「ぶっちぎりでビリだし」「鈴鹿で一番グリップした」「めちゃくちゃ微妙な結果」【SF Mix Voices 第1戦予選】

2024年3月10日(日)6時30分 AUTOSPORT web

 全日本スーパーフォーミュラ選手権は3月9日、三重県の鈴鹿サーキットで2024年シーズン開幕戦の公式予選が行われ、阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)が自身初のポールポジションを獲得した。


 予選後、全ドライバーが参加して行われる取材セッション“ミックスゾーン”から、ドライバーたちがフリー走行と予選について語った内容をお届けする。


■福住仁嶺(Kids com Team KCMG) 予選7番手


 今年トヨタ勢に移籍し、Kids com KCMGから参戦する福住。フリー走行では15番手と後方に沈んだ印象があったが、Q1Bグループを5番手で通過、Q2では1分36秒156で7番手につけた。


 移籍後初の予選でトップ10圏内に入ってきたが「めちゃくちゃ微妙な結果で終わっちゃったなと思います」と福住は苦笑いをみせた。


「フリー走行があまりうまくいかなかったですが、そのおかげで見えてきた部分もありました。今年から(コーディネーターとしてチームに)加わった関口(雄飛)さんからも助言をもらいながら、エンジニアさんと考えて変えていったところが、予選では非常に良かったです」


 福住はテストで調子が良かった部分を維持しようと、そこまで大きなセッティング変更は加えてこなかったとのこと。ところが朝のフリー走行では思うようにいかなかったという。


「テストから本番になって突然『そんなに(セッティングを)変えていないのに、なんでこんなに変わるんだろう?』ということが起きたりもしていました。でも、僕たちKCMGは(スタッフの)人が多いので、そこで話し合いながら予選に向けて良くできたのかなと思います。ただ、タイム差を見ると『あとちょっと削れたらな……』と思うところがあったので、そこは自分の実力なのかもしれないし、まだ初戦ですけど、これから良くできればなと思います」


 10日の決勝について福住は「アウト側の7番グリッドでポジション的にもスタートしやすいですし、少しでも上位で終えられるようにしたいなと思います」と意気込みを語った。

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 福住仁嶺(Kids com Team KCMG)


■坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選10番手


 CERUMO・INGINGから名門トムスへ移籍し、エースナンバーである『36』を掲げて2024年シーズンに臨む坪井。今季初めての予選ではきっちりとQ2進出を果たしたが、ある部分で苦戦を強いられることとなった。


「(事前の)テストからコンディションはたぶん大きく変わってないのかな、と。寒いし追い風だし、テストなりかな、勢力図もそんな感じかな、と思っていました。走り出してみて、クルマの調子は悪くなさそうというか、(セットアップは)テストの流れで来てたのでそんなに悪くなかったです」


「ただ、ちょっとタイム差があったりとか、ストレート(スピード)は同じトヨタ勢でも5〜6km/h遅くて、ホンダ勢と比べちゃうと7〜8km/hくらい遅く、クラス違いのレベルでストレートが遅いので『え、なんで?』という感じでした」


 坪井によると、2月下旬に鈴鹿サーキットで行われた公式テストで走った際はここまでの差はなかったという。突然の“失速”に驚きを隠せない様子で、トップ争いに加われた可能性を感じさせるフィーリングも掴んでいただけに、早期に解決の糸口を見つけたいところだろう。


「前回のテストではそこまで(差は)ありませんでした。トヨタ勢の中ですごく速いわけではなかったですけど普通にスピードは出ていて、280km/h以上は出てたと思うのですけど、今日の予選では277km/hぐらいしか出てなくて、『え?』っていう感じ」


「コーナーはそんなに遅くないフィーリングで、Q1もQ2もそれほど違和感なくアタックできていましたし、大きな失敗があったわけでもないのですが、とにかく5〜6km/h遅かったら、たぶん1周コンマ4秒とか5秒とか遅いはずです。あとコンマ5あれば1分35秒台なので、そうしたらトップ争いをしていたと思うので……原因を早く見つけて欲しいなという感じです」

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)


■山下健太(KONDO RACING) 予選6番手


 2月の公式合同テストでは2日間総合でトップタイムを記録した山下。今回も朝のフリー走行では3番手タイムを記録し、予選でもポールポジション争いに絡むかと思われた。


 Q1Aグループではトヨタエンジンユーザー勢で唯一の突破(6番手)となった山下は、Q2ではトップから0.335秒差の6番手で終わった。


「毎年、テストで調子が良くても開幕で崩れてしまうので……」と、テストの時から開幕戦に向けて楽観視はしていなかった山下。今回は調子を崩したわけではないものの、狙っていた結果を掴むことができず「悔しいです」と本音を漏らした。


「過去2回のテストで上位のタイムを出せていたので、正直ポール争いをしたかったです。テストの時から良い流れできていたので、それを崩さないように(フリー走行でも)最初は待機して、微調整で進めていくという感じでやっていきました」と山下。一番の想定外はQ2のコンディション変化だったという。


「予選Q2のコンディションがすごい良くて、自分が感じたなかでは鈴鹿で一番グリップしたのではないかというくらいのコンディションでした。正直、そこまでいくのが予測できなかったというか、テストでの最後のコンディションよりも凄くグリップした印象でした。正直そこにクルマも自分自身の運転も合わせきれなかったです。後から考えれば『これをやっておけば良かったな』というのがいっぱい出てきて……Q2のコンディションに合わせきれなかったのが悔やまれます」


 今回もテストとは異なる結果になったが、調子を崩したのではなく合わせきれなかったというのが最大の要因とのこと。「(例年のように)開幕戦で暖かくなって調子が崩れたら『しょうがないかな』と思いますけど、すごく寒くていつもの開幕とは違ったので……だからこそ悔しいです」と山下。


 その後も何度も“悔しい”という言葉を口にしているのが印象的だった。

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 山下健太(KONDO RACING)


■牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING) 予選8番手


 山下と同様に2月の公式合同テストでは好調な走りをみせていた牧野。Q1Bグループでは2番手タイムを記録しQ2へ進んだ。


 今季開幕戦のポールポジション候補として注目を集めたが、Q2では順位を上げることができず、トップから0.506秒差の8番手に終わった。


「正直、不完全燃焼でした」と開口一番に話す牧野。「Q1までは良かったですし、バランスもそんなに悪くなかったです。Q2で起きたことに関しては、正直良く分からなかったですね。『そんなにバランスが変わってしまうか?』というくらい変わってしまいました」と、Q2になって突然フィーリングが変わったことが大きかったようだ。


 その理由はこれから追求していくことになりそうだが、牧野はひとつの要素として「タイムアタックに入る周回数」を悔やんでいた。冬のテストからアタックに入るタイミングがドライバーによって計測2周目と3周目で分かれていた。それは今回の開幕戦でも同じ流れだった。


「ウォームアップ2周(計測3周目)のクルマと1周(計測2周目)のクルマがいて、結果的に1周だったのかなと思います。僕もアウト→ウォーム→プッシュで行こうと思っていました」と牧野。


「テストの段階から、今日の朝もQ1もそうでしたけど、基本的にウォーム2周でやってきたから、そこを最後の最後で変えていろいろ崩れそうだなと思ったので、変えるに変えられなかったです」


「ちょっと不完全燃焼な予選になってしまいました」と、牧野は終始笑顔なく話していた。

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)


■国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL) 予選17番手


 以前からインパルで走ることを夢見ていたという国本は、憧れのチームでの最初の予選を17番手で終えることとなった。クルマのフィーリングは悪くなかったというが、トラブルが生じていたという。


「フリー走行から予選に向けてクルマは良くなっていて、フィーリングもよかったんですけど、ストレートスピードがすごく遅くなってしまって、朝から何かちょっとした不具合が出ていたのですけど、それが予選のアタックでも同じように出てしまいました」


「ストレートが全然伸びなくて、たぶんほかと比べてセクター3がすごい遅かったのかな。全部ストレートで持ってかれていたので」という国本は明言を避けていたが、症状から推察するに、エンジン関連のトラブルだったのだろう。


「セクター3だけではなくて、他のところでもちょっとずつちょっとずつ遅れてると思いますし、そのトラブルがなかったら……というのはありますね。ただ、フリー走行から予選に向けては改善したし、クルマのフィーリングとしては良くなっていました」


「今回はQ2に残れるくらいのパフォーマンスはあったと思うし、テオ(・プルシェール)と比較してもコーナーでは僕の速いところが多くて、タイム的にもQ2に進めるぐらいのコーナーのスピードはあったと思うので、そのトラブルさえなければ……。ちょっとそれが残念です」


 ひとつ前のグリッドに並ぶプルシェールとともに決勝では巻き返しを図りたいところだが、そのためにもまずはトラブルへの対処が必要となりそうだ。

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)


■笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S) 予選20番手


 予選で後方に沈んでしまった笹原も、チームメイトである坪井と同様にストレートスピードの問題に直面している。坪井との違いは、テストの段階からこの悩みを抱えていること。


「クルマ自体は、テストからそこまで大きく変わっていません。やっていることも変わっていないので(テストの)延長線上で来たのですが、ひとつ懸念としては、テストからずっと最高速が一番遅くて。ただ、今回Q2で(阪口)晴南選手が出した速度を見たときにすごく速かったので、それは多分エンジン(におけるホンダとトヨタの差)ではないなと。彼は僕よりも6km/hぐらい、速いですからね」


「そこ(最高速)で6km/hなので、すべての加速区間含めて、遅れてると思います。だから乗っていて『いや、これ以上タイム出ないんだよな』という感じなんですよ。クルマとして『もうちょっとこうなったらいいかな』っていうのもあるのですが、それにしても圧倒的に遅すぎるな、という感じです」


 名門トムスをもってしても解決に時間が掛かっているこの問題に対し、笹原は決勝で実験的セットを試すことを示唆している。


「坪井君も今日はあまり良くない印象だったので、2台ともすごいストレートスピードが遅くて、その辺がたぶん何かカギというか、僕らが発見できていない部分だと思います。明日はすごく後ろ(のグリッド)になっちゃったので、まぁ実験がてらちょっといろいろやってみようかなと思ってます」


「今朝も決して悪くないけど、スピードトラップ見たらぶっちぎりでビリだし、しかも“ちょっと遅い”ではなくて“すごく遅い”ので。『なんで?』ってずっと聞いてはいたのですけど、それを解決できなかったことで自分たちが不利になってしまったと思います。でも、そこはチームと一生懸命やるしかないので頑張ります」

2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿 笹原右京(VANTELIN TEAM TOM’S)


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