コンビ10年目で“第二章”幕開け  青木瀬令奈の今年の目標は「1億円プレーヤー」

2024年3月13日(水)7時0分 ALBA Net

大西翔太氏(右)とコンビ10年目を迎えた青木瀬令奈(撮影:米山聡明)

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15日(金)から「Vポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」が始まる。昨年大会で大逆転優勝を遂げた青木瀬令奈が、ディフェンディングチャンピオンとして大会連覇に挑む。


そんな青木をサポートするのがキャディ兼コーチの大西翔太氏。タッグを組んでから今年で節目の10年を迎えた。最初は「5勝」することを目標にして戦ってきた二人は、昨年11月に行われた「大王製紙エリエールレディス」でついにそれを達成。そこまでの道のりや、今年、そして今後の目標など話を聞いた。

■大西翔太氏とタッグを組むキッカケとは

大西氏を相棒に迎えた当時の青木は、まだ下部のステップ・アップ・ツアーにも出場し、「シード選手も雲の上の存在」という、いわば“駆け出し”の選手。まずはシーズンすべての試合に出場するための切符を獲得することに必死だった。そんなとき、2015年の「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」で4位タイに入り、プロ入り後、最も高額な賞金(546万円)を獲得。するとこのタイミングで、大西氏から『5勝できるよ』と言われたことを明かした。

当時はまだ未勝利で、その年の予選通過は2度目…。そんな青木は大西氏の言葉を聞き「え、ほんとに?」と驚いたという。「でも、そう言ってくれるなら。このタッグならもしかしたら優勝できるかもしれないと思えたので、信じてやってみよう…という感じで」と前に進むことを決断した。

当時は5勝できるイメージなど「まったくなかった」と青木はいう。それでも信頼できる相棒と高みを目指し挑み始めた。そして2年後、17年の「ヨネックスレディス」で初優勝。その後の2勝目までは4年間の期間が空いたが、昨年11月に通算5勝目を飾る。「5勝を去年達成した。はじめての約束じゃないですけど、達成ができました」と有言実行のミッション完遂になった。

■5勝目を挙げた自分に感じること、モチベーションとは

「ここ数年、キャリアハイで来られているというのもありますし、自分のなかでもパワーアップしていて成長が感じられている。年々強くなりたいなという気持ちは、すごくある」

15年に賞金ランク27位になり初めてシード権を獲得すると、賞金、メルセデス・ランキングも年々順位を上げている。そんな青木が“強くなりたい”と思えるモチベーションは、先輩プロたちの存在だった。

「さいきさん(藤田さいき)、桃子さん(上田桃子)など、目の前で先を走ってくれている大きな背中がいっぱいある。そういった人たちのルートに足を突っ込むのって、こういう感じなんだろうなみたいな。詩さん(穴井詩)とか、絵理香さん(菊地絵理香)とかは、よくお話しさせてもらうんですけど、すごく思いますね。覚悟が決まってるなというか、本当に年齢はただの数字っていう感覚で皆さんやっているし、年々工夫していろんなものをやっている」

青木は2月に31歳の誕生日を迎えた。ベテランの域に入ったが、まだまだ上を見ている。

■記念すべき通算5勝目を振り返る

記憶、そして記録にも残る昨年の大王製紙エリエールレディスについては、こんなことも青木は明かす。

「13歳から出ていて9年目のチャレンジだったのかな。そのときからここのコースは“飛ばし屋向き”だなって思ったりしていて。自分のなかでは“こてんぱん”にやられ続けた記憶がありすぎて、それを全部避けていったら優勝したみたいな感じでした」

大西氏とは、大会が開催されたエリエールゴルフクラブ松山(愛媛県)は「一番向いていない」とも話していたという。昨年3月にTポイント×ENEOSゴルフ(名称は当時)で優勝してから、目標としていた年間複数回優勝を達成するには「伊藤園までしかチャンスがないと思っていた」というほど愛媛には苦手意識があった。「でも、伊藤園の最終日にすごくいいゴルフができていたので、このゴルフだったらひょっとしたら来週もチャンスがあるかも…」という自分に対する期待が生まれたのも事実だった。

そんな舞台で栄冠に輝いた。「苦手だった経験がいつか生きるというのは当時13歳の私に言ってあげたいなと思うぐらい。いままでの苦しさは無駄ではなかったと思えた優勝でした」。困難と感じていた山を、見事にタッグの力で越えてみせた。

■大西氏とタッグを組んで迎える10年目の目標

「今年は3勝、1億円を目標にしています」

昨シーズンは2勝を果たし、年間獲得賞金は約7955万円。「昨年の自分を超えたいというのももちろんありますし、“1億円プレーヤー”というのはプロになったときから目標。賞金女王になりたいと思っていました。最近までは(メルセデス)ポイントがなかったこともあって、賞金というところにすごくフォーカスすることが大事だなと思っています。なので1億円プレーヤーと言いたい」と、あくまでも稼ぐことにも意識を注ぐ。

「ずっと2位でも(1億円は)達成できると思うんですけど、やっぱり優勝することに意味がある。なので3勝。そのためにはちょっと春先に頑張らないとなっていうところです」

今年の目標を達成した上で、目指すのはあくまでも息の長い選手であること。

「(試合に)出続けたい。限界が来るまでは、限界はないと思いつつ。40歳を超えてもプレーできていたらいいなと思っています」

年々レベルが上がる女子ゴルフ界。「(複数年シードが得られる)メジャーで勝たない限り、女子選手は“1年1年が最後”だと思いながらやるぐらいの気持ちじゃないといけないと思うので。毎週、毎日、一打、というぐらいの気持ち。じゃないと生き残れない」と、その厳しさは身にしみて分かっている。

青木瀬令奈と大西翔太氏の“第二章”はすでに始まっている。今週は好相性の地。もちろん大会連覇を狙っていく。(文・高木彩音)


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