【日本ハム】昨季0勝の左腕・上原健太が2回6人ピシャリ…厳しいローテ争いへ満足せず「納得いく球は1球ぐらい」
2025年2月21日(金)5時30分 スポーツ報知
2軍の練習試合に先発し2回完全投球を披露した上原(カメラ・山口 泰史)
◇2軍練習試合 日本ハム1−2阪神(20日・名護)
日本ハムは20日、1軍キャンプ地の名護で阪神との2軍練習試合を行った。先発した上原健太投手(30)は、2回を打者6人で完璧に封じたが、内容には満足せず。厳しいローテーション争いへ、さらに状態を上げていく。また、第4クールから2軍に降格した山口アタル外野手(25)は「5番・左翼」で出場し2打数2安打。原点回帰での巻き返しを誓った。
任された2イニングを打者6人で抑えても、上原は表情を変えずベンチへ戻った。3番小野寺、4番ヘルナンデスをいずれも変化球で連続三振に仕留めるなど、1人の走者も許さない完璧な結果。それでも、上原は「ゼロで抑えられたのはよかったと思うんですけど、納得いく球は1球ぐらい」と淡々と振り返った。
問題は左腕の使い方だという。「投げにいくタイミングと、左腕の使い方が合ってない。テイクバックに違和感がある」。違和感は実戦の中でだけ感じられ、ブルペンでは全く感じない。そのため「いくら投球練習しても治らないというか、対バッターに投げていく必要がある」と説明した。
特に問題があるのは真っすぐを投げるとき。「コースと高さ、どっちを間違えちゃいけないかという意識で投げていれば、どうにか打ち取れる。だけどアピールをしなきゃいけない立場で、そういう真っすぐで満足しているわけにはいかない」。昨季は0勝5敗、防御率9・24と不本意な成績に終わった。10年目のシーズンへ向けて、変化球の仕上がりは順調だが、妥協せず本来の真っすぐを求めていく。
例年以上に厳しい先発争い。開幕投手の金村に山崎、加藤、伊藤の3本柱はほぼ確定。北山、バーヘイゲン、新加入の古林睿煬に福島ら、残された枠を争うライバルも多い。「結果を残しアピールをしながら、早く修正していかないといけない。それが自分の立場でもある」。どんな状態でも結果を残しながら、ローテ争いに食い込んでいく。(山口 泰史)
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思い切りのいいスイングで、山口は内に入ってくる左投手のスライダーを捉えた。鋭いライナーが左翼線で弾む。2回1死走者なし、悠々と二塁へ到達するスタンディングダブル。4回の第2打席には中前打を放ち、2打数2安打と結果を残し「何も考えずに、頭を無にして、もう楽しむだけでいこうと思っていた」と笑顔で振り返った。
キャンプは1軍スタートも実戦で結果が出ず、第4クールから2軍降格。「考えすぎていたところもあった。きょうは打席に入って何も考えずに、来た球を打つだけ。一球一球、それしか考えてなかった」。冷静に自分を見つめ直し、1軍では「考えすぎたり、自分がコントロールできないことを考えたり、実力以上のプレーをしようとした」ことに気づいた。シンプルにプレーすることで本来の打撃が戻ってきた。
秘密兵器も効果を発揮してきた。入団時に500ドルで購入したVRのヘッドセット。年間250ドルのアプリを使い、その日に対戦する投手に近い球種をバーチャルで体験し、イメージをつくる。「試合の感覚に近いイメージができると、試合に入ったときはリラックスして頭が無になる。きょうは準備が良かった」と語った未完の長距離砲。邪念を払って野球と向き合い、自身の魅力を表現していく。