元気よくポジティブに!「らしさ」を発揮した徳島ヴォルティスジュニアが3年ぶりの四国制覇《JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国》

2024年4月10日(水)11時45分 サッカーキング

JA全農杯全国小学生選抜サッカーの醍醐味

 4月6日・7日、心配された降雨も直前で好転し、満開の枝垂桜が出迎える「JAアグリあなん運動公園」には四国4県から選抜された小学校新4年〜6年生のサッカー選手が集結。5月3日から神奈川県で行われる決勝大会への切符をめぐる『2024JA全農杯全国小学生選抜サッカーIN四国』が行われ、激戦が繰り広げられた。

 8人制&1ピリオド12分の3ピリオドで行われる今大会は、第1、第2ピリオドは選手を総入れ替えする必要があり、多くの選手に出場機会が与えられるレギュレーション。選手の得手不得手の組み合わせや出場順、選手交代も大きく試合を動かすポイントになってくる。

 6日に行われた3チームづつが4ブロックに分かれた予選リーグで目立ったのは、昨年優勝したDESAFIO CLUB DE FUTBOL(香川1位)。新チームとなっても2勝11得点1失点と圧巻の実力を見せた。さらに、競り合いに負けない力強さを見せたエストレーラス高知(高知1位)、最後まで落ちない運動量がすばらしいF.C.コーマラントジュニア(香川2位)、ドリブルやパスの技術の高さを披露した徳島ヴォルティスジュニア(徳島1位)の4チームが7日の決勝トーナメントへ進んだ。

 この年代の特徴のひとつは、女子選手も同じチームで出場すること。高松第一フットボールクラブ(香川3位)の松村璃和(まつむら・りな/5年生)は、第2ピリオドの右ウィング/ハーフとして、積極的なドリブルによる仕掛けで相手を抜き去り、効果的なラストパスを送っていた。チームは7位に終わったが、「自分が好きなドリブルをもっと生かせる選手になりたいです」と成長を誓ってくれた。

徳島ヴォルティスジュニアの変化

 明けて7日の決勝戦。ともに白熱した準決勝を勝ち上がったのは堅守のコーマラントを個人技で強引にこじ開け、2−0で勝利した徳島ヴォルティスジュニアと、DESAFIOの破壊力抜群の攻撃を出足鋭いディフェンスで1−0と完封して見せたエストレーラス高知の2チームとなった。

 試合序盤は、長短のパスを使い個人技に優る徳島ヴォルティスを相手に、走り負けない運動量とチャレンジ&カバーの早さで応戦するエストレーラス高知という展開に。すると第1ピリオドの8分過ぎ、試合が動き出す。徳島ヴォルティスの柴田悠妃(しばた・ゆうき)がフリーキック一閃。10メートルはあろうかという距離をものともせずにゴール右隅へ決めきった。

 チーム全員で柴田を取り囲み、喜びを表す選手たち。ふと、過去の取材でこんなに喜びを表現する徳島ヴォルティスを見たことがあったろうか?と思う。思い返してみて、よく言えば大人だが、感情の発露があまり見られないJ傘下育成カテゴリー独特の雰囲気が徳島ヴォルティスにもあった。今年、明らかに変わった空気の中心にいるのは美馬奏音(みま・かなと)だ。

 「僕は盛り上げ隊長なんです。チームが静かな時もあるんで、ずっと声を出してみんなを楽しく(ゲームに集中)させようと」(美馬)。得点を機に空気は変わった。勢いがついてより鋭くなった徳島ヴォルティスのサイドチェンジや縦に早いパスへの対応が徐々に遅れて、エストレーラス高知のディフェンス網がジリジリと下がっていく。

 第2ピリオドも徳島ヴォルティス優勢だったが、押し戻したのはエストレーラス高知のGKを担った森本莉生(もりもと・りき)。低く遠くまで飛ぶキックで陣地を回復するだけでなく、1対1の場面でも確実なシュートブロックで得点を阻止、さらにはそのロングキックでカウンターの起点になるまで“高知いごっそう”の心意気を見せた。

 第3ピリオド、その森本をフィールドプレイヤーとして投入して「1点決めてこいと送り出した」エストレーラス高知・沖本(おきもと)コーチだったが、前線に森本を張り付けて一枚減ったディフェンスでは徳島ヴォルティスを止めることができない。

 8分、柴田がこの日2点目を挙げると、終了間際には西本圭吾(にしもと・けいご)から湯浅裕次郎(ゆあさ・ゆうじろう)へのホットラインが通じてヘディングシュートが決まり、スコア3−0となったところで試合は終了。徳島ヴォルティスジュニアは2021年以来3年ぶりの優勝で満開の笑顔を花咲かせ、感情を爆発させた。


徳島の“調子乗り世代”が躍進誓う

 キャプテンを務める木内来牙(きのうち・らいが)は、「自分たちは全員が元気でポジティブにプレーできているのかなと思います。点を取られても諦めずいこうっていつも思ってプレーしています」と、テクニックへのこだわりの強い“J育成らしさ”を求められる中にありながら、前向きな積極性が“自分たちらしさ”だと自信をもって語ってくれた。

「今年のチームは本当に元気がいい。調子乗りです(笑)。(今までの子は)緊張するところがあって相手によっては緊張しておとなしい感じになりますけど、6年生が元気に引っ張ってくれている」と、徳島ヴォルティスジュニアの行友亮二(ゆくとも・りょうじ)監督も称えるチームの革新が見られた大会となった。

 決勝大会へ向け、美馬が「全国の1位になれるように自分も引っ張るし、みんなで全力で勝てるように頑張ります」と語れば、木内も「練習の強度を上げて全国でもやれるだけの力をつけて優勝します!」とポジティブだ。徳島ヴォルティスジュニアはどこまでもポジティブに“自分たちらしさ”を磨き、全国でも優勝を目指す。

取材・文=上溝真司

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