侍ジャパンが強力アメリカ打線を抑えられた要因は?日本一の投手コーチが回答「力みが良い方向に出た」「90点以上を付けてもいい」
2023年3月23日(木)17時10分 ココカラネクスト

(C)Getty Images
侍ジャパンは3月22日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)決勝で前回大会優勝国のアメリカを3−2で下し、14年ぶり3度目のWBC制覇を果たした。
メジャーリーグのトップスターが並んだ強力なアメリカ打線を、日本の投手陣はソロ本塁打2本の2点に抑えた。果たして、その要因は? 現役時代に最多勝や最優秀防御率など数々のタイトルを獲得し、引退後はダルビッシュ有や田中将大らを育てた”日本一の投手コーチ”佐藤義則氏に話を聞いた。
【関連記事】大谷翔平が優勝後にMLBレジェンドから質問攻め「なぜトラウトにあんなエグい球を」に何と答えた?
「アメリカとの決勝では、日本の強さが出た」
端的にそう語った佐藤氏は、「日本の強さ」について次のように続けた。
「ピッチャーがしっかり投げて、その中で村上(宗隆)と岡本(和真)に一発が出た。日本のホームランキング2人が打ってくれた最高の試合だったね。相手にも2本のホームランを打たれたけど、侍ジャパンの投手陣はボールの力もあったし、素晴らしかった」
好投を見せた投手陣のなかでも、「特に良く見えたのは、高橋(宏斗)と伊藤(大海)」だったという。高橋については「ノースリーから相手が振ってくれてセンターフライになった場面は助けられたけど、ベースの上で勝負できているからやっぱり相手も振ってくれる」としつつ、両者とも「追い込んでからのフォークボールがしっかりと決まっていた。フォークに速さもあったし、ボールからボールだと見送ってくるけど、ストライクからボールになる球を投げていた」と評価した。
アメリカ戦前に佐藤氏がもっとも懸念していたのが、「抜けたフォークを打たれる」ことだ。しかし、この日はほとんど変化球が抜けて高めに来るケースが見られなかった。これには、選手の「力み」が関係しているという。同氏は「みんな力が入って力みもあったのでボールになってしまう場面もあったけど、力が入っていた影響で『抜ける』より『引っかける』ボールの方が多かった。だから、高めに浮いた変化球があまりなかったので、力みが結果的に良い方向に出たともいえる」と分析。決勝という大舞台で普段以上にアドレナリンが出たこと、加えて1イニング限定というシチュエーションが投手の”アクセル”になったようだ。
「真っすぐとフォークで押すピッチングだったから配球には課題があったけど、ピッチャーを総動員できるこういう大会では勢いも大事だからね。勢いで押し切った日本の投手陣には、90点以上を付けてもいいと思う。ちょっとボールになった数が多いのはマイナスということでね。今大会は大量得点の試合が多かったからバッターが目立ったと思うけど、やっぱり投手力は大きかった」
今永昇太が先発し、戸郷翔征、高橋宏斗、伊藤大海、大勢、ダルビッシュ有、そして大谷翔平と実に7人がつないだマシンガン継投も「日本はフォークが武器のピッチャーが多いけど、そのなかで個性を持っている。そういうピッチャーが1イニングだけに集中したら、バッターは打てないよ。継投も上手くいっていたし、素晴らしい優勝だったね」と称賛した同氏。最後には「アメリカもメジャーリーグで成績を残した選手が出てきたチームだったので、それに勝った侍ジャパンは胸を張って世界一と言っていいと思う。心からおめでとうと言いたい」と笑顔で侍ジャパンの面々に祝福の言葉を送った。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]