[筑陽学園]鉄壁の守備で7連覇を阻止! 目指したのは「周りから愛されるチーム」【高校サッカー選手権】
サッカーキング2019年12月26日(木)20時0分
福岡県予選を制した筑陽学園 [写真]= 森田将義
2012年度の選手権以来、福岡県内のタイトルを独占してきた東福岡を止めたのは、ライバル校の筑陽学園だった。11年ぶりの選手権出場を果たす原動力となったのは、予選4試合を1失点に留めた堅守で、青栁良久監督は「プリンスリーグを通じて失点が多かったけど、この大会で止められたのは大きかった」と口にする。
決勝でも、チーム全体で集中力を絶やさない守備が印象的だった。自陣までに持ち込まれても、吉村颯真(3年)と岡宗万(3年)のCBが身体を張ってゴール前への侵入をブロック。PA内に入ったボールに対しては、主将のGK野中友椰(3年)が勇気溢れる飛び出しで防いだ。野中は「プリンスリーグでは抵抗できずに失点することが多かったけど、この大会では最後の最後まで身体を張り、どんなシュートでも身体に当てる守備ができた」と予選について振り返る。
“鉄壁”との言葉がピッタリな守備には、選手個人としての成長も欠かせなかった。急成長を遂げるきっかけになったのは、5月に行われたインターハイ予選だ。過去2年は東福岡との決勝まで駒を進めてきたが、今年は飯塚高校に敗れ、準々決勝で涙を飲んだ。敗退後は選手が集まり、「自分たちが歴史を止めてしまったから、また新たな歴史を作ろうと話し合った」(吉村)という。その結果、サッカーに取り組む姿勢が大きく変わり、これまでは朝練に参加する選手はまばらだったが、敗退後はほとんどの選手が参加するようになった。昼休みにも筋トレを行う選手も増えたという。
同時に入学時からコツコツ行ってきた取り組みも実を結んだ。今年の3年生は入学した年の夏にコーチから目標を定めるように言われ、話し合いの結果、「周りから愛されるチーム」を目指すことを決めた。当時について、「当たり前のことを当たり前にこなそう。どれだけ強いチームでも挨拶できないチームは愛されない。何事にも感謝の気持ち持とうと決めた」と振り返るのは野中だ。
目標を定めてからは、ピッチ外の細部に拘って取り組みを行ってきた。代表的なのは清掃活動。練習ができるグラウンドがあるのは当たり前ではない。当たり前のように思いがちな環境を保つために、練習前には部員全員でグラウンド周辺の落ち葉とゴミを拾ってきた。他にも電車移動をする際は、一般客の迷惑にならないよう乗る車両や時間帯を変えて分散している。そうした活動を決めるため、チームが苦しい時に部員130人全員が同じ方向を向くため、今年は事あるごとにミーティングを行ってきたおかげで、チームとしてのまとまりも例年以上。団結力は選手権予選を戦う際の良好な雰囲気にも繋がった。「今年のチームは凄く上手い選手やずば抜けている選手はいない。だからこそ、試合に出ている選手だけじゃなく、メンバーに入った選手、応援の選手の全員が一丸になって戦えたのが良かった」(野中)。
長きに渡って、全国大会出場を拒まれ続けてきた東福岡を倒しての選手権出場だけに喜びもひとしおだ。タイムアップと共に涙を流す選手もいたが、野中が「ここが自分たちの目標ではない。全国で良い結果を残すのが自分たちの目標」と話す通り、まだ通過点に過ぎない。全国でもチーム一丸となって1つでも多くの勝利をもぎ取るつもりだ。
取材・文=森田将義
決勝でも、チーム全体で集中力を絶やさない守備が印象的だった。自陣までに持ち込まれても、吉村颯真(3年)と岡宗万(3年)のCBが身体を張ってゴール前への侵入をブロック。PA内に入ったボールに対しては、主将のGK野中友椰(3年)が勇気溢れる飛び出しで防いだ。野中は「プリンスリーグでは抵抗できずに失点することが多かったけど、この大会では最後の最後まで身体を張り、どんなシュートでも身体に当てる守備ができた」と予選について振り返る。
“鉄壁”との言葉がピッタリな守備には、選手個人としての成長も欠かせなかった。急成長を遂げるきっかけになったのは、5月に行われたインターハイ予選だ。過去2年は東福岡との決勝まで駒を進めてきたが、今年は飯塚高校に敗れ、準々決勝で涙を飲んだ。敗退後は選手が集まり、「自分たちが歴史を止めてしまったから、また新たな歴史を作ろうと話し合った」(吉村)という。その結果、サッカーに取り組む姿勢が大きく変わり、これまでは朝練に参加する選手はまばらだったが、敗退後はほとんどの選手が参加するようになった。昼休みにも筋トレを行う選手も増えたという。
同時に入学時からコツコツ行ってきた取り組みも実を結んだ。今年の3年生は入学した年の夏にコーチから目標を定めるように言われ、話し合いの結果、「周りから愛されるチーム」を目指すことを決めた。当時について、「当たり前のことを当たり前にこなそう。どれだけ強いチームでも挨拶できないチームは愛されない。何事にも感謝の気持ち持とうと決めた」と振り返るのは野中だ。
目標を定めてからは、ピッチ外の細部に拘って取り組みを行ってきた。代表的なのは清掃活動。練習ができるグラウンドがあるのは当たり前ではない。当たり前のように思いがちな環境を保つために、練習前には部員全員でグラウンド周辺の落ち葉とゴミを拾ってきた。他にも電車移動をする際は、一般客の迷惑にならないよう乗る車両や時間帯を変えて分散している。そうした活動を決めるため、チームが苦しい時に部員130人全員が同じ方向を向くため、今年は事あるごとにミーティングを行ってきたおかげで、チームとしてのまとまりも例年以上。団結力は選手権予選を戦う際の良好な雰囲気にも繋がった。「今年のチームは凄く上手い選手やずば抜けている選手はいない。だからこそ、試合に出ている選手だけじゃなく、メンバーに入った選手、応援の選手の全員が一丸になって戦えたのが良かった」(野中)。
長きに渡って、全国大会出場を拒まれ続けてきた東福岡を倒しての選手権出場だけに喜びもひとしおだ。タイムアップと共に涙を流す選手もいたが、野中が「ここが自分たちの目標ではない。全国で良い結果を残すのが自分たちの目標」と話す通り、まだ通過点に過ぎない。全国でもチーム一丸となって1つでも多くの勝利をもぎ取るつもりだ。
取材・文=森田将義
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