トヨタ同門対決を制したハムリンが、新クルーチーフと今季初優勝/NASCAR第7戦

2025年4月1日(火)18時12分 AUTOSPORT web


 まさに“トヨタ陣営のためのレースウイーク”となったマーティンスビル・スピードウェイでの2025年NASCARカップシリーズ第7戦『クックアウト400』は、ピットクルーの完璧かつ迅速な仕事ぶりのおかげもあり、デニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)が今季初優勝を達成。400周のうち126周目にトップに立ったベテランは終盤274周でリードラップを記録し、チームメイトであるクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)を4.617秒差で破るとともに、今季クルーチーフを引き継いだ初ペアのクリス・ゲイルにもカップ初優勝をプレゼントしている。


 シリーズでも名物トラックとなる0.526マイル・ショートトラックでは、金曜の初走行からカムリXSEが群を抜く仕上がりを披露。そのフリープラクティス(FP)はダレル“バッバ”ウォレスJr.(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)の首位で終えると、続く予選では今季破竹の3連勝も記録したベルが、通算11回目のマーティンスヴィルで同地初、そして今季最初のポールウイナーを射止めた。



「FP後はちょっと落ち込んでいたんだけど、ここで自分のクルマをドライブして感じた最高の予選セッションだった」と、これまで一度もこの“ペーパークリップ”型オーバルでトップ5グリッドを獲得した経験がなく、初の最速で「自分自身が一番、驚いている」と明かしたベル。


「とにかく楽だった……20秒台でラップを走るのが簡単だったし、コースに出てみるとクルマのグリップがすごく良かった。本当にいいラップを刻めた。20号車の全員を本当に誇りに思うよ、ここマーティンスヴィルでのパッケージを改善するために、一生懸命働いてくれたのが証明できたからね」


 迎えた決勝は31周目にデブリでコーションが出されると、走行順が劇的に変化する展開となり、ここでは好調ジョシュ・ベリー(ウッド・ブラザーズ・レーシング/フォード・マスタング)がコーション中にステイアウトした6台を率いて、40周にわたってトップの座を維持していく。


 しかしクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)がフロントストレッチでスピンしたことでベリーの流れも変わり、ピットロードではウォレスの23号車と衝突。その後、オルタネーターに問題が生じて勝負から脱落の憂き目に遭う。



名物トラックとなる0.526マイル・ショートトラックでは、金曜の初走行からカムリXSEが群を抜く仕上がりを披露


トヨタ陣営JGRに喰い下がったGM陣営HMSともに、チーム内で明暗が分かれる展開に


ポール発進のクリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)だったが、ラップリードは25周に留まることに

 同じく71周目のイエローでコース上に留まり、最後のスプリントでステージ1を制覇したジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)も、317周目にチェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)がターン3のイン側の縁石にヒットして跳ね返り、あおりを受けたロガーノの22号車は壁に向かってスピン。チャンピオンも浮き沈みの激しい日曜となり、最終的には8位まで挽回して今季初のトップ10入りが精一杯の状況となる。


 そんななか、早々にレースの主導権を握ったのは3列目発進だったハムリンで、326周目の最後のリスタートではベルとのサイド・バイ・サイドも演じつつ、その後は悠々のクルージングでフィニッシュラインに到達。自身にとって2015年以来のマーティンスヴィル通算6勝目を挙げるとともに、キャリア通算55勝目に到達してラスティ・ウォレスと並ぶ歴代11位となった。


「クリス・ゲイル、エンジニア全員、ピットクルー、本当にピットストールにいる全員が、ここ数年の我々とは違うアプローチでここへ来ることを決意したんだ」と、これまで7名のクルーチーフとカップレースで勝利してきたハムリン。


「ただただ素晴らしかった。クルマは最高だった。必要なことはすべてやってくれたし、クリスと一緒に勝って55勝に到達できて本当にうれしい。もちろん、ここマーティンスビルでは最新型の車両規定モデルでレースをしていたが、こうしてGen7(Next-Genと呼ばれる現行の第7世代カップカー)で勝てたのも最高だ!」


 周回が進むにつれ……というより、今季開幕から新任として緊張が高まる日々を過ごしてきたクルーチーフのゲイルにとっても、この勝利は自身の関門をひとつ突破した機会となった。


「インターコムで笑ったり冗談を言ったりしていた」と、レース後には笑顔を見せたゲイル。


「隣のJr.レースエンジニアは足を震わせていたし、後ろには多くの人がいたから『ここにはマスダンパーが必要だ。でなければ(タワーが揺れて)誰かがボックスから落ちてしまうだろう』と思ったよ(笑)」



このショートトラックを大得意とするデニー・ハムリン。400周のうち126周目にトップに立ったベテランは終盤274周でラップリーダーを記録する


最前列発進のチェイス・エリオット(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)は4位、僚友カイル・ラーソンも5位でフィニッシュ


タイラー・レディック(23XIレーシング/トヨタ・カムリXSE)は僚友タイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)と絡み、チェイス・ブリスコ(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)はアクシデントの起因に

 そんなゲイルも、つねにタイトル戦線の渦中で過ごしてきた常勝11号車のチーフを任される重圧を、次のような言葉で表現した。


「この勝利は目に見える安堵をもたらしたが、おそらく誰よりも私にとって……だろう? 変わったのは私だけだからね」と続けたゲイル。


「彼らは以前からレースに勝ち続けていたし、もしプレッシャーを掛けられるとしたら、それは私だった。変化があるときはいつでも、その懸念があると思う。彼らやチームは私にそれを見せずにいたが、心の奥底では人間の性質として『さて、我々は以前と同じくらい勝てるだろうか? ここでメンバーにいくつか変更を加えているが、これはどのように機能するだろうか?』と考えているに違いない。そう感じていたんだ」


「だからこそ、うまく協力してきたと感じられるのは素晴らしいことだし、最初の勝利を収め、その懸案を早く終わらせることは、おそらく彼ら全員……そして私自身も安心する材料になったはずだ」


 同じくマーティンスビルで併催されたNASCARクラフツマン・トラック・シリーズ第5戦『ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・ザ・ブルーリッジ200』は、34歳のダニエル・ヘムリック(マカナリー・ヒルゲマン・レーシング/シボレー・シルバラードRST)がシリーズ初優勝を飾り、得意技のバックフリップを決めることに。


 一方、土曜に開催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第7戦『USマリン・コープス250』では、オーバータイムの最終コーナーでクラッシュする3台のボトムを掻い潜ったオースティン・ヒル(リチャード・チルドレス・レーシング(RCR)/シボレー・カマロ)が勝利し、所属先のRCRはシリーズ通算100勝目を手にすることに。


 この週末を前に、RCRからはジェシー・ラブとともに相互出場にて33号車カマロZL1でのカップシリーズ5戦への参戦が発表されており、その4月のダーリントンを前にヒルは自身の昇格再挑戦に華を添える結果となっている。



「11 Against The World」と、自身がファンでもある大学フットボールチームへの賛辞を掲げたデニー・ハムリン


NASCARクラフツマン・トラック・シリーズでは、34歳のダニエル・ヘムリック(マカナリー・ヒルゲマン・レーシング/シボレー・シルバラードRST)がシリーズ初優勝を飾り、得意技のバックフリップを決めた


NASCARエクスフィニティ・シリーズはオースティン・ヒル(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が勝利し、RCRに通算100勝目をプレゼントした










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