DTM:参戦ドライバーが語るスーパーGTコラボへの展望と、さらなる提案

2018年1月31日(水)17時21分 AUTOSPORT web

 DTMドイツ・ツーリングカー選手権でアウディのワークスドライバーとして活躍するジェイミー・グリーンは、ライバル陣営のメルセデスがシリーズを去った後、「予想される日本のスーパーGTとのタイアップこそが希望だ」と発言。それに対し、BMWワークスのティモ・グロックは「ファンを喜ばせたいなら、オーストラリアの方法論を取り入れるべき」との見解を示した。


 2018年限りでDTMの活動を終了し、電動フォーミュラカーで争われるABBフォーミュラEにワークス参戦するメルセデス。この動きを受け、現状はアウディ、BMWのみが残る2019年以降のシリーズの発展に向け、長年DTMに参戦するイギリス人のグリーンは「スーパーGTとDTMのルール統合こそが、我々が進むべき道だ」とコメントした。


 2014年から共通シャシーを導入し、サスペンションや車体のコンポーネントなどを共有してきた両カテゴリーは、ひと一足先にスーパーGTが導入している2リッター4気筒直噴ターボの規定をDTMでも2019年から採用することを明言しており、らなる統合に向け大きなステップを踏むこととなる。


 今後、2メーカーでの生き残りに掛けた可能性について問われたグリーンは「この動きこそ、この数年間をかけて取り組んできた正しい成果だ」と、自らの考えを語った。


「僕が初めてDTMに参戦した2005年はオペルがまだ参戦していて、3メーカーでシリーズが争われていた。でもその翌年から彼らはシリーズを去り、アウディとメルセデスだけの時代が長く続いたんだ」


「歴史が示すようにそうしたことは起こりうる。だからこそ、日本のスーパーGTとの連携は僕たちにとって最大の希望なんだ」


「この数年間、ベーシックに同じクラス1の車体規則を採用していることはポジティブだし、我々がまだ採用していないエンジン規則を採用すれば、ともにレースを戦うことはさらに容易になる。だからこそ、19年から4気筒の直噴ターボを採用することは正しい決断だったと思う」

2013年からアウディに加入したジェイミー・グリーンは、DTMでのキャリア13年を数える
2017年スーパーGT最終戦もてぎで実現したGT500とDTMマシンとのデモラン
アウディ、BMWともに直噴4気筒ターボは開発済みも、さらに踏み込んだ「共通エンジン」の採用も検討中だと言われている


■ティモ・グロック、クラス1規定は「オーストラリアの手法も参考にするべき」


 一方、元F1ドライバーで現在はDTMでBMWの契約ドライバーを務めるドイツ人のグロックは、DTMが今後もさらに発展し、ファンに喜ばれるシリーズでありたいなら、オーストラリアのツーリングカー選手権であるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーが採用する高出力・ローダウンフォースの車両規定を参考にする必要がある、と考えている。


 この2月にBMW M6 GT3をドライブしてのバサースト12時間参戦を控えるグロックは、「正直に言って、メルセデスの撤退表明はショックだった」と、DTMの将来に関する展望を語った。


「一方で、そのショックと衝撃は、DTMが別の扉を開くためのチャンスになるとも言える。僕はDTMに参戦を始めて以降、ことあるごとにオーストラリアのやり方を参考にするべきだと発言してきた。それこそが、今必要とされている視点だと思うんだ」とグロック。


「彼らの方法は正しい。DTMのマシンと比べて、空気力学によるダウンフォースはゼロに等しい。だから彼らはライバルのマシンに接近して走れるし、オーバーテイクも、サイド・バイ・サイドでのバトルもたやすく演じることができる。それは今のDTMでは不可能なことなんだ」


「共通パイプフレームを採用しているとはいえ、VASCスーパーカーのマシンはロードカーと近しい存在に留まっている。それはコクピットの作りを見ても明らかだ。そしてダウンフォースこそが最大の違いを生んでいる。DTMも同じようにダウンフォースを取り除き、オーストラリアの彼らがやっている方法に学ぶべきなんだ」


 グロック自身も、日本のスーパーGTとともにクラス1規定に準拠した統合を目指す動きを理解してはいるものの、ファンからの視点をベースに物事を考える重要性を唱える。


「VASCは、純粋なファイト、ピュアなレースが視覚的に理解しやすい。そして、それこそがファンが望んでいる最大のポイントなんだ」と続けるグロック。


「ファンを楽しませることこそ、僕らが望んでいることだ。だからこそ、クラス1規定もVASCのような方向性を取り入れるべきだと思う。そうすれば自動的にショーとしてのレースの質は上がり、それに伴ってファンも参加してくれるようになるはずだ」

同じく、17年DTM最終戦ではポールシッターとなったBMWのティモ・グロック
ティモ・グロックは豪州のVASCのように「ハイパワー、ローダウンフォースこそ重要」と、ベテランらしいファン目線での改革を説く
DTM参戦に加え、2月初旬のバサースト12時間にも参戦。さらに「可能なら10月のバサースト1000にも出場したい」とグロック


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