元GPライダー青木拓磨がEVレース『ジャガーIペース eトロフィー』へ参戦。「優勝を狙っていく」と意気込み

2020年2月6日(木)17時33分 AUTOSPORT web

 2月6日、神奈川県のジャガー・ランドローバー横浜 みなとみらいショールームで、ABBフォーミュラE選手権のサポートレース『JAGUAR I-PACE eTROPHY(ジャガーIペース eトロフィー)』に新たに参戦する『TEAM YOKOHAMA CHALLENGE(チーム・ヨコハマ・チャレンジ)』が記者会見を行った。チームは横浜へのフォーミュラE誘致、そして元GPライダーの青木拓磨がドライバーとしてジャガーIペース eトロフィーに第3戦から参戦することを発表した。


 青木拓磨は1990年代にロードレース世界選手権(WGP、現MotoGP)で活躍したライダーであり、バイクレースで世界的な活躍をみせている“青木3兄弟”の次男だ。


 長男の宣篤は、元ロードレース世界選手権のGP500クラスライダーで、現在はスズキのMotoGPテストライダーを務める。三男の治親はオートレーサーとして活躍しており、過去にはGP125ccでタイトルを獲得した経歴を持っている。


 その青木3兄弟の次男にあたる拓磨は、1995年に当時の全日本ロードレース選手権の最高峰、スーパーバイククラスでチャンピオンを獲得すると、翌年の1996年にも王者に輝き2連覇を果たす。1997年にはWGPのGP500クラスにレプソル・ホンダからフル参戦を開始し、ホンダNSR500Vを駆り3位表彰台を2度、2位表彰台を1度獲得し、デビューイヤーをランキング5位で終えた。


 1998年も引き続きレプソル・ホンダからWGPに参戦する予定だったが、2月に行われた開幕前のテスト中に転倒を喫す。このとき脊髄を損傷し下半身不随となってしまい、バイクに乗ることができなくなった。


 それ以来、拓磨は車椅子での生活を送ることになったが、レース活動を諦めることはなく、四輪レースに挑戦している。

ツインリンクもてぎのホームストレートを駆け抜ける青木3兄弟


 2019年は治親が、障がいがあっても『バイクに乗る』という夢を追い続けるすべての人々を後押しするため、一般社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)を発足。プロジェクトの一環として、2019年の鈴鹿8時間耐久ロードレースでは、ホンダCBR1000RRで拓磨がデモランを成功させる。


 そしてMotoGP日本GPではRC213V-Sを駆り3兄弟が揃いツインリンクもてぎを走行すると、SUZUKA Sound of ENGINE 2019で同じく下半身不随のウェイン・レイニー、ケニー・ロバーツ、エディー・ローソンといったレジェンドライダーとともに鈴鹿サーキットを走行した。


 また、昨年はフランスの耐久レースVdeV(ベドゥベ)選手権やアジアクロスカントリーラリーなどに参戦。2020年にはWEC世界耐久選手権のル・マン24時間レースに特別枠でのエントリーを予定しており、東京2020オリンピック・パラリンピックにもハンドサイクル競技への出場も計画しているという。


 そんな拓磨が新たな挑戦として選んだのは、世界初の電動フォーミュラカーシリーズであるフォーミュラEのサポートレースとして開催されているジャガーIペース eトロフィーだ。参戦に向けて新たなチーム・ヨコハマ・チャレンジが結成され、ドライバーとして参戦することが発表された。

左から青木拓磨、ジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役社長のマグナス・ハンソン、津山覚チーム代表、渡辺洋三コーディネーター
ジャガー・ランドローバー・ジャパン代表取締役社長のマグナス・ハンソン氏は「ガンバリマショウ!」と拓磨を応援した


■マシンはすでにドライブ済み。EVカーは非常に速いと笑顔も見せる拓磨


 ジャガーIペース eトロフィーとは、ジャガー・ランドローバー社が主催するEVレースで、ジャガー初のEVカーであるジャガーIペースのレース車両を使用して争われるワンメイクレース。フォーミュラEと同様の市街地コースを舞台に、25分+1周のレースが行われている。


 新たに立ち上げられたチーム・ヨコハマ・チャレンジは、2月15日に開催される第3戦メキシコから、7月の最終戦ロンドンまで参戦する。ただし、第5戦ローマは拓磨が参戦予定のELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズと日程が重複しているため、他のドライバーが代役で出場するとのことだ。


 同チームは、このジャガーIペース eトロフィーへの参戦を足がかりに、将来的にはフォーミュラEを横浜に招致することを考えているという。横浜でフォーミュラEと、ジャガーIペース eトロフィーの開催が実現すれば、拓磨を間近で応援できることになるだろう。


 チームのドライバーを務める拓磨は「多くの方の協力でジャガーIペース eトロフィーへの参戦が決まりました。また、私をドライバーに指名していただき本当にありがとうございます」とチームへ感謝の言葉を述べた。


 拓磨が搭乗するジャガーIペースは、他の選手のマシンとは違い、アクセルやブレーキなどの操作が手で行えるように改造されている。この車両は、イタリアのハンドドライブ装置メーカーのグイドシンプレックスと、車両メンテナンスを担当するMスポーツの協力によって製作された。

チーム、マシンについて語る青木拓磨
マシンのコックピット。左側レバーを押し込むと加速、手前に引くと減速となる。このパーツは実際に市販されているものだという


 小さい頃はラジコンが好きだったという拓磨は、このすべての操作を手元で行える手動装置に関して、非常に感慨深く思っていると語る。マシンに関しては「先日、イギリスにあるジャガーのテストコースで初走行させて頂きました。第一印象としては、駆動ロスが少ないため、EVカーは非常に速いと感じました」と笑顔を見せ、好印象の様子だった。


「2020年はオリンピック、パラリンピックが日本で開催されます。そのなかで盛り上げ役の一環として、ジャガーIペース eトロフィーに参戦し表彰台、そして優勝を狙って行きたい」と意気込みも見せた。


 バイクでの走行に加え、精力的に四輪レースへの参戦にも取り組んでいる拓磨。彼の2020年の新たな挑戦に注目だ。

マシンに乗る拓磨。左手レバーがアクセル、ブレーキ操作のものとなる
マシンに乗り込みポーズを決めてくれた青木拓磨
拓磨のカーナンバーは24番。多くの横浜地域のサポートがあり、ロゴも横浜・みなとみらい地区のものが並ぶ


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