上田桃子、吉田優利、渋野日向子らが実践 辻村明志「軸は感じるもの‼ ヘソで動けばスイングは崩れません」【四の五の言わず振り氣れ】

2024年5月25日(土)13時30分 ALBA Net

上半身から動くと軸はブレてしまう。ヘソを意識して重心が下がった状態を作ってスイングすると、スムーズに回転して振り切れる

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2007年の賞金女王・上田桃子を始め、吉田優利、渋野日向子らそうそうたるメンバーが集う「チーム辻村」。「スイング中は軸を保って振る」とは、昔から定番のレッスンのセオリー。でも、軸は目に見えない。辻村は「軸は感じるもの」だというが、その真意とは?


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スイングの重要な概念のひとつに軸があります。これまで受けたレッスンや読んだレッスン書で、軸という言葉を聞いたことのない人はまずいないでしょう。

スイングは回転運動です。回転運動に軸が不可欠であることは間違いありません。ところが1軸か2軸かに始まり、その太さやどこに存在するのか、動くのか動かないのか、また軸はどうやって作るのか……重要である軸には多くの表現や考え方が存在します。それが多くのゴルファーを悩ませる原因にもなってきました。

そこでボクの軸に対する考え方を紹介します。まず軸は目に見えるものではありません。だとするとどこにあるのか、どう使うのか、どのように作るかを頭で考えるよりも、感じることが大事ではないでしょうか。ボクがアドレス時にイメージするのが、頭のテッペンにヒモのついた人形です。ヒモで頭を引っ張られることで、体の中に軸ができることが感じられます。

ちなみに一本足打法(左打ちで右足を上げて打つ)の元プロ野球選手・王貞治さんは、頭のテッペンから伸びた棒が、左足を通じて地球の中心まで届くイメージを描いたそうです。その辺は人それぞれでいいので、自分なりのイメージで軸を感じることが重要だと思います。

スイングはアドレス時に感じた、この軸を中心に行う回転運動です。同時に体重移動も伴う回転です。となるとスイング中に軸がまったく動かない、ということはあり得ません。つまり、動くか動かないかでいえば、ある程度は動くのが自然でしょう。軸をまったく動かさずに振れば、手打ちになります。

ただ、動くといっても前後左右に傾いたり、回転運動の枠の外まで動き過ぎるのはその時点でゲームオーバー。いわゆる軸がブレる、崩れると呼ばれる現象です。軸がブレて、崩れてしまえばスムーズな高速回転は不可能になります。それはコマを思い浮かべれば、火を見るより明らかです。

荒川博先生(王貞治に一本足打法を指導し本塁打世界記録まで成長させた元巨人軍コーチ。辻村や上田桃子のゴルフの師匠でもある。2016年に死去)は「スイングは氣の届く範囲で行うものだ」と言いました。つまり軸が動き過ぎたり、傾くのは、氣の抜けたスイングだというわけです。

さて、ではなぜ軸はブレたり、崩れてしまうのでしょうか。しっかり軸を作れて、軸を意識してスイングしろ……といった教えは多いのですが、軸がブレて、崩れる理由を教えてくれるレッスンはなかなかありません。理想の軸を追いかけるより、ブレて崩れてしまう理由を探る方が上達の近道だと思います。軸は上半身から動けばブレて崩れます。一方、下半身から動けば多少移動します。同じ動くでも、ブレる、崩れるのと移動するのではまったく意味が違います。

軸に対するアマチュアとプロとの大きな違いは、「力」の使い方だと思います。アマチュアの場合は上体の力で振ろうとしています。いわゆるリキミで、特に腕のリキミで振ろうとするのが多くのアマチュアです。

これに対してプロやトップアマ は、同じ「力」でも「地から」のパワーを使います。いわゆる下半身主導のスイングです。実はこの上体のリキミこそが、軸がブレる、崩れる原因と言い切っていいでしょう。

では、なぜ上体のリキミが生まれるのでしょうか。ひとつは姿勢が悪いからです。これは体を前後 左右に傾けてみればわかりますが、不安定になればなるほど、上体に力が入るものです。自分がどのようなバランスで立っているのかが分からなければ、そもそも軸を感じることもイメージすることもできないでしょう。 

畑岡奈紗選手は、打つ前に軽く2〜3度ジャンプしてからアドレスに入ります。おそらく体をニュートラルに整えるルーティンなのでしょう。それにより重心が下がることで、上体のリキミが取り除かれているはずです。 

ちなみにこの下がった重心とは、軸の中心だとボクは考えま す。人間の体でそれがどこにあるかといえば、いわゆる臍下丹田(せいかたんでん)、 ヘソの位置ではないでしょうか。 ボクが「ヘソから動けばゴルフは やさしい」というのは、上体のリキミが消え、スムーズな回転運動が可能になるからです。ともあれいい姿勢には、ヘソの意識がとても大事です。 

ボールの存在も軸がズレ、崩れる原因です。というのもゴルフはボールが地面にあり、自ら前傾角を作らなければなりません。この姿勢は上体のリキミを生みやすく、いわゆるギッタンバッコンと呼ばれる軸の傾きを生みやすいことは知識として覚えておきましょう。

それを防ぐために、腰やヒザの高さの素振りは効果的です。この高さで振ることで、上体のリキミを取り除き、いわゆるレベルスイングの体の動きも身に付きます。その感覚でアドレスすればい いのです。 

さらにいえばボールをじっくり見るのも、リキミを生む原因。そんなときには目をつぶって素振りをしてみましょう。元プロ野球選手で3度の三冠王に輝いた落合博満さんは、調子が悪くなると電気を消した暗い部屋でバットを振ったといいま す。これは軸ブレ防止の練習だったと、ボクは密かに思っています。一度試してみてください。

■辻村明志
つじむら・はるゆき/上田桃子、吉田優利、渋野日向子らを指導し、プロを目指すアマチュアも教えるプロコーチ。荒川博氏に師事し、その練習法や考え方をゴルフの指導に取り入れている。1975年福岡生まれ。元(はじめ)ビルコート所属。
※『アルバトロス・ビュー』837号より抜粋し、加筆・修正しています

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