30号車TOYOTA PRIUS apr GT スーパーGT第2戦富士 レースレポート

2018年5月14日(月)11時3分 AUTOSPORT web

2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND 2 富士スピードウェイ
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km


5月3日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:3万1300人
5月4日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:5万5000人


たび重なった不運……。しかし、2戦連続でしっかり完走果たし、積み重ねたデータを今後に活かす


 富士スピードウェイを舞台に、スーパーGTシリーズの第2戦、『FUJI GT 500km RACE』が5月3〜4日に開催された。全8戦で争われるシリーズに、今シーズンもaprは2台のトヨタ プリウスZVW51を走らせ、#30 TOYOTA PRIUS apr GTを3年目のタッグとなる、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。


 岡山国際サーキットで行われた開幕戦は予想外の低温に悩まされ、特に予選でタイヤがまったくマッチせず、佐々木選手をもってしてもQ1を突破できず、下位に沈んでしまったことが最後まで尾を引いてしまっていた。いくぶん決勝では温度も上がったものの、そのタイヤでスタートしなくてはならなかったため、激しい追い上げもままならず。それでも永井選手、佐々木選手ともに執念の走りで完走を果たしたことで、貴重なデータを積み重ねることができた。


 今回の舞台、富士スピードウェイは長いストレートを持つことから、エンジンパフォーマンスに優れるFIA-GT3が有利だとされるが、実はセクター2に高速コーナーを、セクター3には低速コーナーを備えることで、旋回性能も大いに問うサーキットでもある。加えて、今回のレースは通常より200km長い500kmで争われ、2ピットの義務づけもあるだけに、JAF-GTは燃費に優れることもあって、必ずしも絶対不利とは言えないはず。そのあたりのメリットを最大限に活かし、開幕戦の雪辱が晴らされることが期待された。


公式練習 5月3日(木・祝)12:50〜13:20


 本来ならば公式練習は8時40分から1時間35分間に渡って行われるはずだったが、コースは濃霧に包まれ、視界不良のためディレイが繰り返された。まずは公式予選後のサーキットサファリの中止が発表され、その後の監督ミーティングによってスケジュールの大幅な変更が決定されることに。
 
 公式練習は30分間に、予選は20分間に短縮され、通常のノックアウト方式ではなく、一発勝負に改められることとなった。


 短い時間を有効に活用するため、佐々木選手はコースオープンと同時に走行を開始し、ちょうど折り返しのあたりまで周回を重ねていく。1分39秒334にまで短縮を果たしたところでピットに戻って、永井選手と交代する。永井選手は残りの10分間、チェッカーが振られるまで連続周回を行い、1分40秒501をマークすることとなった。


予選 5月3日(木・祝)14:45〜15:05


 一発勝負となった予選は、ひとりだけ走るも良し、複数のドライバーが走っても良しとされたが、20分間の短い計測では当然ひとりだけ走る方が効率的である。もちろん永井選手にマイレージを稼いでもらいたい気持ちはあったものの、そこは断腸の思いで佐々木選手にすべてを託すこととなった。


 決勝レース重視のタイヤ選択でもあったから、強烈な一発の速さは望むべくもなかったとはいえ、佐々木選手は周回を重ねるごと着実にタイムを刻み続け、ついに1分38秒179を記すまでに。だが、その周は4輪脱輪があったとの判定により、採用されないこととなってしまう。
 
 しかしながら、佐々木選手は更新こそならなかったとはいえ、先のタイムを出した次の周、まさにラストアタックでも1分39秒594をマークしていたため、なんとか25番手に踏みとどまることとなった。これも佐々木選手の執念があったからこそ、なし得ることができたと言えるだろう。


予選後コメント


永井宏明選手


「イレギュラーな予選となり、我々は持ち込んだタイヤが正しいかもわからずに挑むこととなった。選択したタイヤの求めている路面温度に達しておらず、厳しい予選となったが明日は晴れの予報。後方からの追い上げにより、1点でもポイントを獲りたい」


佐々木孝太選手


「四輪脱輪でベストタイムが抹消され、後方に沈みましたが感触は悪くないので、明日は抜けるだけ抜いて永井選手にバトンを渡し、シングルフィニッシュを目標にします。それにしても、タイヤが温まらず、厳しい予選でした」


金曽裕人監督


 フリー走行でタイヤの選択ができていれば、もっと展開は変わっていただろうし上位も可能だったかもしれません。今シーズンに入り、なかなか低温路面でのタイヤがマシンとマッチせず厳しい状況が続いております。速くここを打破しないと上位が望めない状況ですので、明日は考えられる作戦のベストを尽くし、あとは晴天を望みポイント獲得を目指します」

30号車TOYOTA PRIUS apr GT


決勝レース(110周) 5月4日(金・祝)14:40〜


 決勝レース前に行われたウォームアップは、それまでまったく走っていないドライバーも多く存在していたことから、急きょ5分間拡大の25分間の計測となっていた。コンディションは上々。ゴールデンウィークの真っ最中ということもあって、周辺道路が渋滞するほどの大観衆を飲み込んだサーキットは、前日が消化不良気味だったこともあって、期待の様子が直に伝わってくるほどだった。


 コースオープンと同時にピットを離れた#30TOYOTAPRIUSaprGTは、まず佐々木選手から走行を開始。1分41秒838を記録したところで、佐々木選手はピットに戻り、永井選手と交代、残りの15分間を任せることに。そして、チェッカーが振られた周に永井選手は1分40秒489をマークして、最終調整を完了することとなった。


 スタートを担当したのは佐々木選手。なんとオープニングの1周だけで19番手にまで上がり、その後も3周目に1台、4周目にも1台、7周目にも1台、16周目にも1台とオーバーテイクを順調に重ねていき、ついに15番手にまで順位を上げていく。さらに早めのピットを行っていた車両もあったことから、13番手にまで浮上した28周目に永井選手と交代。入賞も決して不可能ではない位置まで上り詰めてきた。


 ところが、交代から2周後のダンロップコーナーで、ブレーキングのタイミングの違いからGT500と接触。相手をスピンさせる格好となってしまったため、36周目にドライビングスルーペナルティを余儀なくされる。しかし、不運はそれだけではなく、その2周前には緊急ピットイン!カーボンパーツを踏んでしまったタイヤが悲鳴を上げて交換を求めていたからだ。
 
 これでいったんは最後尾近くまで落ちてしまったものの、永井選手もまた執念を見せた。前を行く車両を着実にとらえ続け、21番手にまで挽回を果たした65周目に、佐々木選手へと交代する。ラスト3周でまだ逆転する力を持っていただけに、最終的な18位という結果は不運が重なったとはいえ、もちろん本来得るべき成果ではない。しかし、諦めることなく最後まで走り続けたことで、貴重なデータをまた積み重ねることはできた。
 
 すぐに訪れる次回のレースは、ともに三重県出身の永井選手と佐々木選手にとってホームコースである鈴鹿サーキットが舞台。ここまで2戦の悔しさを、きっと晴らしてくれるに違いない。


決勝後コメント
永井宏明選手


「13番手で交代した後の、4ラップ目にフロントタイヤの空気圧が下がり、止まり切れずにGT500に追突することとなりました。その後、完全にパンク状態になってしまい作戦外のピットインをし、タイヤ交換。そのロスから最終的には18位。外したタイヤにはカーボンが刺さっており、コース上で破片を踏んだことが要因でした。その後のペースも良かっただけに、皆さまに申し訳ない気持ちでいっぱいです。次の鈴鹿は、ホームコースなので細心の注意を払い全力を尽くしますのでご期待ください」


佐々木孝太選手


「路面温度が上昇すると一揆にタイヤは元気になり、25番手スタートから13番手までポジションを上げることができました。マシンも順調な仕上がりで#31と同等のパフォーマンスがあるだけに、やはり、我々の課題はタイヤとのマッチング。この先のレースは、今みたいに低い路面温度ではないと思うので、少しは良くなるはずなので、ご期待ください。


金曽裕人監督


「残念な結果でしたが、ドライバーもマシンもパフォーマンスが高いことは分かりました。特に、佐々木選手のスタート直後25番手から13番へのジャンプアップ、永井選手の速いアベレージでのLAPタイムには満足できました。パッケージは良くなってますので、あとは全体の流れを全員でつかみ、ミスなく走り切ることが重要かつ課題だと思います。特に、次戦の鈴鹿は#30号車の地元でもあり、大勢の応援団が来られると伺ってますのでここを照準として一番の成果を狙います」


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