「やろうよ、久々に」実現した2年ぶりのキャッチボールでベテラン左腕が感じた奥川恭伸の現在地【ヤクルトキャンプ】

2024年2月9日(金)11時30分 ココカラネクスト

石川は奥川とのキャッチボールで「いい球キテましたね」と語った(C)TsutomuBEPPU

 ヤクルトの奥川恭伸が2年ぶりの1軍キャンプに参加している。第1クール初日の2月1日からブルペンに入り「あくまでシーズンへの準備段階」と、24球を投げ込んだ。

 先発不足のチームにとって、奥川が1軍で投げる意味は大きい。シーズン開幕へ向けて、最初のブルペンでは立ち膝状態の捕手へ投げ込みを行ったが、2度目は捕手を座らせての投球も披露。そして、第2クール最終日に3度目のブルペンに入ると、正捕手の中村悠平を相手に48球を投げ込んだ。

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「2年目、初めて浦添に呼んでいただいたときを思い出すというか、何かその当時の気持ちと似ているような気がしています」

 奥川はプロ2年目の2021年、18試合に登板して9勝4敗の成績を挙げてリーグ優勝に貢献した。さらに、CSファイナルステージ第1戦では史上最年少となる完封勝利を飾り、MVPを受賞。オリックスとの日本シリーズ第1戦でも山本由伸と投げ合いながら、7回1失点と好投している。

 大舞台での強さを証明し、まさに“次期エース候補”として期待は高まるばかりだったが、翌年の3年目からは右肘痛に悩まされてきた。1軍登板は2022年3月29日の巨人戦(神宮)を最後に遠ざかっている。

 奥川が1軍で投げる意味は他にもある。1月1日に能登半島地震が発生し、石川県かほく市出身の奥川も帰省中に被災した。右腕は今年、故郷への思いを胸に再び1軍のマウンドで投げる決意をあらたにしている。

 奥川は「やっぱり僕が投げられなかった期間でも、すごく温かい声援を石川の皆さんからいただいていたので、すごく元気とかもらっていましたし、今度は自分がたくさん届けられるように、いいニュースを石川県に届けられるように頑張りたいなと思います」と、力強く語った。

 そんな奥川の強い思いを感じ取っていたのが、球界最年長の石川雅規だ。2月6日のキャンプ第2クールに入ると、めずらしい光景を目にした。石川が奥川とキャッチボールを行っていた。

 石川は「2回目ですかね、プロに入って。最初は(22年春季キャンプのときの)2年前くらい」と明かし、奥川といつもキャッチボールを行っている山野太一が小川泰弘と組むことになったため「やろうよ、久々に」と話し合った。

 ヤクルト投手陣を長年支えてきた左腕と、チームの未来を担う右腕の2年ぶりとなるキャッチボールが実現した。

「いい球キテましたね。いいピッチャーだと、投げ方とかボールを見るとすごくやりやすいので、キャッチボールしていても乗ってくる感覚がありますね」と、44歳のベテランも唸った。

「ケガさえなければ打たれても練習はできますし、彼はケガがあって投げられないという苦しい時期があったと思うので、そういうのを含めて今年に懸ける思いもすごく感じる。本当にキャッチボールしていても球は元気。すごくいい球がキテいたと思います」

 奥川も時折笑顔を見せ、お互いのボールの感触を確かめながら、ふたりの“交流”は翌日も続いた。

 復活へ向けて確実に光が差し込んでいる。石川の言葉を聞き、奥川のシーズンへ向けた順調な調整ぶりを感じた。

[文:別府勉]

ココカラネクスト

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