増田明美さんが世陸マラソンコースを“細かく”解説「日本選手は有利」…東京世界陸上開幕まであと半年
2025年3月13日(木)11時10分 スポーツ報知
増田明美さん
34年ぶりに東京で開催される陸上の世界選手権まで13日であと半年。「細かすぎる解説」でおなじみの増田明美さん(61)がこのほどスポーツ報知の単独取材に応じ、世界陸上のマラソンコースを解説した。(取材・構成=手島 莉子)
東京世界陸上のコースは、リズムが大事になってきます。周回に入ってからのコーナーなど折り返しが多いことも含めて、全体のコースのリズムをつかんでしまうというところでは、日本選手はMGCを走っている選手も多いですし、有利。坂もありますが、日本選手は地の利もあるし、我慢強いしあきらめない。条件が厳しいと、より味を出せます。折り返しが多いですが道路が広いので、大きくペースダウンする感じではないですよね。
男子では小山(直城)さん。落ち着いているし、冷静沈着な性格的といい分析力といい、経験値といい。女子の安藤(友香)さんも楽しみ。あの走り方(腕を下げた独特なフォーム)は足の力、お尻や内転筋が強くて体幹がしっかりしていないとできないです。今回のコースは、昨年の(アップダウンの激しい)パリ五輪と比べると簡単かもしれませんが、最初の上り下りなど全体的な世界大会で比べるとそう簡単なコースではない。ですが、日本勢はそういう場所でも力を発揮します。
日本選手はこの東京世界陸上で弾みをつけると思います。1991年に谷口浩美さんが暑い中で金メダルを取り、山下佐知子さんが銀メダルで有森裕子さんが4位。徐々にアフリカ勢の層が厚くなり、入賞するのも難しいとなっていた時に、昨年のパリ五輪で2人(男子6位・赤崎暁、女子6位・鈴木優花)が入賞しました。今回も日本選手が頑張って良い結果を出す、ここから始まる気がします。令和の黄金時代の幕開けになって欲しいですよね。
◆マラソン日本代表候補
▽女子 ジャパン・マラソン・チャンピオンシップ(JMC)シリーズ4で1位になった安藤が男女通じて“第1号”に内定。残り2人は9日の名古屋ウィメンズ2位の佐藤早也伽(積水化学)、1月の大阪国際女子2位の小林香菜(大塚製薬)の選出が有力。
▽男子 JMCシリーズ4の優勝者、小山直城(ホンダ)は確実視。昨年12月の福岡国際で2時間5分16秒の吉田祐也(GMOインターネットグループ)、今年2月の大阪マラソンで初マラソン日本最高(2時間5分39秒)をマークして日本勢最上位だった近藤亮太(三菱重工)が有力。
◆増田 明美(ますだ・あけみ)1964年1月1日、千葉・いすみ市生まれ。61歳。成田高3年時に3000メートルからマラソンまで長距離6種目の日本記録を更新。83年オレゴンTCナイキマラソンで2時間30分30秒の日本記録を樹立。84年ロサンゼルス五輪は途中棄権し一度引退。87年に現役復帰するも92年に再度引退。マラソン解説のほか、スポーツライター、大阪芸大教授など幅広い活動を行っている。