トヨタとヒョンデの主導権争いが白熱。エバンスがトップ死守、勝田貴元が2番手に/WRCスウェーデン

2025年2月15日(土)3時49分 AUTOSPORT web

 2月14日、2025年WRC世界ラリー選手権の第2戦『ラリー・スウェーデン』のデイ2はスペシャルステージ2から8が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。TGR-WRTのレギュラードライバーである勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合2番手で大会2日目を終えた。


 大会2日目を迎えたラリー・スウェーデンは、この日から本格的な走行が始まるフルデイを迎えた。この第2戦では、フルスノーイベント用に用意される特別な15インチのスタッドタイヤを装着し、スペックは固定となる。


 午前のタイヤ選択としては、ヒョンデ・シェル・モービスWRTの3台とTGR-WRTのエバンスは軽さ優先の5本選択となり、他のクルーは総じて安全マージン重視の6本選択となった。


■ヒョンデの“刺客”がひとり逃げを阻止


 この日最初のSS2は、現地時間9時からスタート。氷点下12度と冷え込んだ曇り空のもと、エントリー内の選手権首位であるエバンスから順にアタックを開始した。


 基本的にスノーラリーでは、先のクルマほど積もった雪の影響を受けるためにグリップがルーズになりやすいが、デイ1では例に反する場面も見られた。そのため、ラリー序盤は新ハンコックタイヤとのマッチングやセットアップにも注目が集まっていく。


 この日もその傾向は続き、高い木立と雪壁に挟まれたSS2(28.27km)を制したのは、先頭走者のエバンスとなった。


 ただ、一方のヒョンデ勢もSS3(20.51km)で徐々にペースを見出し始め、とくにテクニカルセクションで躍動したアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)がステージ最速に。続くSS4(10.8km)でもさらに勢いを増し、連続でステージウインを飾り、続けて2番手に続いたエバンスのリード拡大に待ったをかける。


 午前の3本を終えた段階では、総合首位エバンスが前日からのリードを守り、1.9秒差の総合2番手にフルモーが迫る展開となった。総合3番手では、オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が虎視眈々と戦況をうかがっている。


 その一方で、有利な走順とされていたチャンピオン経験者のカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)やティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)らは、開幕戦のラリー・モンテカルロ同様にドライブフィールに苦しんでいるようで5、6番手に沈む開幕となってしまった。

アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン


■首位争いは1秒以内の緊迫展開


『ウーメオー』のサービスパークでミッドデイサービスを受けた一行は、ふたたび北東へ移動して午後のループステージに臨む。昼のメディアゾーンで各選手は「午後からさらに難しいコンディションになるだろう」と口を揃え、アイスバーンが広く露出する典型的なラリー・スウェーデンの展開を予想。タイヤ選択は、総じて6本搭載に揃った。


 こうして始まった午後1本目のSS5にて好走を見せたのは、日本の勝田貴元だ。午前の同区間でも2番手タイムを刻んでいた勝田は、ここで着実にスパートをかけ、今大会初のステージウインを飾った。


 そして午後のステージは、クルーらの読み通りに路面の状態が変化したのか出走順の若い選手が苦労。さらにアイスが増加したことによって、スタッドタイヤのセーブも課題のひとつに加わったようだ。


 こうしてタイヤストラテジーが分岐した各クルーは、続くSS6や7へ向けてタイヤを前後スイッチしたりニューを投入するなどしてマネジメントに努め、プッシュの有無についても選択が分かれた。


 SS6では、ペースを潜めた勝田に対してスパートをかけたのはエバンスやタナクとなり、ここではヒョンデのエースが0.3秒差で先行。さらに、続くSS7でもタナクは高いペースを保ち、僚友2台も揃ってペースアップを見せた結果、ヌービル、タナク、フルモーがステージタイムのトップ3を占めた。


 しかしその背後には勝田も僅差でつけており、総合順位ではタナクが首位に浮上したものの、0.5秒差で勝田、さらに0.9秒差でエバンスという展開に。この日最後のSS8を前に、明日の出走順をかけたポジション争いが白熱する。

勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン


 勝負のSS8は、昨日のSS1と同様の『ウーメオー・スプリント2』が舞台となり、現地時間19時より多くの観客の前でアタックが始まった。


 先頭のエバンスがまずはタイムを刻んでデイ2を終えると、ヒョンデのタナクもアタックへ。ここでタナクはタイムを伸ばしきれず、エバンスから3.9秒遅れとなって逆転が確定。さらに、僅差で争う勝田もアタックを終えると、エバンスと1.5秒差でフィニッシュしたことでこちらも順位が入れ替わることになり、エバンスが総合首位に返り咲いた。


 総合2番手には勝田が0.6秒という僅差で続き、さらに1.9秒差の総合3番手はタナクとなってデイ2は終幕となった。なお4番手はフルモー、5番手はヌービル、6番手はロバンペラとなっており、ここまでで25.5秒差しかギャップがないという僅差の状況。今年のラリー・スウェーデンも、ハイスピードラリーらしい緊迫のタイム差で本格的な開幕を迎えた。


 明日の大会3日目は、SS9からSS15までの全7本が実施予定。スペシャルステージの総走行距離は101.96km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は349.40kmだ。

エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン
オット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン
マルティン・セスクス(フォード・プーマ・ラリー1) 2025年WRC第2戦ラリー・スウェーデン


投稿 トヨタとヒョンデの主導権争いが白熱。エバンスがトップ死守、勝田貴元が2番手に/WRCスウェーデンautosport webに最初に表示されました。

AUTOSPORT web

「トヨタ」をもっと詳しく

「トヨタ」のニュース

「トヨタ」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ