トップタイムはホンダのP.エスパルガロ。路面状況により赤旗中断も/2022MotoGPマンダリカ公式テスト1日目

2022年2月12日(土)10時35分 AUTOSPORT web

 2月11日、インドネシアのマンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットでMotoGPの公式テストが行われ、ポル・エスパルガロ(レプソル・ホンダ・チーム)がトップタイムを記録した。


 2022年シーズンMotoGPのカレンダーに新たに加わったインドネシアGPの開催地が、マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットである。なお、インドネシアGPは第2戦に予定されている。インドネシアでは1997年以来のロードレース世界選手権(MotoGP)の開催となる。
 
 マンダリカ・インターナショナル・ストリート・サーキットはインドネシアのロンボク島南部に位置し、2021年に完成した新設のサーキットだ。サーキットは全長4.320km、メインストレートは約500mと短く、左コーナー6、右コーナー11で構成されている。2021年11月のスーパーバイク世界選手権(SBK)がサーキットのこけら落としレースとなった。
 
 MotoGPライダーにとって初走行となったこの日は、しかし路面状況が大きく影響を及ぼすことになった。現地時間9時から始まったマンダリカ公式テスト1日目は、前夜に降った雨により、ウエットコンディション。このためライダーたちはまずレインタイヤで走行を開始する。しかしその後、現地時間11時30分ごろに路面状況の悪化により赤旗が提示され、セッションは中断。約1時間の中断を経てセッションが再開された。この中断により、セッションは45分延長されている。さらにセッション終盤には再び雨が降るという状況だった。
 
 ライダーによれば、この日の路面はひどく汚れていたという。ジャック・ミラー(ドゥカティ・レノボ・チーム)が状況をこのように説明している。
 
「(朝に)ペッコ(フランセスコ・バニャイア)と僕が出ていって、そのときは路面がかなり濡れていたのだけど、すぐに速く走れたんだ。最初の3、4周は路面はそんなに悪くなかった。でも2コーナーが次第に乾いてくると、コースにぬかるんだ泥みたいなものができ始めたんだ。そこに入ると、フロントもリヤタイヤも滑ってしまう。あるポイントで(ホルヘ・)マルティンが自分のタイヤを確認していたのを見て、本当にまずいなと感じたよ。ちょうど路面が乾いてきて、ほこりになって飛んでいくというより、どろどろになっていく感じだった」


 走行が再開されると、セッション終盤には路面は回復していった。しかしそれでも、走行ラインは非常に限られた状態であり、ラインを選ぶ自由度は限られたものだった。コースを習熟する必要のあったマンダリカでのテスト1日目、ライダーにとって厳しいコンディションとなったことは間違いない。
 
 コース上には泥ばかりか石までもが飛散していた。アレックス・マルケス(LCRホンダ・カストロール)が語ったところによれば、石ころが「まるで銃弾みたいに」飛んできて、首に当たってしまったのだとか。A.マルケスの首には当たったその跡がはっきりと残っていた。それほど多くの、そして小さくはない石がコース上に散らばっていたということだ。


 さらに、行われた状況改善策については意見が分かれた。赤旗中断中にはミーティングが行われ、その結果、全ライダーがコースに出て走行を行うことが状況改善策として採られた。数名のライダーによれば、「全ライダーが各20周を走る」ことが求められたという。
 
 これにはっきりと難色を示したのは3番手タイムをマークしたアレイシ・エスパルガロ(アプリリア・レーシング)で、「ドルナとともにチームが下した決断は、僕たちがコースをきれいにするために一斉に走るというものだった。全く納得いかなかったよ。うまくいったとは思うけど、それは解決策と言えるものじゃない。僕はコースをきれいにするためにここにいるんじゃないんだ」と怒りを隠さなかった。
 
「まず、走行するのに安全な状態ではなかったし、次に僕を走らせることができるのは、マッシモ(・リボラ/アプリリア・レーシングCEO)、それからたぶん(ピアッジオ・グループCEO/ロベルト・)コラリーノだけだということなんだ。誰も僕をコースに出て行くよう強要できないと思うんだ。特にテストではね。でも、安全でないなら、安全ではなくても、走るかどうかを僕が決める。どうしてほかのライダーのために僕がコースを掃除しなきゃいけないんだ? 一部のマニュファクチャラーは全ライダーに走るよう強く求めた。彼らは僕たちよりも時間が必要だからだ。公平じゃない。でも、僕は仲間たちが走っているのを見たんだ。全く安全じゃない状況でね。僕は彼らに悪いと思い、それで自分もコースインすることにした。でも、すごく怒りを感じている。すごく、ものすごく腹が立ったし、ひどく当惑した」


 一方でこの方法について賛同するライダーもいる。
 
 その中の一人、ブラッド・ビンダー(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)は「全員が走るという決断は正しかったと思う。というのも、1コーナーと2コーナーがコース全体をするように清掃された。だけど少しよくなっただけだった。路面にはラバーが必要だったし、できるだけ砂ぼこりを除去する必要があった」と述べていた。
 
 すでに公式テストはマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットから合わせて3日間を終えている。貴重な残り2日間のテストでライダーが十分なテストを行える環境であることを願うばかりだが……。
 
 マンダリカでのテスト初日の結果について少し触れよう。2021年からの大きなマシン改善に取り組んでいるホンダのP.エスパルガロがトップタイム。2番手にはアプリリアのA.エスパルガロが続く。アプリリアは2月5日、6日に行われたセパン公式テストでも好調で、マンダリカ初日の判断しがたいコンディションがあるとはいえ、上位をキープしていることは間違いない。
 
 3番手にはセパンテストでやや苦しんでいる印象があったKTMのビンダーがつけている。一方で、チームメイトのミゲール・オリベイラ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が16番手に沈んでいるのが気がかりではある。
 
 続く4番手にはスズキのアレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)。チームメイトのジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)は8番手だ。リンスはこの日、あまり多くのテストはできなかったと述べている。
 
 そして5番手が2021年チャンピオンのファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)で、クアルタラロはこの日のコンディションにもかかわらず、「生産的な日になった」と述べていた。「ソフトタイヤを入れてすぐに、フィーリングがよくなった。ユーズドタイヤでもかなり速さを感じている。僕のファステストラップは、16周走ったミディアムタイヤで出したものなんだ。満足だし、ペースもとてもいいよ」


 また、6番手タイムだったドゥカティのミラーにとっても、「テストデー」になったようだ。
 
「こういう路面状況のなかで、僕たちはエンジンブレーキの特徴、トルクカーブを調整することができた。僕たちはそのあたりに取り組んで、フロント、リヤタイヤ両方で安定した走りができるようにしたんだ。今日はいい日だった。いろいろな要素を試すことができたからね。チャンピオンシップは長く、様々なコンディションがあるわけだから」と、シーズンを想定したテストができたことを前向きに受け止めている。これはドゥカティの仕上がりの順調さを示しているとも考えられるだろう。


 マンダリカでの公式テスト2日目は、2月12日、日本時間10時から18時にかけて行われる。

AUTOSPORT web

「MotoGP」をもっと詳しく

「MotoGP」のニュース

「MotoGP」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ