アイスホッケー女子代表23人の距離を縮めた性格16通り分類「MBTI診断」
2025年2月9日(日)7時0分 スポーツ報知
ポーランドを破って4大会連続5度目の五輪出場を決めて喜ぶ日本の選手たち(カメラ・島山 知房)
世界ランキング7位のアイスホッケー女子日本代表「スマイルジャパン」は、第2戦で同20位のポーランドに6—0で快勝して2連勝とし、中国との最終戦を残して4大会連続5度目となる2026年ミラノ・コルティナ五輪出場を決めた。全競技を通じて日本勢の一番乗り。9日の最終戦でフランスのみ勝ち点で日本と並ぶ可能性があるが、6日の直接対決を制した日本の予選突破が決まった。
「スマイルジャパン」が歴史をつないだ。試合終了を告げるブザーが鳴り響いた瞬間、GK増原を中心に歓喜の輪ができ、ホームに集まった観客の祝福の拍手が向けられる。チーム愛称にもなっている笑顔が、全員の顔に浮かんだ。飯塚祐司監督(50)は「立ち上がりから点を取ってくれて、失点することなく危なげなかった。6点差のゲームが2試合続いたので、(目標としてきた)圧倒はできたのかなと思う」と振り返った。
6日の初戦フランス戦で7得点を挙げて快勝した日本は、五輪に王手をかけた一戦でもゴールラッシュで優位に試合を進めた。第1ピリオド(P)5分54秒。ゴール裏からの折り返しにFW前田が合わせて先制点を奪うと、同11分23秒には昨季世界最高峰の北米リーグを経験したエース・志賀紅が今大会初得点。ソチ五輪から3大会連続出場中のFW浮田も2得点を挙げて第1Pだけで6点を奪うと、GK増原を中心に堅い守備でポーランドを完封した。
北京五輪では1大会で史上最多の3勝を挙げ、首位で1次リーグ突破した。その後、長年主将を務めてきた大沢ちほさん(32)や得点源の久保英恵さん(42)ら多くの主力が第一線を退いた。現代表の31歳DF小池主将も北京後に引退を考えていたが、功労者の久保さんから「残ってほしい」という言葉をもらい、現役続行を決意した。
新チーム始動後は、若手との意思疎通に苦戦した。最年少17歳から32歳のベテランまで23人が集まる代表。性格を16通りに分類する「MBTI診断」を実施して理解を深めた。診断結果を基に「盛り上げ隊」「アイデア係」「モチベーション係」「カウントダウン係」「チームスローガン係」の5班に分かれ、それぞれが得意分野で役割を遂行。主将も自ら「いじってほしい」などと呼びかけ、殻を破って距離を縮めた。五輪未経験11人を含む新星「アイホ娘」は五輪連続出場を4に伸ばし、小池は「先輩たちがつないできたものを、自分たちがつないでいくというところは果たせたのかな」と白い歯をこぼした。
18年の平昌で五輪初勝利を挙げ、北京で初の決勝トーナメント進出を果たした。順調に階段を駆け上がってきたが、メダル獲得に向けては米国、カナダなどさらに高い壁が待ち受ける。「現実問題は五輪と同じフォーマットの世界選手権でもベスト8止まりのチーム。そこの壁を破らない限り、メダルは簡単に口にできるものではない」と飯塚監督。悲願の表彰台へ。イタリアでスマイルをはじけさせるために、さらなる高みを目指して歩みを進めていく。(島山 知房)
◆近年の冬季五輪日本代表第1号
▼98年長野 清水宏保(スピードスケート男子500メートル)
▼02年ソルトレークシティー シムソンズ(カーリング女子)=加藤章子、林弓枝、小野寺歩、小仲美香、石崎琴美
▼06年トリノ加藤条治、清水宏保(スピードスケート男子500メートル)
▼10年バンクーバー 上村愛子(フリースタイルスキー・モーグル女子)
▼14年ソチ アイスホッケー女子
▼18年平昌 アイスホッケー女子
▼22年北京 アイスホッケー女子
▼26年ミラノ・コルティナ アイスホッケー女子