Jujuと父に共通点?/オフの間に6kg減量/御大の“蹴り”を減らせetc.【SFメディアデー・ダイジェスト】

2025年2月18日(火)12時10分 AUTOSPORT web

 2月17日、翌日からの公式テスト走行開始を控えた三重県の鈴鹿サーキットでは、全日本スーパーフォーミュラ選手権の『メディアデー』が行われた。これは2025シーズンに参戦するドライバー、監督、エンジニアが、チームごとに会場に登場、メディアからの取材に応えるもの。


 この取材セッションをもとにした各チームの開幕前プレビュー企画は、後日オートスポーツwebにて掲載の予定。今回の記事ではあえて、抱負やシーズン展望以外の部分の“脇道トーク”を中心に、注目の発言のいくつかをお届けすることをご承知置きいただきたい。


■“ぶっちぎりの最下位”脱出へ。秘策はイケメン


 今季も三宅淳詞の1台体制で参戦するThreeBond Racingの取材セッションでは、TEAM MUGENから移籍加入した一瀬俊浩エンジニアに質問が集中したが、その一方で昨年までアドバイザーを務め、今季からは監督に就任した塚越広大には、「目指す監督像」について質問が。すると塚越は、ふたりの師匠の名前を挙げた。


「僕の中では“監督”というと、田中弘監督がまず出てきます。そして金石勝智監督ですね。そのふたりから教えていただいたことを、僕もしっかりと結果につなげたいと思います。スタイルは少し違うと思いますが、勝つため、速く走るための情熱だったりというのは、ドライバーとして感じている部分が多いので、それを淳詞に伝えていきたいと思います」


 そしてもうひとつ、塚越新監督が痛切に感じているチーム課題にも話が及ぶ。


「サーキット上でのパフォーマンスももちろんなんですが、残念ながらSFgo(公式アプリ)の人気ランキングでもぶっちぎりの最下位だったので、ちょっとそれもまずいなと思っていて。もちろん結果が残ればファンもつくと思うのですが、チームとしての魅力ももっとあげていかないと」


 これを受けた三宅は、「やっぱりイケメンになってモテることが大事かなと思うので、イケメンになれるように頑張ります」と“コース外”での課題に向き合っていた。

今季から監督を務める塚越広大と、三宅淳詞(ThreeBond Racing)


■関西キャラは飽和状態?


 ルーキーとしてSan-Ei Gen with B-Maxから参戦する小出峻の質疑応答でも、コース上のパフォーマンスから離れた“キャラクター”の売り出し方が話題となった。


「関西弁のキャラって、めちゃくちゃ多いんですよね。スーパーフォーミュラでも大阪出身の人が結構多いじゃないですか。関西弁を全面に押し出すキャラは被ってしまう感じがあるので、まだどういうキャラでいくかのビジョンができていないんですけど……どういうのがいいと思います?」


 するとここで間髪を入れずに本山哲監督が「とりあえず開幕戦では髪型とかいろいろ、すべて変えて行きます」と断言。


 先述のとおり三宅が“イケメン”を目指すことを伝えられた小出は、「僕、そういうキャラじゃないので……」と戸惑いの表情を浮かべる。


「ちょっと何か面白いキャラでいたいですけどね。いじられキャラとかでいいかもしれません」


 カート時代、そして鈴鹿サーキットのスクール時代の最大のライバルだった岩佐歩夢(TEAM MUGEN)とついに同じ土俵で戦えることをとても楽しみにしていると口にした小出。ルーキー・オブ・ザ・イヤーを狙う2025年は、コースの内、外ともに注目のシーズンとなりそうだ。

本山哲監督と、ルーキーとして参戦する小出峻(San-Ei Gen with B-Max)


■過酷なトレーニングで追い込んだ牧野任祐


 不変の体制で2025シーズンに臨むDOCOMO TEAM DANDELION RACINGでは、昨年スーパーGT、SFの両カテゴリーで好成績を収めた牧野任祐のシーズンオフの過ごし方に話が及んだ。


 キャリアハイに近いリザルトで終えながらも、「このままでも何も変わらないな」という思いがあったという牧野は、フィジカルの強化に取り組んだという。トリガーとなったのは、GTでコンビを組む山本尚貴だった。


「そんなタイミングで尚貴さんがSFを引退したので、尚貴さんにお願いして、森永(製菓)さんの施設で一緒にトレーニングさせてもらって。それで成績が出るとかは正直思わないのですが、しっかりを準備はしてきました」


 トレーニングの具体的な内容について問われると、牧野は「僕はドライバーのなかではそこそこ身長もある方ですし、必然的に体重もある。GTとかだと軽い方が有利」とスーパーGTまでを見据えた体重管理について言及。現段階で、6kgの減量に成功しているという。


「自分がチャンピオンを獲りたいと思ったとき、すごく身近にチャンピオン獲ってる人がいたので。そこでお願いして、いま同じようなメニューでやらせてもらっていますが、本当についていくのも大変なくらいのメニューです。それが何かちょっとでも、いい形になったらいいなと思います。いつも死にそうになりながらついていっています」

2025スーパーフォーミュラ鈴鹿公式テスト 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)


■「親父と一緒ってのは、褒め言葉じゃないかもよ?」


 Jujuを擁して新規チームとして参戦するHAZAMA ANDO Triple Tree Racingでは、急ピッチで勧められたチームの体制づくりに話題が集中。かつてJujuの父・野田英樹監督がフォーミュラ・ニッポン時代に組んでいた笠井昭則エンジニアの就任も、大きなトピックとなった。


 父と組んでいたエンジニアとの仕事について問われたJujuは「(笠井氏と)コミュニケーションを取っていて、データを見たりしているなかで、『なんか、お父さんと似てるなぁ』と言われたりして、『そうだったんだなぁ』という感覚もあります」と返答。


「父の現役時代は、話では聞くのですが、現役の時に担当していたエンジニアさんと話したりするというのは笠井さん以外にはないので、新鮮で勉強になります。そこはまた違った意味での楽しさもありつつ、スーパーフォーミュラで上を目指すなかではベテランのエンジニアの方と一緒にやれることもすごく楽しみです。いろいろ勉強させていただきたいと思っています」


 と、ここまでJujuが答えたところで進行は次の質問に移ろうとしたのだが、笠井エンジニアがマイクを手に取り、「『親父と一緒』っていうのは、別に褒めてるわけじゃないかもよ?」とボソッと発し、会場は爆笑。これには野田監督も「それなに? 喧嘩っ早いってこと?」と応戦し、笑いを取っていた。

笠井昭則エンジニア、Juju、野田英樹監督(HAZAMA ANDO Triple Tree Racing)


■阪口さん、メール見てますか?


 SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGはドライバーふたりのラインアップは変更なしだが、大湯都史樹車のエンジニアには、昨季パフォーマンスエンジニアを務めていた岡島慎太郎氏が就任。阪口晴南車のエンジニアは引き続き渡邊信太郎氏が務めることから、『Wしんたろう』体制が整った。


 阪口は昨年の開幕戦でポールポジションを獲得するなど速さを見せたが、決勝ではトラブルに見舞われることも多く、なかなか結果につながらないもどかしいシーズンとなった。今季こそは優勝を目指すことになるが、ここで渡邊エンジニアが密かな野望を口にした。


「いまふと思ったんですが……晴南さんの叔父さんにあたる阪口良平さんのGT初優勝のときは僕がエンジニアだったので、晴南さんでも初優勝して、阪口家から表彰されたい、というのが今年の目標です」


 なお、このSANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGINGの取材セッションで一番の盛り上がり(?)を見せたのは、鈴鹿サーキット東コースの路面改修に話題が及んだときのこと。


「それ、さっき知ったんですけど。富士の1(TGR)コーナーの改修の件はメール来てたんですが、鈴鹿は来てなくて……」と口にする阪口に、「いやいやそんなことない、絶対メール行ってる」と口々に反論するチームメンバーたち。「俺だけcc付け忘れとかじゃないですか?」と食い下がった阪口だったが、チームからの「送っています」との冷徹なダメ押しに「失礼しました」と最後は平謝りだった。

渡邊信太郎エンジニアと阪口晴南、大湯都史樹(SANKI VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)


■変革へ向け、一年目


 2台ともにドライバー、そしてエンジニアが変更されただけでなく、マシンカラーリングも一新して「変革の年」(星野一樹監督)を迎えるITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPUL。


 一樹監督は「生まれ変わって、常勝インパルをまた目指していく最初の年。必ず優勝して、トップ戦線に返り咲きたいと思っています」と決意を語った。


 大きな体制変更となったことについては、「ドライバー、エンジニアにスポットライトが当たりがちですけど、すべてを本当に良くして行っている。人間だけではなく、(仕事の)やり方の部分も含めて本当にゼロから見直そう、と」と、かつてない大改革であることを強調した。


「ウチには御大(星野一義総監督)がいて、後ろから“蹴り”がいつも飛んできますので(苦笑)……これは記事にできないかもしれないですけど(※編註:すみません、記事にしました)、蹴りの回数が減るように頑張っていきたいと思います(笑)」


 なお、20号車のドライバーとして加入する高星明誠は、JRPの開発ドライバーとして、今季スペックが改められるヨコハマのタイヤ開発にも携わってきた。今季参戦する現役ドライバーでは、その特性を知るのはただひとりとあって、記者からはその優位性を問う質問が飛んだが、高星は「あんまりないと思います」と即答。これには期待を外された一樹監督も「おい!」と“全開魂”のこもったツッコミを入れ、会場には笑いが漏れていた。

ITOCHU ENEX WECARS TEAM IMPULの新カラーお披露目に参加した参加したチーム首脳陣とドライバー


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