通算6勝と相思相愛のサーキットで、ルーベンス・バリチェロが“ハットトリック”達成/SCB第2戦

2022年3月28日(月)17時42分 AUTOSPORT web

 3月19〜20日の週末にシリーズお馴染みのゴイアニア、アイルトン・セナ・インターナショナル・サーキットで争われた2022年のSCBストックカー・ブラジル“プロ・シリーズ”第2戦は、2014年のチャンピオンでもあり同地通算6勝を誇るルーベンス・バリチェロ(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)が、予選ポールポジションからレース1、レース2完全制覇の“ハットトリック”を達成。50歳を目前にしてゴイアニアでの8勝目とSCBシリーズ通算20勝目を手にした。


 国際舞台で活躍する豪華ゲストドライバーを招いた伝統の“レース・オブ・ダブルス”で開幕した2022年SCBは、続いてシリーズ名物トラックとなる全長2695mのゴイアニア外周路を使用した高速トラックでの1戦を迎えた。


 このイベントから通常フォーマットに戻り、土曜2回の公式練習から予選、そして日曜2ヒートのタイムスケジュールとなったが、その最初の公式セッションからスピードを披露したのが元F1ドライバーの跳ね馬乗りだった。


「今日は走り出しから特別だった。個人的にもここは相性が良いし、僕らは間違いなく競争力のあるクルマを持っている。週末を通じて良い状態を維持したいね」とご機嫌の表情を浮かべたのは、FP1で最速を記録したTOYOTA GAZOO Racingブラジルのトヨタ・カローラ111号車をドライブするバリチェロ。


 その鉄人に並び午後のFP2でトップタイムをマークしたのは、昨年のゴイアニアで史上唯一の“パーフェクト”を達成し、バリチェロと同様の同地通算6勝を記録する3冠ドライバー、リカルド・マウリシオ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)となり、ふたりのマイスターが記録更新を狙う直接対決の構図が整った。


 こうしてFP1、FP2ともに参戦全33台中32台が秒差圏内に並ぶという緊迫の勝負が続くなか、迎えた予選では再び31名が1秒以内にひしめく接近戦となり、セッション最初のグループでトラック上に入ったバリチェロが、今季からトヨタ陣営内で移籍を果たしたマティアス・ロッシ(A.マティス・フォーゲル/トヨタ・カローラ)を2番手に抑え、50秒111と1000分の1秒まで自身のカーナンバーを揃える好タイムを叩き出し、早々にポールポジションを確保。ゴイアニアでは5度目、SCB通算14度目の最前列グリッドを獲得した。


「ここに家を買うか土地を買うかまではわからないけど(笑)、僕はこの場所が大好きだよ。そして、この(予選タイムと車番の)数字の一致は信じられないほどだ。本当に幸せだし、うれしくて感情的になると窒息しそうになるけど、ここでポールを獲得できるなんて本当に最高のことだ」と喜びをあらわにしたバリチェロ。


 一方のマウリシオは予選9番手に留まり、フル参戦2年目を迎えるフェリペ・マッサ(ルブラックス・ポディウム/シボレー・クルーズ)の僚友で5番グリッドを獲得したフリオ・カンポスに次いで、シボレー勢で2番手の結果に。それ以外の予選トップ10は、4番手リカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)や、こちらも2年目で躍進を期す8番手トニー・カナーン(テキサコ・レーシング/トヨタ・カローラ)、そして同10番手のネルソン・ピケJr.(モチュールTMGレーシング/トヨタ・カローラ)も含め、トヨタ勢の8台が占拠するリザルトとなった。

昨季デビューイヤーは不振に喘いだトニー・カナーン(Texaco Racing/トヨタ・カローラ)も、FP1で13番手と好発進「ルーベンスの調子を分けてもらえたよ」
昨季のゴイアニアで”パーフェクト”を達成し、バリチェロに並ぶ同地最多勝記録を持つリカルド・マウリシオ(Eurofarma-RC/シボレー・クルーズ)
今季は地元アルゼンチンのSTC2000を回避し、SCBでの躍進を期すマティアス・ロッシ(A.Mattheis-Vogel/トヨタ・カローラ)


■喜び爆発のバリチェロ「この勝利は僕の息子たちに捧げたい」


 明けた日曜には、マウリシオのチームメイトでこちらも3冠を誇るダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)がひとり遅れた状態で戦列に復帰。この週末は北米フロリダ州で、WEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のシリーズ開幕戦でもあったセブリング12時間の最後の数日間を過ごし、プログラムでの旅を終えたセラはすぐにゴイアニアに向け帰郷。日曜ぶっつけ本番でレースに挑むこととなった。


 これで全34台が並んだグリッドからポールシッターとしてスタートを切ったバリチェロは、必須のピットストップウインドウ期間を除いて、オープニングヒート全体でリードを維持。セカンドロウ3番手発進のセザール・ラモス(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)と、シボレー勢で気を吐くカンポスを従え、まずは最初の勝利を手にした。


 そしてリバースグリッド10番手発進となったレース2でも、トラック上でチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)らを仕留め、競争力あるレースペースで早々に上位進出を果たすと、19周目のルーティン作業で首位奪取に成功。そのまま同地最多勝を争うマウリシオと、前日FPの車両火災から復活のディエゴ・ヌネス(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)、そして16番手から4位まで躍進した千両役者セラを抑え切り、ゴイアニア通算8勝目とキャリア20勝の大台に達する週末“ハットトリック”を達成してみせた。


「なんて瞬間、なんて素晴らしい週末だろう……ひとつのレースウイークでこれほどの成功と勝利を収めただなんて、記憶にないほどだよ!」と喜びを爆発させたバリチェロ。


「この勝利は僕の息子たちに捧げたい。チェッカー後の無線では(次男の)フェフォが祝福してくれた。2000年のホッケンハイム(フェラーリF1での初勝利)でも僕はうれしくて大泣きしたが、今日はそのときよりもう少し泣けたかもしれないね」と、この5月には50歳を迎える鉄人。


 この結果により、ディフェンディングチャンピオンで開幕“ダブルス”勝者のガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)と、ランク2位のカミーロに次ぐチャンピオンシップ3位に浮上したバリチェロ。続くSCB第3戦はリオデジャネイロ・グアナバラ湾に浮かぶ最大の島、ゴヴェルナドール島に位置するアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港(旧ガレオン国際空港)の設備を活用した、シリーズ史上初となる“エアポート・レース“が4月9〜10日の週末に争われる。

ルーベンス・バリチェロ(Full Time Sports/トヨタ・カローラ)が日曜レース1で盤石のポール・トゥ・ウイン発進を決める
開幕“ダブルス”勝者の王者ガブリエル・カサグランデ(A.Mattheis-Vogel/シボレー・クルーズ)は5位が最上位
「この勝利は僕の息子たちに捧げたい」と語り、次男とともに喜びを分かち合ったルーベンス・バリチェロ

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