【土屋雅史氏のJ2展望】熊本がアウェイで横浜FCを下すと予想…新潟では2戦連発中のFW渡邉に注目!

2018年5月11日(金)17時0分 サッカーキング

3試合連続でスタメンの座を確保している、新潟のFW渡邉新太。チームに欠かせないピースとなりつつある [写真]=J.LEAGUE

写真を拡大

■横浜FCと熊本でスタメンを張る、成立学園高校の同級生

 リーグ前節の町田戦で連勝がストップした6位の横浜FCと、痛恨の3連敗で15位へ後退した熊本が対峙する第14節。このカードでは高校時代の同級生が、3年ぶりにリーグ戦のピッチで再会するかもしれません。

 元日本代表の宮内聡氏を総監督に据え、これまでも数多くのJリーガーを輩出してきた成立学園高校。横浜FCのFW戸島章と熊本のMF田辺圭佑は、2007年にこの東京を代表する強豪校の門を叩きます。彼らが入学した時の3年生は成立学園きっての黄金世代で、FW大津祐樹、DF舞行龍ジェームズ、FW菅野哲也とのちのプロ選手が3人揃うなど、かなりのタレント集団。選手権予選は帝京にPK戦で敗れ、全国出場は叶わなかったものの、印象に残るチームでした。

 戸島と田辺がともにU−18日本代表へ招集された3年時も、現在藤枝でプレーしているMF柿木亮介が田辺とドイスボランチを組んでおり、都内屈指の実力を誇っていましたが、インターハイ予選は國學院久我山に敗れて全国に届かず。選手権予選では、準決勝で國學院久我山にリベンジを果たしてファイナルまで進出するも、彼らもMF稲垣祥やDF高木利弥が在籍していた帝京にPK戦で屈し、東京制覇を逃す格好に。卒業後は戸島が千葉へ、田辺が中央大へそれぞれ進み、プロと大学生という立場で次のステップを狙うことになります。

 ただ、戸島のルーキーイヤーとなった2010年は千葉がJ2へ降格したシーズン。なかなかハイティーンに出番を窺うチャンスはなく、2年目には当時JFLを戦っていたジェフ・リザーブズへの登録変更も経験。2012年に天皇杯で公式戦デビューは果たしたものの、リーグ戦での出場機会は訪れず、2013年の夏にJFLの藤枝へと期限付き移籍。翌シーズンも復帰した千葉ではリーグ戦出場ゼロに終わり、今度は町田へ期限付き移籍で加わります。

 この決断が戸島にとって1つの転機。ベンチ入りもままならなかった序盤戦を経て、後半戦はスタメンを勝ち獲り、J3で17試合3得点という数字を残すと、完全移籍となった翌シーズンはJ2で29試合に出場。そして、2017年は負傷離脱した時期を除けばコンスタントにスタメン起用され、6得点をマーク。町田の3年間で得た自信を胸に、今季からは横浜FCへと活躍の場を移し、9番を背負いながら徐々に出場時間を伸ばしています。

 一方、進学した中央大では、現在の熊本でチームメイトとなったGK畑実やFW安柄俊を筆頭に、MF永木亮太、DF大岩一貴、MF六平光成など豪華な先輩たちが居並ぶなか、1年時から早速リーグ戦デビューを果たした田辺は、2年時からスタメン出場も増加。やはり熊本で再会したFW皆川祐介やDF高瀬優孝に加え、FW澤田崇、GKシュミット・ダニエルといった同期と切磋琢磨しながら実力を磨き、関東選抜にも選出。2014年には琉球でJリーガーとしての一歩を踏み出しました。

 ルーキーイヤーから定位置を確保し、得意の左足を生かした長短含めてのパスセンスでチームの中盤に君臨した田辺。2016年にはJ3全体でトップのパス成功率を誇るなど、リーグ屈指のコンダクターに成長を遂げると、4年間を過ごした琉球に別れを告げ、昨季のオフに熊本へ完全移籍。今季も開幕戦にスタメン起用されながら、負傷でしばらく離脱していましたが、前節の甲府戦でようやく戦線復帰。ここからの巻き返しに期待が集まります。

 前節の横浜FCと熊本はどちらも黒星。戸島と田辺は揃ってスタメン出場を果たしたものの、前者はノーゴールに終わり、後者はボールロストが失点に直結。今節がリベンジに燃える一戦であることは疑いようがありません。なお、両チームのリーグ戦対戦成績は、横浜FCから見て10勝6分6敗ですが、なぜかホームゲームは3勝2分5敗と分の悪い数字が。ここは同級生の再会に期待しつつ、データを考慮してアウェイの熊本が勝利と予想。「2」にマークします。

■生まれ故郷のクラブで活躍を見せている大卒ルーキー

 今季2度目の連勝を飾った14位千葉と、逆に連勝が2でストップした12位新潟が、リーグ戦では9年ぶりに激突するフクアリ対決。このゲームで注目したいのは、越後の地へ帰ってきた2戦連発中の大卒ルーキーです。

 初めてFW渡邉新太の名前を耳にしたのは、新潟ユースへ入ったばかりの7年前。その豊かな才能を認められ、FC五十嵐ジュニアユースから新潟の下部組織へスカウトされた彼は、プリンスリーグ北信越のデビュー戦でいきなりダブルハットトリックの大活躍を披露します。私が取材に行ったその年の5月のゲームでは、DF西村竜馬やMF早川史哉、DF川口尚紀などの先輩たちがスタメンに名を連ねるなか、渡邉はベンチスタート。登場は後半の残り5分からだったものの、とにかくアグレッシブにゴールを狙う姿勢は、短時間でも強く印象に残りました。

 1年時は9得点、2年時は15得点、得点王となった3年時は24得点と、プリンス北信越を戦った3年間で積み重ねたゴール数は48。その圧倒的な得点力を示し続けた渡邉でしたが、同期のDF酒井高聖が果たしたトップ昇格は見送られることに。個人的には確実に昇格するものだと思っていたので、クラブの判断がかなり意外だったこともはっきり覚えています。

 生まれ育った新潟を飛び出し、流通経済大学へ進むと、すぐにスーパーサブとして総理大臣杯優勝も経験していた小柄なアタッカーを、次に見る機会に恵まれたのは1年時のインカレ準決勝。すると、スタメン11人全員がのちのJリーガーという凄まじい陣容の中に混じった渡邉は、2得点を叩き出して決勝進出に大きく貢献。その決勝でもフル出場を果たして同校初のインカレ優勝メンバーに。トップ昇格を逃した悔しさもバネに成長を続けた渡邉は、その後も定期的にゲームを見る機会があったので、新潟入団内定のリリースを目にした時は、他人事ながら「本当に良かったなあ」と感じました。

 迎えた今季。ルヴァン杯のスタメンやリーグ戦の途中出場を経て、大きなチャンスが到来したのは新潟がリーグ戦4連敗という苦境に陥っていた4月末。ゴールデンウィークの連戦が始まる第11節の山口戦でスタメンに抜擢されると、チームも劇的な勝利を収めて連敗脱出。さらに続く前々節の金沢戦でもキックオフからピッチに立った渡邉は、終了間際の89分にマークしたJリーグ初ゴールが劇的な決勝弾に。その勢いを携え、3試合連続スタメンを勝ち獲った前節の大分戦でも、豪快な左足ゴールでビッグスワンでの初得点も記録。その献身的な守備力も含めて、今やチームに欠かせない重要なピースとしての役割を確立しつつあります。

 前述した通り、千葉はともに1−0で競り勝っての2連勝を達成するなど復調傾向に。鳥海晃司、近藤直也、増嶋竜也という“新3バック”も、小さくない安定感を打ち出し始めています。5勝2分6敗とまったく同じ成績の両チームにとって、五分の星に戻せるか否かは、上に行くか、下に落ちるかの分岐点になり得る重要な一戦。ちなみに渡邉は、大学2年時に開催されたフクアリでのリーグ戦でゴールを決めており、会場との相性も悪くない所。負けられない両雄による好ゲームを期待しつつ、ここは新潟が意地を見せ、アウェイで勝ち点3を獲得すると予想。「2」で勝負します!

文=土屋雅史

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! 『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』はサッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/)』にて好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェイチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第14節
2018年5月12日(土)14時キックオフ
横浜FCvsロアッソ熊本(ニッパツ三ツ沢球技場)

■明治安田生命J2リーグ第14節
2018年5月12日(土)15時キックオフ
ジェフユナイテッド千葉vsアルビレックス新潟(フクダ電子アリーナ)

サッカーキング

「横浜FC」をもっと詳しく

「横浜FC」のニュース

「横浜FC」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ