ARG eSports Cup第2戦:実力者はバーチャルレースでも強し。元BTCC王者サットンが連勝

2020年4月10日(金)16時58分 AUTOSPORT web

 オーストラリアのモータースポーツ活動を統括するARG(Australian Racing Group)が創設した新規eスポーツ・シリーズ“ARG eSports Cup”の第2戦が開催され、ベルギーのゾルダー・サーキットを舞台に争われた2ヒートで、元BTCCイギリス・ツーリングカー選手権王者のアシュリー・サットンが開幕戦に続く勝利を記録。レース2では元バサースト1000勝者のガース・タンダーが優勝を飾るなど、現実世界の実力者たちが結果を残した。


 豪州大陸のトップカテゴリーであるVASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカー以下、数多くのカテゴリーを抱えるオーストラリアは、そのシリーズ全体の統括を担うARGによりアウディRS3 LMSワンメイクによる仮想シリーズをラウンチした。


 このARG eSports CupはTCRオーストラリアを中心に、VASCのステップアップカテゴリーであるSuper2、そして新世代シングルシーターのS5000やV8ツーリングカー参戦組を中心としたドライバーたちを対象にエントリーを募っている。


 そんなバーチャル・シリーズの第2戦で速さを見せたのは、遠くイギリスからオンライン遠征する2017年BTCC王者のサットン(Panta Racing Fuel)と、2007年のVASCシリーズチャンピオンであるタンダー(Melbourne Performance Centre)という、ふたりのタイトルホルダーだった。


 現実世界ではこの2020年にチャンピオンカーの『スバル・レヴォーグGT』から『インフィニティQ50 BTCC』にスイッチすることになっていたサットンは、その新型モデルでの実戦より前に仮想空間でアウディを走らせ、元VASC参戦組で現在S5000シリーズに挑戦中のジェームス・ゴールディン(Team Valvoline GRM)を抑えてポールポジションを獲得。40台を集めたラウンド2の予選セッションでも、開幕戦勝者の実績がフロックではないことを証明した。


 そのレース1スタートでも盤石のホールショットを決めたサットンに対し、初代TCRオーストラリア王者のウィル・ブラウン(HMO Customer Racing)はファーストシケインでリタイアを喫し、開幕から3ヒートでレース離脱率100%という仮想空間との相性の悪さを露呈する形に。

“ARG eSports Cup”の第2戦には、開幕戦バサーストの52台に続いて総勢40台のエントリーが集まった
イギリスから”遠征”する2017年BTCC王者アシュリー・サットン(右)はR1を制し、開幕2連勝を飾った


 続く3ラップ目にもアクシデントが発生し、TCRオーストラリアのレギュラー組となるネイサン・マルコム(HMO Customer Racing)とジョン・マーティン(Wall Racing)が大クラッシュ。フェンスにヒットしたWall Racingのマシンが跳ね上がり、トラック上に戻ってきたところにTCR王者のチームメイトが差し掛かり、両者はその場でリタイアとなってしまう。


 レースはそのまま首位サットンが余裕のクルージングでフィニッシュラインを通過してシリーズ2勝目をマーク。その10秒後方の2位にはディラン・オキーフ(Renault Sport GRM)が浮上し、3位には4番手スタートから一時2番手までポジションを上げたネイサン・ヘルネ(Gulf Western Oils)が入った。4位には2020年創設のTCRニュージーランド・シリーズを追うことが決まっている“kiwi”の新鋭、ジェイデン・ランズレー(Track Tec Racing)が続いている。


 続く15分間のレース2は前戦トップ20のリバースグリッドが採用されると、集団に飲み込まれたR1勝者サットンはターン1でアクシデントに巻き込まれ大きくポジションを失うことに。代わってこのレースを率いたのはタンダーとアーロン・キャメロン(Team Valvoline GRM)のふたり。


 初年度TCRオーストラリアでも対戦したふたりは、同じくレギュラー組のジョーダン・コックス(Garry Rogers Motorsport)を交えて三つ巴の首位バトルを展開し、ラップごとに目まぐるしく首位を入れ替えていく。


 さらに後方からはSuper3やV8ツーリングに参戦中の若手有望株ニック・キャロル(Melbourne Performance Centre)が迫り、レース1で5位入賞の勢いそのままに2台のGRM勢を仕留めると、これが初参戦とは思えぬ落ち着きぶりでパッシングを決め、2番手にまで上がってくる。


 しかし15分間のレースタイムでは首位タンダーに5秒届かず。現実世界でもMPCのアウディRS3 LMSで勝利を挙げている元バサースト1000ウイナーが仮想空間初勝利を挙げ、2位にキャロルが続きMPC勢がワン・ツーを達成。3位にオキーフ、4位にキャメロンのGRM勢が並ぶリザルトとなった。


 ARG eSports Cupの第3戦は、NASCARやインディカーも開催されるアメリカ西部を代表するトラック“ザ・グレン”ことワトキンスグレンを舞台に争われる。

初代TCRオーストラリア王者ウィル・ブラウン擁するHMO Customer Racingは、アクシデント続きの厳しい展開に
続く”ARG eSports Cup”の第3戦は、NASCARやインディも開催されるアメリカ西部を代表するワトキンスグレンで争われる


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