豪州SC:第3戦タスマニア、ラウンズひさびさの勝利もレッドブル勢は明暗分ける週末に

2018年4月12日(木)13時52分 AUTOSPORT web

 F1オーストラリアGP併催の第2戦を経て、VASCヴァージン・オーストラリア・スーパーカーの第3戦『タスマニア・スーパースプリント』が4月7〜8日に開催され、レース1をレッドブル・レーシング・オーストラリア(RBRA)の、王者ジェイミー・ウインカップ(ホールデン・コモドアZB)が制覇。続くレース2はそのRBRAのサテライトであり、今季自らの名を冠したオートバーン・ラウンズ・レーシングとして参戦するクレイグ・ラウンズ(ホールデン・コモドアZB)が、2016年以来となるひさびさの勝利を飾った。


 オーストラリア・パース近郊のシモンズ・プレインで開催された第3戦は、昨年12台の多重クラッシュが発生するなど、マシンにもドライバーにも厳しいトラックが舞台。


 そのレース週末を前に、今季からGen2規定マシンとして参戦しワークスチームとしてマシン開発を担当したRBRA、トリプルエイト・レースエンジニアリングとGMホールデンは、『バサースト1000』を含むシーズン後半の数戦で”ワイルドカード”として投入予定だった新型V6直噴ツインターボの開発延期を発表。現行の自然吸気V8へのリソース集中を表明するなど、大きなニュースがパドックを駆け巡った。


 そのオープニングとなるラウンド7に向け、予選でポールポジションを獲得したのはRBRAでウインカップのチームメイトを務める2016年王者のSVGことシェーン-ヴァン・ギズバーゲン(ホールデン・コモドアZB)で、2番手にウインカップが並びレッドブル勢がフロントロウを独占。


 セカンドロウにもトリプルエイトがオペレーションするラウンズが入り、ここへきて当初から完成度の高さを見せていた新型ホールデンの熟成とセットアップがさらに進んだことが感じられる予選結果となった。


 スタートはそのSVGがポールから盤石の飛び出しをみせるも、ウインカップがわずかに出遅れラウンズが2番手に浮上。序盤はトリプルエイトの3台が変わらぬオーダーでレースを進めていく展開に。


 その序列に動きが出たのは、首位を走るSVGが最初のピットに飛び込んでからのこと。後方を走る”セブンタイムス・チャンピオン”のウインカップは、そこから6周にわたり予選アタックのようなスパートを敢行。


 続く自身のピット作業でもクルーがノーミスでマシンを送り出すと、トラック上でチームメイトの前に出ることに成功。そのままチェッカーまで走りきり、シモンズ・プレインでの記録更新となる通算12勝目を数える成功を収め、この時点でドライバーズランキングでも3位に浮上した。


「今日は僕のクルーがロケットのようなマシンを与えてくれた。それはもう、本当に素晴らしい速さだったよ」と喜びを語ったウインカップ。


「スタートがひとつの鍵になったけど、SVGが早めのピット戦略を選んだのを見て、ここしかないとプッシュした。(前戦の)アデレードでギアボックスが壊れてレースを落としたのは本当に痛手だったし、今はこうして獲れるときに獲ることが大事になるね」

今回から金曜プラクティストップ10がQ1免除となる新たな予選システムを導入。RBRA勢が最前列を占めた
レース1は戦略、レース2はトラブルで落としたSVGは「忘れてしまいたい週末になった」と意気消沈
対照的に7度の王者、ジェイミー・ウインカップはタスマニア通算12勝目、今季2勝目をゲットした
前戦で勝利を挙げた新生ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッドは、ジェームス・コートニーがレース1で3位表彰台を確保


 一方、SVGは2番手で2度目のストップを終えた後、さらにペースを失いラウンズにもかわされると、フィニッシュ間際にジェームス・コートニー(ウォーキンショー・アンドレッティ・ユナイテッド/ホールデン・コモドアZB)、デビッド・レイノルズ(エレバス・モータースポーツ/ホールデン・コモドアZB)、ファビアン・クルサード(DJRチーム・ペンスキー/フォード・ファルコンFG-X)らにもかわされ6番手でチェッカーとなった。


 続く週末2戦目となるラウンド8のレース2は、前日とはポジションを入れ替えたものの再びトリプルエイト・レースエンジニアリングの3台がレースを支配していく。


 2015年以来となるポールポジションからスタートしたラウンズが、SVGとウインカップを引き連れて周回を重ねると、序盤はそのベテランにプレッシャーをかけ続けていたSVGが徐々に遅れる展開に。


 代わってそのラウンズにチャレンジしたのはDJRチーム・ペンスキー、シェルVパワー・レーシングのスコット・マクローリン(フォード・ファルコンFG-X)で、最初のピットストップを経て一時トップに浮上。


 レース1では電子センサーのトラブルでシフトカットが正しく機能せず、ストレートスピードが伸びない症状で9位に終わっていたヤングガンは、ここから後続を引き離すべくアタックをかけるものの、この日のラウンズはコース上でも安定したパフォーマンスを披露し、マクローリンのフォードを直接対決でオーバーテイク。そのまま2016年シーズン以来となる久々の勝利を飾った。


「本当に安心したよ」と、レース後に胸をなでおろした大ベテランのラウンズ。


「去年は何の秘密もなく、リザルトが安定せず浮き沈みの激しいシーズンを過ごした。でもこのGen2マシンをドライブした時、私は初めから『僕のスタイルに合っていて、フィーリングに自信を持ってドライブできる』と言い続けてきた。その言葉をこの週末に早くも証明できて本当にうれしいよ」


 一方、同じマシンをドライブするSVGは前日のポジションダウンに続きこのレースではブレーキバイアス・センサーの不具合からスロットルがスタックするという危険なトラブルに見舞われ25位までダウン。それとは対照的にチームメイトのウインカップは3位表彰台を確保し、シリーズランキングでもSVGに代わり首位浮上に成功するなど、RBRAのチームメイト同士で明暗がくっきり分かれる週末となった。


 またニッサン・モータースポーツのエースとして奮闘を続けるリック・ケリー(ニッサン・アルティマ)は、レース1はチャズ・モスタート(ティックフォード・レーシング/フォード・ファルコンFG-X)との接触でポジションを落とし、レース2では挽回を期したものの11位が精一杯と苦しい戦いが続いている。


 VASCの次戦『第4戦フィリップアイランド500』は、4月20〜22日の開催となる。

レース2では2015年以来のポールポジションとなるクレイグ・ラウンズが見事なパフォーマンスを披露
レース1はシフトカットのトラブルで9位に留まったスコット・マクローリンは「2位表彰台は勝利に等しい」
「本当に肩の荷が下りた思いだ」と安堵の表情を見せた勝者クレイグ・ラウンズ
厳しい戦いが続くニッサンのリック・ケリー。GT-R、Z、さらに新型アルティマとも噂されるGen2規定マシンの投入はあるか?


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