メルセデス育成ベスティが今季初優勝。岩佐歩夢は4位入賞【FIA F2第2戦ジェッダ レース2】
2023年3月19日(日)23時14分 AUTOSPORT web
3月19日、2022年FIA F2の第2戦ジェッダの決勝レース2が、サウジアラビアのジェッダ・コーニッシュ・サーキットで開催され、メルセデス育成のフレデリック・ベスティ(プレマ・レーシング)が今季初優勝を飾った。レッドブル&ホンダ育成の岩佐歩夢(ダムス)は4位でチェッカーを受けた。
第2戦フィーチャーレース(決勝レース2)のグリッドは、17日に行われた予選結果順で決定され、最速タイムをマークしたアルピーヌ育成のビクトール・マルタンス(ARTグランプリ)がポールシッターとなった。フロントロウ2番手にフェラーリ育成のオリバー・ベアマン(プレマ・レーシング)が続いた。
予選で3番手タイムをマークしたテオ・プルシェール(ARTグランプリ)に、スプリントレース(決勝レース1)でのベアマンへの接触によりこのレースで5グリッド降格処分が下され、繰り上がりでジャック・ドゥーハン(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)がセカンドロウ3番グリッドを獲得。4番手からユアン・ダルバラ(MPモータースポーツ)、そして岩佐は5番グリッドからスタートを迎えた。
フォーメーションラップ直前の計測で、気温28度、路面温度48度というコンディションのもと、タイヤ交換義務を有する周回数28周の決勝レース2では、上位勢はソフトタイヤスタートとなった。
2番手スタートのベアマンがスタートで首位に浮上。マルタンス、ドゥーハンとアルピーヌカラーの2台が続く展開に。一方、5番手スタートの岩佐歩夢は6番手スタートのベスティにかわされ6番手に交代する。
そんななか、2周目のターン1で最後尾争いを展開していたブラッド・ベナビデス(PHMレーシング・バイ・チャロウズ)とアムーリ・コルデール(インビクタ・ビルトゥジ・レーシング)が接触。ベナビデスがコースサイドにマシンを止め、バーチャル・セーフティカー(VSC)が導入される。
VSC明けの3周目に抜群の蹴り出しでベアマンが1.8秒のリードを築く一方、マルタンス、ドゥーハン、ベスティは接戦。特に同じアルピーヌ育成のマルタンスに対し、ドゥーハンは果敢に攻め立てオーバーテイクの機会を伺う。
一方、5周目に岩佐は無線で「早くピットに入れたほうがいいかもしれない」とチームに伝えた。岩佐はトップ集団から0.6〜0.8秒遅れるペースとなり、先行するダルバラに2秒離され、DRS圏内の背後にプルシェールを引きつれながらの戦いに。
7周目、2番手ドゥーハン、4番手ベスティ、6番手岩佐、7番手プルシェールらがピットイン。ソフトタイヤからミディアムタイヤへ交換する。その動きに呼応し、8周目にはトップのベアマン、マルタンス、ダルバラがピットイン。
ピットアウト後、岩佐とプルシェールの間にクッシュ・マイニ(カンポス・レーシング)が入る。さらに9周目にはデニス・ハウガー(MPモータースポーツ)がプルシェールを攻略。ザウバー育成でFIA F2では強さを見せるプルシェールだが、ここジェッダでは苦戦が続く。
上位勢が軒並みピットストップを終えると、見た目上のトップには13番手からミディアムタイヤスタートのアーサー・ルクレール(ダムス)となった。“裏のトップ”争いでは、10周目のターン1でマルタンスがベアマンに仕掛けるも、コースオフ。続くコーナーでポジションを戻すことに。
ただ、マルタンスは翌11周のホームストレートでベアマンを攻略。2台がターン1で交錯する間に、チームメイトのベアマンの隙をついたベスティが2番手に浮上する。
レースはまだ前半戦にも関わらず、ベアマンのタイヤは徐々に厳しくなりつつあるのか、たまらずコースオフする場面もあり、4番手のドゥーハンがDRS圏内に近づく。
そんななか、12周目にはベスティが1分44秒894を記録しファステストを更新。マルタンスの0.6秒背後まで接近するが、マルタンスもセクター1全体ベストを更新する走りでベスティを易々とは近づけない。
ただ、ベスティも14周目に1分44秒847とふたたびファステストを更新。ジェッダ最大のオーバーテイクポイントとなるターン1を中心に、マルタンスに揺さぶりを仕掛ける。
そんななか、17周目のセクター2でベアマンが単独スピン。さらにその直後にはマルタンスがターン3で単独スピンを喫してしまい、ここでレースを終えることに。これで2度目のVSCが導入されることとなった。
この時点でルクレールを初め、5台のマシンがピット義務未消化だったが、VSC中にはピットに入ることはできず。VSCは18周目に解除された。
レース再開時点でピット義務消化組はベスティ、ドゥーハン、ダルバラ、岩佐、ベアマン、ハウガーの順に。しかし、ミディアムスタートのルクレール、リチャード・フェルシュフォー(ファン・アメルスフォールト・レーシング)らも決してペースは悪くない。
そんななか、フェルシュフォーが19周目に1分44秒644のファステストを更新。フェルシュフォーは無線で「スーパーソフトは長くは持たないから、できる限りミディアムで走りたい」とチームに伝えたが、フェルシュフォーは21周目終わりにピットイン。ポジションはピット消化組6番手のベアマンの背後となった。
フレッシュタイヤのフェルシュフォーは23周目のターン1でベアマンを攻略。その様子に呼応してか、23周目終わりにルクレールら3台がピットイン。これで全車がピット義務を消化するに至った。
ただ、ルクレールの左フロントタイヤの交換でタイムロス。ルクレールはベアマンの後方でコース復帰という状況に。これで24周終了時点で、ベスティ、ドゥーハン、ダルバラ、岩佐歩夢、ハウガー、フェルシュフォーというトップ6に。
そんな中、9番手のルクレールは1分43秒994とファステストを更新し、26周目のターン1でベアマンを楽々とオーバーテイク。
4番手の岩佐は1分45秒後半とペースに伸び悩み、徐々に5番手のハウガーが接近する。ファイナルラップには岩佐の背後DRS圏内にハウガーが接近。明らかにペースが違うマシンも、岩佐はタイヤと走行ラインを絶妙にコントロールし、ポジションを決して譲らない。
28周目を終え、ベスティがトップチェッカーを受け、自身通算2勝目となる今季初優勝を飾った。2位にドゥーハン、3位にダルバラが続いた。岩佐は0.3秒差で4位を死守し、12ポイントを獲得した。
次戦となる第3戦メルボルンは、3月31日〜4月2日にオーストラリアのアルバート・パーク・サーキットで開催される。
■2023年FIA F2第2戦ジェッダ レース2暫定結果
Pos. | No. | Driver | Team |
---|---|---|---|
1 | 7 | F.ベスティ | プレマ・レーシング |
2 | 14 | J.ドゥーハン | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング |
3 | 2 | J.ダルバラ | MPモータースポーツ |
4 | 11 | 岩佐歩夢 | ダムス |
5 | 1 | D.ハウガー | MPモータースポーツ |
6 | 22 | R.フェルシュフォー | ファン・アメルスフォールト・レーシング |
7 | 4 | E.フィッティパルディ | ロダン・カーリン |
8 | 12 | A.ルクレール | ダムス |
9 | 10 | I.ハジャル | ハイテック・パルスエイト |
10 | 8 | O.ベアマン | プレマ・レーシング |
11 | 16 | R.ニッサニー | PHMレーシング・バイ・チャロウズ |
12 | 24 | K.マイニ | カンポス・レーシング |
13 | 5 | T.プルシェール | ARTグランプリ |
14 | 20 | R.スタネ | トライデント |
15 | 9 | J.クロフォード | ハイテック・パルスエイト |
16 | 21 | C.ノバラック | トライデント |
17 | 3 | Z.マロニー | ロダン・カーリン |
18 | 23 | J.コレア | ファン・アメルスフォールト・レーシング |
19 | 25 | R.ボシュング | カンポス・レーシング |
20 | 15 | A.コルデール | インビクタ・ビルトゥジ・レーシング |
6 | V.マルタンス | ARTグランプリ | |
17 | B.ベナビデス | PHMレーシング・バイ・チャロウズ |