次戦が混沌化する井上尚弥のフェザー転級を英敏腕プロモーターが語る「イノウエが負ける唯一の形は階級の上げ過ぎ」

2024年5月25日(土)16時0分 ココカラネクスト

スーパーバンタム級においても敵なしの強さを見せつける井上。彼の動静は各国の大物たちも気にかけている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 次期対戦相手が混沌とする“怪物”の行方に、ボクシング界の大物プロモーターが意見した。

 現地時間5月24日、英興行大手『Matchroom Boxing』のエディ・ハーンCEOは、米スポーツサイト『YSM Sports Media』のYouTubeチャンネルでフラッシュインタビューに対応。そのなかで、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)の現況に触れた。

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 今月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦を6回TKOで制した井上は、その場で次戦の相手としてIBF、WBOのスーパーバンタム級1位に君臨するサム・グッドマン(豪州)を指名。「次戦は9月ごろ、隣にいるグッドマン選手と防衛戦をしたい」と交渉の事実を明かした。

 ただ、合意まで秒読み段階にあったはずの交渉は停滞している。7月に母国内での調整試合が決定しているグッドマン陣営が、井上の望む9月開催に消極的なのだという。

 無論、グッドマン側が態度を改め、事態が急変する可能性はある。しかし、早期合意に至ると見られていた一戦が思わぬ形で苦戦を強いられているのは紛れもない事実だ。

 1試合で莫大な収入を生み出す井上は、いまやボクシング界で常に動静が注目される存在だ。それゆえに停滞ムードが漂う現況にハーンCEOも黙っていない。

 元WBAスーパー・IBF・WBO世界ヘビー級統一王者のアンソニー・ジョシュア(英国)や元WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級統一王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)など大物ファイターを顧客に持つ敏腕プロモーターは、「イノウエはどこかの時点でフェザー級に階級を上げるだろう」と指摘。

 さらにWBA世界フェザー級王者に君臨する自身の“顧客”、レイモンド・フォード(米国)の名を出し、「(井上との試合は)フォードがスーパーフェザー級に階級を上げる前に行うフェザー級での最後の試合になるかもしれない。ビッグマネーのイベントになるのは明らかだ」と自信を漲らせた。

 流石は敏腕プロモーターである。巨額のファイトマネーを生めるチャンスは見逃さない。ハーンCEOが、「イノウエ戦に」と指名したフォードは16戦15勝(8KO)1分のプロキャリアを誇る25歳の有望株だ。凄まじいスピードから放たれる左のストレートは、相当な威力を秘める。

階級上げには慎重な井上の答えは——

 もっとも、井上は少なくとも年内はスーパーバンタム級で試合を継続する意向を明言。彼を支援する米興行大手『Top Rank』のボブ・アラムCEOも、ネリ戦を前にした取材対応で「オオハシさん(大橋秀行会長)とも話したが、年内はスーパーバンタム級でいようという話がある」と明言している。

 それでも、井上の実力と人気を高く評価するハーンCEOは、こうも続ける。

「イノウエが打ち負かされる唯一の形は階級を上げ過ぎることだ。それは、ボクシング界では、よく見られるケースだね。あのロマチェンコでさえも彼にとって少し大きすぎる選手たちと戦った時に打ち負かされ始めたんだ。彼は130ポンド(58.97キロ、スーパーフェザー級)の選手で126ポンド(57.15キロ、フェザー級)の選手でもあった。

 それは階級を上げてきた選手たちの多くが目の当たりにしてきたことで、おそらくクロフォード(8月に階級を上げてスーパーウェルター級の世界王座に挑戦)にも起きることだろう。そして、フォードと戦うとなった場合のイノウエにもそれが起きる」

 フェザー級も猛者が集う場所だ。フォードと同様に井上戦実現を示唆するIBF世界同級王者のルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)に加え、WBO世界同級王者のラファエル・エスピノサ(メキシコ)、WBC世界同級正規王者のレイ・バルガス(メキシコ)、そしてカリスマ的人気を誇るブランドン・フィゲロア(米国)がタイトル戦線にいる選手たちだ。いずれも1階級下で圧倒的な存在感を放つ井上を気にかけているに違いない。

 常にベストを求めてきた井上が、何よりも慎重に続けてきた階級上げを「強敵がいない」からとすぐさま実施するかは分からない。だが、軽量級の中心にいる“モンスター”に対して、ハーンCEOの言うようなビッグマッチの提案が届くのも容易に想像できる。

 果たして、井上はいかなる答えを出すか。その動静には文字通り世界が関心を寄せている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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