トヨタ、最終SSで逆転優勝。驚速ロバンペラに指揮官も舌を巻く「理解できないくらい速い」/WRC第3戦

2022年4月25日(月)11時20分 AUTOSPORT web

 4月24日、WRC世界ラリー選手権第3戦クロアチア・ラリーの最終日、デイ3のSS17〜20がクロアチアの首都ザグレブの北側エリア行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing WRTのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が優勝を飾った。チームメイトのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合5位、デイ1でのデイリタイアを経てデイ2より再出走したエサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合49位でフィニッシュしている。


 今季初めてのフル・ターマッック(舗装路)ラリーとして開催されたクロアチア・ラリーの最終日は、サービスパークの北側エリアで2本のステージを各2回走行するスケジュールで争われた。


 この最終日は日中のサービスの設定がなく、早朝サービスパークを出る際に選択したタイヤで1日の全ステージを走らなくてはならない。そのため、選手とチームは数時間後の天気や路面コンディションも予想してタイヤを選ぶ必要があった。総合首位でラリー最終日を迎えたロバンペラは、ドライ用のハードタイヤを4本、雨用のウエットを2本選んでステージに向かった。


 これに対してデイ2を終えた時点で、トップと19.9秒差の2番手につけるオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)はウエットタイヤ2本とドライ用のソフトタイヤ4本を選択。これが突然の雨に見舞われたSS19で功を奏し、同ステージで1番時計を記録する。
 
 一方、タナクとは異なるタイヤ選択をしたロバンペラは、ライバルから29.8秒遅れてフィニッシュ。その結果、最終ステージのSS20を前に順位が入れ替わり、首位タナクをロバンペラが1.4秒差で追う展開となった。


 迎えたSS20は、全体的にはドライコンディションながら一部に湿った路面があり、インカット走行により掻き出された泥に覆われた箇所も多く、ハードタイヤとウエットの組み合わせで走るロバンペラにとっては、やや不利な路面コンディションに。


 しかし、ロバンペラは渾身のアタックでステージベストタイムをマーク。2番手タイムのタナックよりも5.6秒速いタイムを刻み見事、逆転で優勝を手中に収めた。これがロバンペラにとってはキャリア4勝目となり、ターマックラリーでの初優勝となっている。


 また、21歳の“フライング・フィン”は前戦スウェーデンに続く今季2勝目を飾ったうえ、パワーステージでのボーナス5ポイントを得てフルポイントを獲得。ドライバー選手権首位の座を守り、ランキング2番手につけるティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)との差を29ポイントに拡大してみせた。


■ロバンペラ「優勝するのはかなり難しいように感じていた」


エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第3戦クロアチア
優勝したカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第3戦クロアチア


「今までで最高の勝利だと思う」と語るのは、激戦を制したロバンペラ。


「この週末は本当にタフで、コンディションは非常に厳しく、誰もが何かしら問題を抱え、危ないシーンに遭遇したはずだ」


「そして自分にとっては今日も非常に困難な1日だった。天気があのように悪化してしまったので、優勝するのはかなり難しいように感じていた」


 22日(金)デイ1で2度のタイヤトラブルに見舞われ大きく出遅れたエバンスは、苦しい戦いを強いられながらもベストタイムを2回記録するなどして順位を挽回し、最終的に総合5位でフィニッシュした。


 今季初めての入賞を果たした彼は、今戦の最終パワーステージ(SS20)で3番手タイムを刻み、自身とチームに3ポイントのボーナスを加算。チームはマニュファクチャラー選手権首位を守り、リードを42ポイントに拡げた。


 また、初日のデイリタイアにより上位フィニッシュの望みが絶たれたラッピは、デイ2での再出走後に4本のベストタイムを記録するなど持ち前のスピードを示し、ポジティブなかたちでラリーを締めくくった。なお、今戦のトヨタGRヤリス・ラリー1は、3人のドライバーによって19ステージ(SS15は濃霧発生によりキャンセル)のうち14ステージでベストタイムを獲得している。


 TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムに参加しトヨタGRヤリス・ラリー1でクロアチア・ラリーに出場した勝田貴元は、エバンスの後方、総合6位でフィニッシュ。所属するTOYOTA GAZOO Racing WRTネクストジェネレーションに開幕から3戦連続でマニュファクチャラーズポイントをもたらした。


 初日の独走劇から一転、最後は手に汗握る展開となった1戦を終え、TOYOTA GAZOO Racing WRTのチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラは次のように語った。


「カッレ(・ロバンペラ)の今日のパフォーマンスは、信じられないくらい素晴らしいものだった。正直なところ、彼が選んだタイヤでは最終ステージを制することも、ラリーで優勝することも難しいだろうと考えていたんだ」


「残念ながら、我々が得ていた気象情報では最終のひとつ前のステージで雨が降ることを予想できず、結果的にハードタイヤでグリップを得ることがいかに難しいかを目の当たりにした。そして、最後のパワーステージの路面は泥が多く出ていて非常に滑りやすく、カッレがどうやってあれほど速く走れたのか理解できないくらいだった」


「カッレの現在のパフォーマンスは、信じられないくらい高いレベルにあると思う。プレッシャーを感じているようには見えず、とても冷静で、物事に動じたりもししない。今年、本当にチャンピオンを獲得できるのではないかと思っている」


「他のドライバーに関してはベストな結果とはならなかったが、エルフィン(・エバンス)は堅実なドライビングが求められるなか、パワーステージで3番手タイムを記録しボーナスポイントを獲得した。また、再出走後のエサペッカ(・ラッピ)のスピードも素晴らしかったと思う」


 第2戦に続く勝利で、各選手権ポイントのリードを拡げたTOYOTA GAZOO Racing WRTが迎える次戦第4戦は、5月19日から22日にかけてポルトガル北部のマトジニョスを中心に開催される『ラリー・ポルトガル』だ。同ラウンドは今季最初のグラベル(未舗装路)ラリーであり、プラグイン・ハイブリッド車のラリー1カーにとって初めて挑むグラベルラリーとなる。

エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第3戦クロアチア
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2022年WRC第3戦クロアチア

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