝でランキング3位も「もっともっと強いチームに」と吉本大樹
そしてこの埼玉トヨペットの脱落によって第8戦の勝利を得たのは、こちらも第2戦と同様SYNTIUM LMcorsa GR Supra陣営だった。
予選3番手からスタートを担当した河野駿佑は1周目の最終コーナーで埼玉トヨペットの川合孝汰をパスして2番手浮上。さらに23周目にはトップのSUBARU BRZ R&D SPORT井口卓人もTGR(1)コーナーで捉え、首位に浮上して後半の吉本大樹にバトンをつないでいた。
GRスープラ同士の首位争いは、前述のように後半には順位が入れ替わったが「残り周回数を考えると厳しいかな」(吉本)と思っていたという。しかし、吉田のミスにより思わぬ形で勝利が転がり込んできた。
これで年間2勝/ランキング3位という結果に。「チーム、ダンロップさん、駿佑とみんなの力が合わさったから優勝できたことに間違いはないですが、第2戦に続きトップの車両が脱落して勝つというレースだった」と吉本は振り返る。
今季、富士以外のサーキットでは「けっこう大外しというか、ダメなレースもたくさんあった」という。ノーポイントに終わったレースはじつに4戦。第2戦での優勝以降、最終戦に至るまでに獲得したのはわずか6ポイントにとどまる。
序盤の第2戦で優勝したことで背負ったヘビー級のサクセスウエイト(SW)も、中盤での苦戦の一因だろう。ベース車両が軽いGT300規定車両ゆえ、総重量に対するSWの比率も大きくとてもよく“効き”、セットアップなどで苦労してきたという。
チームとしては、GRスープラ導入初年度。それは『産みの苦しみ』の1年でもあったという。2年目となる来季は最終戦までタイトル争いが展開できるよう、「もっともっと強いチームにしていきたい」と吉本は語っている。
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