【山田恵里×入江聖奈③】東京五輪金メダリストが選んだ「最強アスリート」は?引退後の目標も告白

2023年1月9日(月)17時0分 ココカラネクスト

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 東京五輪で金メダルを獲得した2人のアスリートが、同年に現役引退を発表した。ソフトボールの山田恵里とボクシングの入江聖奈。1984年生まれと2000年生まれという歳の差はあれど、「同年に引退した金メダリスト」という共通項を持ったトップアスリートの思考にはシンクロする部分も多かった。3回に渡ってお届けする豪華対談の最終回は、引退観やルーティンについて話が盛り上がった。

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   ◆   ◆   ◆

ーー五輪で金メダルを取った2人に自分が思う「最強のアスリート」は誰でしょう?

入江 私はレスリングの吉田沙保里さんです。最後に銀メダルで引退されたじゃないですか。でも、銀メダルでも、あれだけの人が感動して、あれだけ注目された。あれは吉田さんじゃないと難しいだろうなと思います。私の引退試合がもし銀メダルだったとしたら日本中を感動させられない。吉田さんにしかできないことだと思います。羽生結弦さんもそうですよね。メダルには届かなかったですけど、やっぱり違う。

山田 人の心を動かせる人が、すごい人なのかなって私は思います。吉田さんもそうですし、大谷翔平さんもそう。ちょっとアスリートからはズレますけど、おばあちゃんを助けたりとか、そういうことでも人の心を動かせる人はナンバーワンかなと。

ー−入江さんは他のスポーツは見ますか?

入江 見ないんですよ。テレビの線を抜いちゃってるぐらいの人間です。他のスポーツからアイデアが得られることってあるじゃないですか。ボクシングにも違うところからアイデアが降ってくるかもしれないので、そこは自分で自分の可能性を狭めているのかな? と思いつつも……見なかったですね。

山田 見たら逆にダメかもしれないですね。入江さんは自分の感覚で、そこまで強くなったと思うので。

ーー入江さんは若くしてボクシングを引退されたので、やっぱり惜しまれたと思うんですが、山田さんから見て20代前半での競技引退というのはどう見えますか?

山田 次にやりたいことが決まっているので、とてもいいと思います。入江さんは、おそらく周りから次のオリンピックも期待されるっていう反応があったと思うんです。

入江 私は運よく金メダルを獲れたと思っているんですが、それでもボクシング人生の夢は叶えたので、カエルのことを考えました。もちろんパリ五輪に行くっていう選択肢もあったんですけど、もう一刻も早くカエルのために知識を入れないといけないと思ったんです。

山田 私は次の目標がなかったらずっとやってただけですから。

入江 いやいや、すごいですよ。

山田 でも、カエルってすごいですね。

入江 本当に尊いんです。ヒキガエルは東京でもよく見かけますよね。茶色のあの子たちは卵から1歳になるまでに約99・7% が死亡すると論文で書かれてます。だから街で見かけるヒキガエルたちは 0・3% の奇跡なんですよ。それだけでももう尊いと思いませんか? 暑さとか乾燥とか捕食者から生き延びた0・3%。人間が1歳になるまで99・7%で死ぬと思ったらめっちゃ怖いですよね。

山田 0・3% 、すごいですね。

入江 ヒキガエルですら、もう東京都では準絶滅危惧種に指定されているんです。

山田 私は田舎で育ったので、カエルがめちゃめちゃいました。

入江 そういうところを大切にしないといけないですよね。

山田 話は代わりますが、入江さんがボクシングを続けた原動力も気になってるんです。

入江 かっこ悪いかもしれないですけど、もう辞められなくなった、っていうのがあります。

山田 自分の意思だけじゃない?

入江 はい。高校の頃とか「青春したいな」と思った時もあるんです。部活に行って、帰りにマック行って遊んで帰る、みたいなのにめっちゃ憧れたんですけど、地元の人たちからオリンピックを期待されてたので、高校生ぐらいから「ここで辞めたらやばい」と感じていました。意外と根本は、人のためっていう部分があったかもしれません。

山田 オリンピックの金メダルは鳥取県出身者では初ですよね?

入江 そうなんです。自分の力だけど、そこまで上に行くって難しいです。やっぱり期待してくださる方がいないと、考えられない気はします。私、引退するとき全く迷わなかったんですけども、恵里さんはどうでした? なんか悲しくなって来なかったですか? これが最後の素振りか、みたいな。

山田 シーズン中は悲しくなってこなかったんですけど、引退を発表してからいろんなセレモニーをしてもらうたびに、泣いてました。毎回号泣でしたね。でも、シーズン中から「もう結果は出せないな」って感じがしていたので、スッキリ辞められました。

ーー入江さんはカエル研究の道に進みますが、山田さんのセカンドキャリアでの夢は?

山田 まずはいろいろと勉強して、吸収していきたいと思っています。今までソフトボールしかしてこなかったし、いろんな人にお世話になったので、今度は自分が恩返しをしたい。それがどんな形なのかは分からないですけど、やっぱ経験したことしか伝えられないので、失敗体験も含めて伝えたい。キャプテンとしてのプレッシャーとか、人との付き合いとか、人のためになることはある程度経験はしてきてるかなと思うので、それを誰かのために使っていきたいです。だから、2023年は、いろんな人に会いに行ったりとか、そういう機会を作っていきたいと思っています。

入江 私の2023年の目標は、フットワークを軽くしたいと思っています。友だちの誘いも結構断ってしまうので、2023年はなるべく断らないようにと。このままだと友だちが減っちゃうと思って。

山田 自分がやりたいようにやるのが一番ですよ。無理するとしんどいから。人との繋がりで生きていかなきゃいけないけど、無理はしなくていいと思います。

入江 私は本当にめちゃめちゃ人見知りなので。恵里さんは人見知りじゃないですもんね。カエルトークも聞いてくださいましたし。

山田 いや、めちゃめちゃ人見知りですよ。でも、知らないことは気になるんです。常にそういう姿勢を大事にして、これからも常に吸収しようと思っています。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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