最速ラップポイントは選手権を左右するのか。チームの指示に背いたボッタスは「最後に1ポイントが大きく影響するかも」と重視

2019年3月20日(水)6時0分 AUTOSPORT web

 2019年の開幕戦オーストラリアGPは、決勝レースでファステストラップを記録したドライバーにチャンピオンシップポイントが付与された最初のレースとなった。この新ルールの導入は、シーズン開幕の直前になって決まったものだ。


 同様の制度は1950年から1959年までの間にも存在しており、マイク・ホーソーン(フェラーリ)が1958年のドライバーズタイトルを獲得する一因になった。だが当時のルールでは優勝者でもわずか8ポイントしか与えられなかったため、この1ポイントを獲得することの影響は大きなものだった。


 現代においては、ファステストラップポイントを得ることで何か違いが生まれるのだろうか? 優勝すると25ポイント付与される現在のF1において、1ポイントはさほど大きな意味を持たない。過去18年間で、もしこの制度があれば結果が違っていたかもしれない唯一のシーズンは2008年だ。ルイス・ハミルトン(当時マクラーレン)ではなくフェリペ・マッサ(当時フェラーリ)がタイトルを獲れた可能性がある。


 今年導入された制度に関しては、ファステストラップポイントを獲得できるのはトップ10に入賞した場合に限られている。ただ仮にその規定がなかったとしても、メルセデス、レッドブル、フェラーリ以外のドライバーがボーナスポイントを獲得できるチャンスは、実際には低いだろう。2016年にターボハイブリッドエンジンが導入されて以降、全レースの約90パーセントにおいて、ファステストラップはこのトップ3チームに独占されている。


「ポイント獲得の対象をトップ10に限定したのは良いことだと思う」とルノーのダニエル・リカルドは語った。


「ファステストラップを狙うためにピットインして新しいタイヤに履き替えているうちに、別の何かを失ってしまう可能性があるわけだからね。新制度がどう機能するのか、見ていくつもりだ。(この制度が)選手権の行方を左右するようなことはあり得ないとは言わないけれど、まずないと思うよ」


■最速ラップ記録のボッタス「最後に1ポイントが大きく影響するかも」


 一方ロバート・クビサは、スピードが出ない今のウイリアムズではファステストラップ争いに加われないと考えており、「残念だけれど、この制度は僕たちには大きく影響しないと思う」と話した。


「少なくとも今のところはね。ただ、この制度が、レース終盤に何台かのマシンが不思議な行動をとることにつながる可能性はある。状況次第ではあるけれど、突然3、4台のマシンが立て続けにピットインするかもしれない」


 ドライバーがレース終盤にピットインを行ってタイヤを新品に変えるのは、燃料の大半を使い切っていて、ファストラップに挑戦しようと考えるときだけだろう。だがそれは、ひとつ後ろのポジションのドライバーとの間に、ピットインしても順位を落とさずにすむほどのタイム差がある“フリーピットストップ”が可能な場合に限られ、かつピットでもすべてが順調に運ぶと想定した場合だ。


 だとすれば、この新規定には何の意味があるのだろうか? 何らかの奇妙な戦略を用いて、ドライバーがファステストラップポイントを獲得すれば、レース後の話題作りには貢献するかもしれない。


「全21戦で、21の追加ポイントになる。これを皆がどう狙いにくるのか、興味深いところだ」とメルセデスのルイス・ハミルトンは語った。


 オーストラリアGPでは、メルセデスはふたりのドライバーに対し、終盤にファステストラップを狙いにいかないよう指示を出していた。だがそれでも、バルテリ・ボッタスはファステストラップを狙いにいき、1分25秒580という最速タイムを記録した。


「1ポイントを獲得できるんだ。仮に3ポイント以上積み重ねれば、シーズンの終盤で大きな違いになるだろう」とボッタスは述べた。


「誰にも分からないことだよ。1ポイントが最後に違いを生むかもしれない」


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