小学校が温泉になった『いぶき温泉』に行ってみた結果 → 温泉どころじゃなかった
ロケットニュース242024年8月22日(木)20時0分
出身地を言うと「大都市ですね」と返ってくる率が高い大阪。しかし、実のところ、普及している大阪のイメージって市内のものだ。私(中澤)は府民にすらよく分からないと言われることが多い南部の出身なので、外部の人が持つ大阪のイメージには違和感があったりする。歯に衣着せずに言うと田舎なのだ。
当然ロケットニュース24のネタになるようなことなんてなんにもない。っていうか、別に会うような友達もいないし暇だから早めに帰ろうかな。と、思っていた時、オトンが「良いネタがある」と言い出した。
・オトンのネタ出し
タマネギ小屋しかないこんな場所にネタなんかあるわけねえだろ。一瞬そう思ったのだが、話を聞いてみたところ、小学校が温泉になっている施設があるそうな。マジかよ! そんなのあったんかい。
ゲストハウスや道の駅など、廃校を再利用しているところには何度か取材に行ったことがあるけど、温泉は初めてかもしれない。なんにもやる気はなかったのだが、行く気満々でアイドリングしてきたオトン相手に「行かん」とも言いづらかったので、車に乗った。
・ナチュラル歴史街道
私の実家から車で20分くらい行ったところに、町の中心であるメインの最寄り駅がある。ゆえに、どこに行くにも車移動が基本だが、オトンの車はそんな町側の最寄り駅と反対方向に走り出した。
で、そっち側には何があるかと言うと、1時間に1本くらいしか電車が走ってない日本で3番目に短いローカル線の終点がある。水間鉄道の水間観音駅っていうんですけどね。
そんな有様なので私の住む地域よりも田舎なのだが、逆にここまで来ると家も木造になってきて街並みに味があった。さすが行基が700年代に開創したと言われる寺を中心とした町である。
・余裕で通過
オトンの車はそんな水間をも余裕で通り越す。じゃあ、その先には何があるのかと言うと、山がある。
和歌山との県境にそびえ立つ山脈は「紀州アルプス」とも呼ばれているが、アルプスというほど優雅なイメージじゃなく、素朴で特徴のない永遠と続く山道である。
水間からそんな山道に入って20分くらいひた走ったと思う。曲がりくねる道路の脇から森が手招きしているかのような完全な山の中腹でオトンが口を開いた。「着いたで」と──。
・いやいやいや
確かに、道路の脇には森を割るように先の見えない坂道の入り口が続いている。だが、さすがに笑わずにはいられない。元小学校を温泉にしたって話だったよな? まずもって誰なんだよこんなところに小学校作ったのは。通えるかい!
と思いきや、そこから山道をさらにグルッと回った裏側には集落があった。その集落から見ると、丘の上に元小学校が陣取る風景はなかなか味がある。いかがですか? 大阪にもこんな場所があるんですよ。
・いぶき温泉
その温泉の名前は『かいづかいぶき温泉』。敷地に入ってみると、温泉だけじゃなく運動場がグランピング施設になっているし、体育館をスポーツで利用することもできるようだ。
また、コインランドリーの建物もあるし、総合受付の建物はちょっとアウトドア風味を感じさせるオシャレなリラックススペースになっている。Wi-Fiも飛んでいるし、仮にグランピングで宿泊しても不便は無さそうだ。
・受付方法
日帰り入浴は総合受付の建物にある券売機でチケットを購入する形。一般入浴が700円で、レンタルバスタオル、フェイスタオルがそれぞれ250円。今回私は手ぶらで来たため1200円であった。
総合受付にチケットを渡すとタオルと鍵をもらえる。脱衣所に入るのにこの鍵を使うのだそうな。温泉は、総合受付の裏口目の前にあった。温泉は新しい建物である。
・入ってみた
中に入ってみると、名ばかりの温泉ではなく、源泉の泉質がちゃんと書かれていた。貸切風呂もあるようだが、予約が必要なようなので、今回私が入るのは一般風呂。ちなみに、日帰り温泉の一般風呂が営業しているのは金・土・日・祝だけらしい。良かった、今日営業してて。
で、館内の案内図によると、一般風呂も露天の湯と湯真の湯の2種類があるけど、男風呂の暖簾は湯真の湯の方にかかっていた。ただ、露天の湯じゃないからと言って露天風呂がないわけではない。湯真の湯の方にも露天風呂はちゃんとあった。
肌がスベッとしてぬめりの癖が強すぎないところが良い。湯船自体は内と外に1つずつで広くもないのだが、お湯の質は好き嫌いがあまりなさそうなストライクゾーンの広さがあったことを追記しておきたい。
・サウナ
スタッフさんに聞いたところサウナがあるらしい。貸切風呂と同じく事前予約が必須だったため入れなかったのだが、バレルサウナで薪を購入して自分で温める形なのだという。薪は針葉樹がひと束660円。
ちなみに、水風呂は一応ビニールプールがあるのでそこに水道から水を入れる感じなのだとか。どこかD.I.Yオーラが漂っていて面白い。
・ただの宿泊施設とは違う点
そう言えば、温泉館の館内にプロデューサーのこの場所に込める想いを載せたポスターが貼られていたのだが、そこに「農×福×宿×食 SDGsリゾートへ」と書かれていた。プロデューサーの黒岩さんが思い描いているのは、訪れる人も働く人も「みんなが楽しみながらSDGsに参加できるリゾート」とのこと。
いぶき温泉を含む『いぶきヴィレッジ』は、貸農園や収穫体験、カフェ&レストランもやっているようだ。その情報を見ると、確かにスタッフさんからも、ただの宿泊施設とは違う、衣食住がここで回っているコミュニティー感のようなものが感じられる。
・今だからこそ
自分が体験できたことはそのごく一部でしかないのだが「こういう働き方もあるんだなあ」と思った。今の自分とは違うからなおさら。どう生きるかって本当に人それぞれ答えが違う。
色々経た今だからこそ考えさせられるものがあった『いぶき温泉』。一応、水間観音駅からバスが出ているが、1時間に1本あるかないかなので、そのアクセスのしづらさは観光スポット紹介として捉えるなら良いネタかは分からない。ただ、今の私にとっては確かに良いネタであったと言えるだろう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 かいづかいぶき温泉
住所 大阪府貝塚市蕎原2114
営業時間 金・土・日・祝12:00~21:00(最終受付20:30)/ 貸切風呂・サウナは予約制
定休日 月~木(貸切風呂・サウナは火・水のみ休み)
参考リンク:かいづかいぶき温泉
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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当然ロケットニュース24のネタになるようなことなんてなんにもない。っていうか、別に会うような友達もいないし暇だから早めに帰ろうかな。と、思っていた時、オトンが「良いネタがある」と言い出した。
・オトンのネタ出し
タマネギ小屋しかないこんな場所にネタなんかあるわけねえだろ。一瞬そう思ったのだが、話を聞いてみたところ、小学校が温泉になっている施設があるそうな。マジかよ! そんなのあったんかい。
ゲストハウスや道の駅など、廃校を再利用しているところには何度か取材に行ったことがあるけど、温泉は初めてかもしれない。なんにもやる気はなかったのだが、行く気満々でアイドリングしてきたオトン相手に「行かん」とも言いづらかったので、車に乗った。
・ナチュラル歴史街道
私の実家から車で20分くらい行ったところに、町の中心であるメインの最寄り駅がある。ゆえに、どこに行くにも車移動が基本だが、オトンの車はそんな町側の最寄り駅と反対方向に走り出した。
で、そっち側には何があるかと言うと、1時間に1本くらいしか電車が走ってない日本で3番目に短いローカル線の終点がある。水間鉄道の水間観音駅っていうんですけどね。
そんな有様なので私の住む地域よりも田舎なのだが、逆にここまで来ると家も木造になってきて街並みに味があった。さすが行基が700年代に開創したと言われる寺を中心とした町である。
・余裕で通過
オトンの車はそんな水間をも余裕で通り越す。じゃあ、その先には何があるのかと言うと、山がある。
和歌山との県境にそびえ立つ山脈は「紀州アルプス」とも呼ばれているが、アルプスというほど優雅なイメージじゃなく、素朴で特徴のない永遠と続く山道である。
水間からそんな山道に入って20分くらいひた走ったと思う。曲がりくねる道路の脇から森が手招きしているかのような完全な山の中腹でオトンが口を開いた。「着いたで」と──。
・いやいやいや
確かに、道路の脇には森を割るように先の見えない坂道の入り口が続いている。だが、さすがに笑わずにはいられない。元小学校を温泉にしたって話だったよな? まずもって誰なんだよこんなところに小学校作ったのは。通えるかい!
と思いきや、そこから山道をさらにグルッと回った裏側には集落があった。その集落から見ると、丘の上に元小学校が陣取る風景はなかなか味がある。いかがですか? 大阪にもこんな場所があるんですよ。
・いぶき温泉
その温泉の名前は『かいづかいぶき温泉』。敷地に入ってみると、温泉だけじゃなく運動場がグランピング施設になっているし、体育館をスポーツで利用することもできるようだ。
また、コインランドリーの建物もあるし、総合受付の建物はちょっとアウトドア風味を感じさせるオシャレなリラックススペースになっている。Wi-Fiも飛んでいるし、仮にグランピングで宿泊しても不便は無さそうだ。
・受付方法
日帰り入浴は総合受付の建物にある券売機でチケットを購入する形。一般入浴が700円で、レンタルバスタオル、フェイスタオルがそれぞれ250円。今回私は手ぶらで来たため1200円であった。
総合受付にチケットを渡すとタオルと鍵をもらえる。脱衣所に入るのにこの鍵を使うのだそうな。温泉は、総合受付の裏口目の前にあった。温泉は新しい建物である。
・入ってみた
中に入ってみると、名ばかりの温泉ではなく、源泉の泉質がちゃんと書かれていた。貸切風呂もあるようだが、予約が必要なようなので、今回私が入るのは一般風呂。ちなみに、日帰り温泉の一般風呂が営業しているのは金・土・日・祝だけらしい。良かった、今日営業してて。
で、館内の案内図によると、一般風呂も露天の湯と湯真の湯の2種類があるけど、男風呂の暖簾は湯真の湯の方にかかっていた。ただ、露天の湯じゃないからと言って露天風呂がないわけではない。湯真の湯の方にも露天風呂はちゃんとあった。
肌がスベッとしてぬめりの癖が強すぎないところが良い。湯船自体は内と外に1つずつで広くもないのだが、お湯の質は好き嫌いがあまりなさそうなストライクゾーンの広さがあったことを追記しておきたい。
・サウナ
スタッフさんに聞いたところサウナがあるらしい。貸切風呂と同じく事前予約が必須だったため入れなかったのだが、バレルサウナで薪を購入して自分で温める形なのだという。薪は針葉樹がひと束660円。
ちなみに、水風呂は一応ビニールプールがあるのでそこに水道から水を入れる感じなのだとか。どこかD.I.Yオーラが漂っていて面白い。
・ただの宿泊施設とは違う点
そう言えば、温泉館の館内にプロデューサーのこの場所に込める想いを載せたポスターが貼られていたのだが、そこに「農×福×宿×食 SDGsリゾートへ」と書かれていた。プロデューサーの黒岩さんが思い描いているのは、訪れる人も働く人も「みんなが楽しみながらSDGsに参加できるリゾート」とのこと。
いぶき温泉を含む『いぶきヴィレッジ』は、貸農園や収穫体験、カフェ&レストランもやっているようだ。その情報を見ると、確かにスタッフさんからも、ただの宿泊施設とは違う、衣食住がここで回っているコミュニティー感のようなものが感じられる。
・今だからこそ
自分が体験できたことはそのごく一部でしかないのだが「こういう働き方もあるんだなあ」と思った。今の自分とは違うからなおさら。どう生きるかって本当に人それぞれ答えが違う。
色々経た今だからこそ考えさせられるものがあった『いぶき温泉』。一応、水間観音駅からバスが出ているが、1時間に1本あるかないかなので、そのアクセスのしづらさは観光スポット紹介として捉えるなら良いネタかは分からない。ただ、今の私にとっては確かに良いネタであったと言えるだろう。
・今回紹介した店舗の情報
店名 かいづかいぶき温泉
住所 大阪府貝塚市蕎原2114
営業時間 金・土・日・祝12:00~21:00(最終受付20:30)/ 貸切風呂・サウナは予約制
定休日 月~木(貸切風呂・サウナは火・水のみ休み)
参考リンク:かいづかいぶき温泉
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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