SNSでメジャー契約“懇願”も「That’s not Bauer」 バウアーに米球界内で揺るがない怪腕への冷ややかムード

2024年2月10日(土)11時30分 ココカラネクスト

DeNAでは相変わらずの投球技術を見せつけたバウアー。実力だけを考えれば、メジャー契約も勝ち取れそうだが、いまだ“吉報”は届いていない。(C)Getty Images

 昨季にDeNAで異彩を放った助っ人トレバー・バウアー。20年にメジャーリーグでサイ・ヤング賞に輝いた怪腕は、今オフにFAとなったのだが、いまだ新天地を見いだせずにいる。

 彼を取り巻く状況を物語ったのは、現地時間2月8日の本人によるSNS投稿だ。

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 バウアーは、自身と同じく今オフにパドレスからFAとなるも、契約先が決まっていないブレイク・スネルについて「複数年契約で何億ドルもの大金をもらうことになる。彼はそうすべきだし、それに値する」と指摘。そのうえで「複数年、何億ドル、あるいは多くのエリート選手やサイ・ヤング賞投手にコミットしたくないチームは、僕とリーグ最低額で契約すれば、それに支払う金額の増分がゼロになる」と続けたのだ。

 各球団のキャンプインを目前にした異例のアピールだった。投稿の真意は定かではないが、「最低年俸でも構わない」という宣言は、いかなる契約も甘んじて受け入れるというバウアー自身のメジャー契約に対する願望の表れとも言えた。

 ただ、そんな投稿に対する米球界内の反応は実に冷ややかな感が否めない。21年に私生活での知人女性への振る舞いがDV禁止規定違反と判断され、メジャーリーグ機構から324試合の長期の出場停止処分(その後、処分は194試合に短縮)を受けるなど、素行不良のイメージが付きまとっているだけに、「バウアーに買い手はつかない」と厳しい目を向けるメディアや関係者は少なくないのである。

「カージナルスはトレバー・バウアーに興味なし。もう一度言う。それは正しい判断だ」

 そうわざわざ強調したのは、セントルイスの大手紙『St. Louis Post-Dispatch』のコラムニストであるベン・フレデリクソン氏だ。

 同氏は、先述のバウアーのSNS投稿を受け、「バウアーファンの中には、SNSを利用して、どこかの球団が彼を獲得するチャンスがあるじゃないかと言う人もいる」とし、「私はバウアーを加入に疑問を抱くカージナルスファンの声も聞いた」と強調。そのうえで「彼らは答えを求めている。バウアー獲得が実現する可能性はあるのか、と。答えはこうだ。それは期待しない方がいい」と断言する。

 バウアーについて「複数の性的暴行疑惑の報道で、一部のメディアがあるべき責任を果たしていなかったことは指摘されるべきである」と擁護するフレデリクソン氏だが、贔屓球団との契約を「ない」とする理由を、次のように論じている。

「私は球団関係者にバウアーについて聞いてみたことがある。昨シーズンも、今シーズンも、だ。その結果、カージナルスは興味がないようだと分かった。そしてそれは正しい判断だと考えている。

 カージナルスは今のローテーションを気に入っている。ここにジョーダン・モンゴメリーを復帰させることで、ナショナル・リーグの中地区をぶっちぎってほしいとは思うが、ともかくバウアーを加えるという話はしていない」

なぜバウアーと契約する気がないのか?

 さらに「バウアーという荷物を受け入れる気はない」とカージナルスの補強計画を明かしたフレデリクソン氏は、「なぜバウアーと契約すべきだと言われるのか。他球団がどうするかは自由だが、少なくともカージナルスは彼との関わりを持とうとはしていない」と否定的な意見を展開する。

 もっとも、33歳になる右腕の実力を軽んじているわけではない。「昨シーズンに日本で証明されたように、まだ投げることができる」と一定の評価も下している。しかし、手厳しい論評を書きたてるフレデリクソン氏は「バウアーにユニフォームを着せるのはまた別の話だ」と断じ、獲得によって生じる懸念も記している。

「彼をメジャーに復帰させようとツイートしている人たちの多くも、バウアーを自分のチームの投手として雇おうとはしていないはずだ。そもそも彼は2021年6月以来メジャーでは投げていないうえに、クラブハウス内での行動にも疑問符を付けられ、チームの和が乱れるリスクもある。

 それはリーグ最低保証年俸から始まる契約を受け入れ意思を示唆しているにもかかわらず、彼が過去にメジャーで所属した4球団のどこも呼び戻さなかったという事実が証明している。たしかにカージナルスはケミストリーの改善のために、リーダーシップのあるベテランを必要しているが、それはバウアーじゃない」

 目の肥えた記者から「That’s not Bauer(バウアーじゃない)」と三行半をつけられたバウアー。サイ・ヤング賞など輝かしいキャリアを持つ彼だが、本人が懇願するメジャー復帰への道のりは厳しいままだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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