健大高崎のエース石垣元気「全部真っすぐでいこう」 復活登板で最速152キロ 全5球150キロ超え
2025年3月24日(月)6時0分 スポーツ報知
9回途中から登板し、最速152キロを計測した健大高崎・石垣(カメラ・義村 治子)
◆第97回センバツ高校野球大会第6日 ▽2回戦 健大高崎4ー3敦賀気比(23日・甲子園)
春連覇を目指す健大高崎(群馬)は、最速158キロを誇る今秋ドラフト上位候補のエース右腕・石垣元気(3年)が1点リードの9回2死一塁、救援で今大会初登板。左脇腹痛からの復帰登板となる中、最速152キロをマークするなど5球全て150キロ超でねじ伏せ、2年連続の8強に導いた。
主役の登場に、甲子園がどよめいた。1点リードの9回裏2死一塁。一塁側ベンチ前で出番を待っていた石垣が、マウンドへ駆けていった。「ピッチャー、石垣君」のコールに大きな拍手がわき起こり“劇場”の幕が開いた。
待ちに待った聖地のマウンド。石垣の心は決まっていた。「今日は真っすぐが走っている。全部真っすぐでいこう」。敦賀気比の1番・岡部飛雄馬への初球で、いきなりスコアボードに150キロの数字を映し出すと、2球目には、センバツ史上2番目の速さとなる152キロを計測。場内の盛り上がりは最高潮に達した。その後も151、152キロを計測し、2ボール2ストライクで迎えた5球目。152キロ速球で力のない遊飛にねじ伏せ、試合を締めた。軽くガッツポーズを作ったあと、笑顔であいさつの列に加わった。
「コントロールはアバウトで。ど真ん中で抑えようという気持ちだった」。2万人の観衆を魅了した投球を、石垣は事もなげに振り返った。青柳博文監督(52)が「9回に岡部まで打順が回る状況になったら石垣を投入する」と最も警戒した好打者を力で圧倒。岡部は「伸びが全然違う。今まで見てきたなかで一番速かった」と脱帽するしかなかった。
13日の練習試合で左脇腹を痛めた影響で、18日の明徳義塾との初戦の登板を回避。この日のパフォーマンスも「80%くらいのコンディション」でのものだった。視察したDeNA・八馬アマスカウトディレクターは「万全になれば、もっとすごい。ワクワクします」と期待を隠さなかった。
センバツでの連勝を7に伸ばして8強進出。史上4校目の連覇を達成するには、石垣の右腕が欠かせない。「(準々決勝は)先発もあると思います。めどが立ったので、ちょっと頼もしい」と指揮官。復活を証明する「石垣の5球」が、健大高崎のV2ロードを明るく照らした。(浜木 俊介)
◆石垣 元気(いしがき・げんき)2007年8月16日、北海道・登別市生まれ。17歳。幌別西小1年で野球を始め、登別西陵中では洞爺湖シニアに所属。2年夏から投手。高校では1年春からベンチ入りし、2年春のセンバツ優勝に貢献。昨夏の甲子園から背番号1。昨秋の関東大会で、2年生の史上最速記録となる158キロをマーク。甲子園での最速は153キロ。178センチ、78キロ。右投両打。