トヨタ、公式テストで3000km以上を走破。9社が集うハイパーカー戦国時代の開幕に向け準備を進める

2024年2月28日(水)12時12分 AUTOSPORT web

 まもなく開幕を迎える2024年シーズンも、引き続きWEC世界耐久選手権に参戦するTOYOTA GAZOO Racing(TGR)は、2月26日から27日にかけてカタールのルサイル・インターナショナル・サーキットで行われた公式プロローグテストに参加。7号車と8号車、2台のトヨタGR010ハイブリッドで多くの周回を重ね、今週末に行われる第1戦『カタール1812km』に向けて準備を進めた。


 トヨタなど既存5メーカーに、アルピーヌ、イソッタ・フラスキーニ、BMW、ランボルギーニという新たなハイパーカーブランドが加わったことで都合9メーカーで争われることになるWECハイパーカークラス。物流トラブルの発生によって、多くのチームに機材やクルマの到着に遅れが出た影響で開催が2日間延期された公式テストには、トップカテゴリーに参戦する全19台のハイパーカーが一堂に会した。


 ディフェンディングチャンピオンであるTGRは、トヨタGR010ハイブリッドのセットアップ作業に専念し合計11時間にわたった二日間のテストをトラブルなく終え、2台で合計571周、距離にして3093kmを走破した。


 なおチームは今回、タイヤの比較や異なる車両セッティングでの分析を最優先とし、1周のラップタイムはそれほど追い求めず。とはいえ、この2日間は昨年7月のモンツァ戦以来3連勝を続けているTGRチームに、今週末のレースが今まで以上にチャレンジングになることを予感させるものとなった。


 実際にリザルトを確認すると、10番手以内に入ったのがセッション2回目に1分41秒789を記録したマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ニック・デ・フリース組7号車の1回のみ。姉妹車でセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮がドライブする8号車は、1分42秒097が自己ベストとなり最高位はセッション4でのクラス12番手だった。2日間の総合タイムでは7号車が13番手、8号車は15番手だ。

チャンピオンカーの8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024WECプロローグ


■2台のトヨタGR010ハイブリッドはFP1開始前に組み直される


 TGRはセッション1、4が選択制となったことを受け路面コンディションが良くない前者をスキップし、セッション2から走行を開始した。ルサイルでの走行は2023年11月にテストを行っているチームにとっては2度目だ。しかし7号車のドライバーとチーム代表を兼務する可夢偉と、8号車のハートレーは昨年のテストでトヨタGR010ハイブリッドをドライブしなかったため、今回の公式テストがカタールでの初走行となっている。


 26日(月)の日没直前からスタートしたセッション2は、5時間にわたって行われた。ドライバーとエンジニアは開幕戦の舞台でもあるルサイルをふたたび習熟し、さらなる経験を積み重ねるのに充分な時間をとることができた。車両の面では、メカニカルおよび空力のセットアップ評価と、タイヤコンパウンドの分析等の広範囲にわたるプログラムが進められた。


 翌27日(火)は前日よりも暑くなったコンディションのなか、テスト初日に得られたセットアップデータの解析を行うとともに、ピットストップ練習も実施。午後のセッション4ではタイヤパフォーマンスと信頼性の分析を進めている。


 チームはこの後、テストとレースウイークの合間となる28日(水)をフルに使い、合計11時間にわたるテストで収集したデータを基に車両セットアップの最適化を見出すとともに、2台のGR010ハイブリッドを組み直す。そして、29日(木)12時20分/日本時間18時20分から開始される開幕戦のフリープラクティス1に挑むことになる。

7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024WECプロローグ


■「楽観的な気分ではありません」「最速ではないことは明らか」/TGRドライバーコメント


●小林可夢偉 チーム代表兼7号車ドライバー


「この2日間はなかなか思いどおりにいかず、少し苦戦しました。いろいろなことを試しましたが、もっといいパフォーマンスを引き出すために適切な解決策を探る必要があると思っています。最高のスタートではありませんし、個人的にこの時点ではレースウイークへ向けてあまり楽観的な気分ではありません。しかし、なんとかこの状況を打破し、木曜日には強さが見せられるよう努力を続けたいと思います」


●マイク・コンウェイ 7号車トヨタGR010ハイブリッド


「シーズンのスタートはいつでもわくわくするもので、カタールで開幕が迎えられるのは素晴らしいことだ。僕たちはこのプロローグテストで、レースへ向けてクルマに必要なものを見出し、我々自身の準備もしてきた。これから待ち受ける戦いは容易ではないだろうが、今回僕らは多くの周回をこなし、データを収集したので、改善へ向けて努力を続けていく。プロローグテストは終わり、これからレースウイークに突入する。あとは土曜日の決勝まで一日一日しっかり対応していくだけだ」


●ニック・デ・フリース 7号車トヨタGR010ハイブリッド


「ついに2024年シーズンが公式にスタートした。この瞬間をずっと待ち続けており、ここに来るのがとても楽しみだったし、ハイパーカーのライバルたちと一緒にコースで走れて嬉しいよ。僕たちは充実した2日間を過ごし、多くの周回をこなすことができた。あとは木曜日を良い状況で迎えられるよう、チーム一丸となって作業を続けていかなければならない」

7号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする(左から)マイク・コンウェイ、小林可夢偉、ニック・デ・フリース
マットブラックの新しいカラーリングをまとった7号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024WECプロローグ


●セバスチャン・ブエミ 8号車トヨタGR010ハイブリッド


「GR010ハイブリッドのコクピットに戻り、プロローグを走るのは楽しかったが、簡単な2日間ではなかった。トラブルなく多くの周回をこなすことができたので信頼性という点では悪くない結果だが、走行ペースでは若干苦戦した。最初の公式練習セッションまで一日しかないけれど、すべてのデータを解析し改善点を見出すべくハードワークを続けていくよ」


●ブレンドン・ハートレー 8号車トヨタGR010ハイブリッド


「これまでのライバルと、新たに加わった車両とで、こんなに多くのハイパーカーが一緒にコースを走るのを見られるのは素晴らしいことだ。壮観ではありますが、それは我々にとってさらに大きなチャレンジになるということを意味している。今回のテストで、僕たちのクルマにトラブルはなかったが、ペースの面ではまだ予想していたレベルには達しておらず、やるべきことは残っている。エンジニアだけでなく、ドライバーにとってもこれから忙しい24時間になるだろう」


●平川亮 8号車トヨタGR010ハイブリッド


「このコースはみんな初めてなので、僕たちは決勝レースへ向け、ラップタイムや車両バランスを見出すべくさまざまなセットアップを試しました。すべてのコーナー、すべてのラップで新しい発見があるので、新しいサーキットでの走行はいつも楽しいです。多くのことを学びましたが、公式練習のスタートまで、得られたデータを解析するのにあまり時間はありません。我々が最速ではないということは明らかであり、さらなる改良のために懸命な努力が必要です」

8号車トヨタGR010ハイブリッドをドライブする(左から)セバスチャン・ブエミ、ブレンドン・ハートレー、平川亮
8号車トヨタGR010ハイブリッド(TOYOTA GAZOO Racing) 2024WECプロローグ


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