トヨタ7号車の新モノコックが“シェイクダウン”。ポルシェLMDhをテストした8人etc.【WEC第2戦・初日Topics】

2022年5月6日(金)17時39分 AUTOSPORT web

 5月5日木曜日、フリープラクティス1のセッションで幕を開けたWEC世界耐久選手権の2022年第2戦スパ・フランコルシャン6時間レース。開幕戦のアメリカからベルギーへと移り、“欧州での開幕”を迎えたWECのパドックから、走行初日のトピックスのお届けする。


■新モノコック導入のトヨタと、“元に戻した”アルピーヌ
 トヨタGAZOO Racingは、開幕戦セブリングにおけるホセ・マリア・ロペスのクラッシュを受け、7号車GR010ハイブリッドに新しいモノコックを導入したことを明らかにした。


 テクニカル・ディレクターのパスカル・バセロンは、「スペアのモノコックがあったが、(それをベースとして)クルマを再び組み上げる必要があった」と述べている。


「いくつかのパーツは助かったが、ほとんどの高価な部品はダメになった」


 バセロンはまた、セブリングとスパの間にポルティマオで行われたプライベートテストにおいて走行した7号車GR010ハイブリッドが、テストカーであったことを明らかにしている。


 新たなモノコックとなった7号車は、スパのフリープラクティス1がシェイクダウンとなった。

トヨタGAZOO Racingで7号車GR010ハイブリッドをドライブするホセ・マリア・ロペス


 一方、同じくハイパーカークラスにエントリーするアルピーヌ・エルフ・チームは、開幕戦後、スパまでの間にイタリアのモンツァでテストを行ったが、このテストではスパ、およびル・マン24時間で使用するモノコックを走らせていた。


 これは昨シーズンはじめに完成した新車で、2021年シーズンを通して使用したものだった。一方で2022年開幕戦に勝利したマシンのモノコックは、以前LMP1のレベリオンR13としてレースに出場していた際のものだという。


■ピポ・デラーニのジンクス
 グリッケンハウス・レーシングのピポ・デラーニは、木曜日のフリープラクティス1で、昨年のル・マン24時間レース以来となる、グリッケンハウス007 LMHのステアリングを握った。フランク・マイルー、オリビエ・プラとともにル・マンで4位となって以来、007での走行はしていないと、デラーニはSportscar 365に対し語っている。


 なお、デラーニは2015年のWECデビュー以降、スパで5位以下になったことはない。初出場のGドライブ・レーシングではLMP2クラス優勝を果たし、その1年後にはエクストリーム・スピード・モータースポーツでクラス2位入賞。2017年にはアンディ・プリオール/ハリー・ティンクネルのフォードに加わり、GTEプロクラスの4位に入っている。


■路面再舗装のタイヤへの影響
 セブリング以降、ミシュランのGTE用タイヤ・オプションにはいくつかの変更があった。GTEプロクラスでは、ポルシェがフェラーリと同じように『ソフト・ホット』コンパウンドに加えて『ミディアム』コンパウンドを選択。


 コルベット・レーシングはセブリングで『ミディアム』をチョイスしたが、スパでは2種類のソフトコンパウンドのみを使用することになった。『ソフト・コールド』は、路面温度がおよそ20度以下の場合に適している。


 LMGTEアマクラスにおいては、スパでは『ソフト・コールド』のオプションは全チームから外され、『ソフト・ホット』『ミディアム』のみが、スリックコンディション向けに残されている。

LMGTEプロクラスに参戦するAFコルセの52号車フェラーリ488 GTE Evo


 ミシュラン・モータースポーツの耐久レースプログラムマネジャーであるピエール・アルベスによると、スパでオフの間に行われた路面の整備は、いくつかの新しいチャレンジになるという。


「スパ・フランコルシャンでは、安全性が向上したラディヨン/オー・ルージュを含む、いくつかの部分で再舗装が行われている」とアルベスは説明している。


「この区間では、リヤタイヤにさらに大きな垂直加重がかかるので、ミシュラン・パイロット・スポーツのケーシングは、大きな試練にさらされることになる」


 再舗装はオー・ルージュとラディヨン、そして右に周り込むブリュッセルからプーオンのブレーキング区間までで行われている。

ブリュッセル〜プーオンまでの路面再舗装区間


■ポルシェ、開発中のLMDhでグッドウッドへ?


 6月23〜26日にかけて開催されるグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードに、ポルシェは開発中のLMDh車両を持ち込むものと、Sportscar365は理解している。同メーカーは2019年の同イベントで、現行のLMGTEモデルを発表している。


 これまでのところ、8人のドライバーがポルシェLMDh車両をテストしたことが知られている。スパに姿を見せているポルシェのファクトリーLMDhディレクター、ウルス・クラトレの情報によれば、フェリペ・ナッセ、デイン・キャメロン、フレデリック・マコウィッキ、マシュー・ジャミネ、ケビン・エストーレ、ミカエル・クリステンセン、ローレンス・ファントール、アンドレ・ロッテラーとのことだ。


 LMP2クラスのチーム・ペンスキーは、先月にポルシェ・ペンスキー・モータースポーツがLMDhのテストで使用したのと同じガレージを使用している。ロジャー・ペンスキーは木曜日にスパのパドックで目撃されており、クルーの中にはセブリングで着用した黄色ではなく、同チーム伝統の黒いオーバーオールを着ている者もいる。


 ペンスキーのオレカ07・ギブソンは、開幕戦セブリング1000マイルレースを終えた後、ドイツ・マンハイムにあるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのWECヘッドクォーターへと送られた。ル・マンを含むヨーロッパでのレース・プログラムは、ここを拠点に行われる予定だ。


■「スパはル・マンへの準備ではない」とポルシェ
 アイアン・リンクスの共同設立者であるデボラ・メイヤーは、新たな役割であるFIAウーマン・イン・モータースポーツ・コミッションのプレジデントとして、スパにいる。WECには現在、4人の女性ドライバーが参戦中だ。


 シリーズにおける女性の関与のレベルについての評価を求められたメイヤーは、次のように述べている。


「すでにある程度の存在感はあるが、目標はモータースポーツにおける存在感を高めることだ。メカニック、エンジニア、マーケティング担当など、すべてのチームに女性のスタッフがいる。しかしその割合はまだ低く、認知度だけでなく代表性を高めることも目標のひとつだ」

2022年WEC第2戦スパ 木曜日の様子


* * *
 WECでは初めて、通常のドライバーのセッションの後に、チームマネジャーを対象とした記者会見が開かれた。トヨタのロブ・ロイペン、ポルシェのアレクサンダー・ステューリグ、チームWRTのヴァンサン・ボッセ、アルピーヌ・エルフ・チームのフィリップ・シノーが出席した。


 その席上、ポルシェGTチームはスパをル・マンへの準備レースとは考えていない、とステューリグは説明している。


「ル・マンは特殊で、スケジュールからコース、クルマのセットアップに至るまで、他のWECのレースとは関連性がない」と彼は語っている。


「ル・マンのための準備は、ここではまったくしない。これはWECのレースなのだ。(レース翌日の)日曜日からは、ル・マンにフル・フォーカスする」

ポルシェGTチームの92号車ポルシェ911 RSR-19

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