認知症、2025年には約700万人、MCIは1500万人に!昨年12月「レカネマブ」が保険適用となり、投与が開始
イラスト:小林マキ
昨日会ったばかりの人の名前を思い出せない。友達とのおしゃべりで何度も同じ話をしてしまう。いつもの場所に置いたはずのカギが見つからない——。こんなことが続いたら、脳の衰えのサインかもしれません。認知症を予防するための最新情報を紹介します(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)
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軽度認知障害(MCI)を見逃さないで
認知症は、一度発症すると完治が難しいため、予防が大切だといわれています。しかし、まわりの人が症状を疑い始めるころには、深刻な状況に進行しているケースが多いそう。
「だからこそ、本格的な認知症になる手前の段階で気づくことが大切。それが認知症予備軍ともいえる軽度認知障害(MCI)の段階です。MCIはいわば、最終防衛ライン。ここで対策を講じれば脳の機能を健康な状態に戻せる可能性が高まります。チェックリストであなたやまわりの人にその兆しがないか確認してみましょう」と話すのは、日本認知症予防学会代表理事の浦上克哉先生です。
●MCIチェックリスト
次の項目のうち、2つ以上該当すると、MCIが疑われます。
専門医を受診しましょう。
□ 同じ料理を続けてつくってしまう
□ 流行や季節感を考えた服装選びがおっくうになった
□ 話し始めてから、言おうとしたのか忘れてしまう
□ 洗濯をした後、干すのを忘れてしまうことがたびたびある
□ 小銭を出すのが面倒でお札ばかり出すことが増えた
□ 興味や喜びを感じる機会が減ってしまった
認知症の患者数は、2025年には約700万人になるといわれていますが、MCIに至ってはその倍の1500万人になると考えられる、と浦上先生。
「MCIが疑われる特徴的な変化は、やる気の喪失です。今まで当たり前にやっていたことを、おっくうになってやめてしまったりしたら危険信号といえます」(浦上先生。以下同)
画期的な治療薬が登場
また、耳が遠くなる、視力が落ちるのも、脳の衰えを加速させる要因になります。
「人とのコミュニケーションが面倒になったり、手先を使う趣味や作業を避けるようになったりすると、いずれも脳への刺激が減少し、脳の萎縮につながるのです」
不治の病といわれていた認知症ですが、実は最近、画期的な治療薬が登場しました。最も患者数が多いアルツハイマー型認知症の治療薬として、2023年12月に「レカネマブ」が保険適用となり、投与が始まっています。
「アルツハイマー型の原因とされるアミロイドβというタンパク質を除去する画期的な薬です。ただし、対象者はMCIから認知症の初期と極めて限定的で、価格も安くないなど、普及には課題が残されています。認知症の予防にはすでに科学的に効果が確認されている方法がありますから、現時点では薬に期待しすぎず、日々の生活でできる対策をとりましょう」
婦人公論.jp
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