「甲子園のヒーロー」西武の3年目右腕がプロ初勝利 左足上げない独特フォームで12イニング連続無失点
2025年5月18日(日)6時30分 スポーツ報知
お立ち台で笑顔を見せるプロ初勝利の山田(右)とサヨナラ打を放った滝沢(カメラ・頓所 美代子)
◆パ・リーグ 西武3×—2オリックス=延長10回=(17日・ベルーナドーム)
甲子園で慣れていたはずの景色は格別のものだった。大観衆の前でお立ち台に上った西武・山田は、ウィニングボールを手に「すごく重たいですね」と3年目でつかんだプロ初勝利の喜びをかみしめた。
2—2の10回に登板。左足をほとんと上げず、マウンドの傾斜に沿って踏み出す独特のフォームで3者凡退に封じた。西口監督を「横から見ていて、何を投げているか分からないくらいのいい変化をしている」とうならせるフォーク、カットボールを駆使し、その裏のサヨナラにつなげた。プロ初登板となった4月3日の楽天戦(楽天モバイル)から救援で12試合に登板し、12イニング連続無失点で4ホールド。「緊迫した場面で任せていただけるのはすごくうれしい」と意気に感じてマウンドに向かう。
近江で甲子園11勝の右腕も2年目まではファーム暮らし。「いくら頑張っても実力の差が縮まらなくて、本当にもどかしかった」。転機は今年1月の自主トレ。平良に同行して理論に基づいた睡眠、栄養の取り方などを教わった。「野球人生にとって大きく変わった瞬間でした。さまざまな面で考え方が変わって、無知だった分、いろんなことを吸収できた」と実感を込めた。
今季3度目のサヨナラ勝ちで3年ぶりの貯金5。「まだ始まったばかり。気を抜かずにいい成績を残していきたい」。甲子園のヒーローからレオのリリーフエースへ。成長曲線を描いていく。(秋本 正己)
◆山田 陽翔(やまだ・はると)2004年5月9日、滋賀県生まれ。21歳。近江では3度甲子園に出場し、歴代5位タイの11勝、歴代3位の115奪三振(ともに1948年の学制改革以降)。22年ドラフト5位で西武入団。175センチ、82キロ。右投右打。背番号36。年俸700万円(推定)。
◆近江時代の西武山田 3季連続の甲子園出場で横浜・松坂大輔(元西武)らに並ぶ通算11勝。115奪三振は松坂(97)、駒大苫小牧・田中将大(102)らを上回った。2年夏は背番号8で全5試合に先発。3年春はエースとして準V。3年夏の3回戦(対長崎・海星)では満塁弾も放った。最速149キロの直球、カットボール、ツーシームを武器に3季連続で甲子園4強以上という聖地の申し子だった。