西武・山田プロ初勝利!平良に弟子入りし野球人生も変ぼう デビューから圧巻12戦連続無失点

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　◇パ・リーグ　西武3−2オリックス（2025年5月17日　ベルーナD）

　甲子園のスターとして西武に入団して3年目。劇的なサヨナラ勝利でプロ初勝利をつかんだ山田はウイニングボールを握りしめた。「凄く重いですね…」。結果を残せずにいた時間を思い出し、じっと記念球を見つめた。

　近江（滋賀）では2年の夏からエース兼打線の中軸として、3季連続甲子園に出場。松坂大輔（横浜）らに並ぶ甲子園通算11勝で22年選抜は準優勝も経験した。だが、プロ入り後は壁に直面した。高校時代は生粋の感覚派で「悪くなった時の原点がなかったし、言語化ができなかった」と自分の立ち位置を見失っていた。

　「戦っているのは打者じゃなくていつも自分。いくら頑張っても実力の差が縮まらない、もどかしい期間だった」

　野球人生が大きく変わったのは今年1月だった。守護神・平良に弟子入りした合同自主トレでは「不安はあったけど失うものはない」と投球フォームは左足を上げずに、すり足で踏み込むドジャース・山本そっくりに改良。栄養、睡眠、メンタル、解剖学…。野球につながることは全て聞いた。食事面も見つめ直し体重は2キロ増の85キロ。私生活から練習まで「全てに意味のある行動になった」と、打者と勝負できる準備がようやくできた。

　2—2の3番手として延長10回に登板。先頭の代打・若月を空振り三振に斬るなど3者凡退の投球で滝沢の劇打を呼んだ。4月3日の楽天戦のプロ初登板から12試合連続無失点。チームは今季3度目のサヨナラ勝利で22年10月1日以来959日ぶりの貯金5に到達した。西口チルドレンとして今春1軍キャンプに抜てきされた右腕は、初めて立った本拠地のお立ち台に「この景色は想像できなかった」。信じられる自分が見つかった瞬間だった。（福井　亮太）

　◇山田　陽翔（やまだ・はると）2004年（平16）5月9日生まれ、滋賀県出身の21歳。近江では1年夏からベンチ入りし、投打二刀流として2年夏から3季連続甲子園出場。3年春は準V、2、3年夏は4強。高校通算31本塁打。22年ドラフト5位で西武入り。昨季まで1軍登板はなく、今年4月3日の楽天戦で救援としてプロ初登板。1メートル75、85キロ。右投げ右打ち。