WEC:「失格がスパでよかった」と可夢偉。ル・マンでは6人での登壇願う

2018年5月29日(火)21時9分 AUTOSPORT web

 TOYOTA GAZOO Racingの2018年ル・マン24時間レース参戦概要発表会が5月19日、トヨタ池袋ビルで開催され、その中で中嶋一貴小林可夢偉が参加するトークショーが行われた。


 2018/19年のWEC世界耐久選手権は、前年の2017年限りでポルシェが撤退したことからトヨタが唯一のメーカーワークスチームとして最高峰のLMP1クラスに参戦しているが、そのライバルとしてアンドレ・ロッテラーを擁すレベリオン・レーシングや、元F1王者のジェンソン・バトンの加入を発表したSMPレーシングといったプレイベーターが、ル・マンの総合優勝を目指しシリーズに参入している。


 ハイブリッドマシンを用いるトヨタと、プライベーターのノンハイブリッド車の性能差はFIA国際自動車連盟が決定するEoTに委ねられており、この数値を巡って開幕前のテストから互いの腹の探り合いともとれる動きが見れてきた。


 そんななか迎えたWEC“スーパーシーズン”開幕戦スパ・フランコルシャン6時間では、トヨタの2台がプライベーター勢のトップとなったレベリオン・レーシングを2周遅れにする圧倒的なペースをみせてワン・ツー・フィニッシュをを飾っている。


 この結果について、昨年のWEC富士から4連勝という形でレースを終えた一貴は「冬のテストの間から、噂ではかなり速いと聞いていました。実際にどういう差になるのかはスパで走ってみないと分からない状況だったのですけど、結果としては(プライベーターに対して)アドバンテージを持って戦えたという印象です」と語った。


 また可夢偉も「僕らのスピードがあまり変わっていないなか、スパに関しては予想よりも速くなかったですね」とコメント。


 しかし「ル・マン(のレースウイーク)になると『もっと速くなってくるんじゃないかな』というのが本音で、やっぱりル・マンに向けては気を許せない状態だと思います」とライバル陣営を警戒している様子だ。


 話題が今季のチーム体制に移ると注目の“大型ルーキー”フェルナンド・アロンソついて、ふたりから印象が語られた。


 まず、8号車トヨタTS050ハイブリッドをシェアすることとなった一貴は「皆さんが(アロンソに)どんな印象を持たれているかは、僕もなんとなく分かっているつもりですけど(笑)、すごくいい意味で、彼が入ってきてもチームの雰囲気は変わっていないです」とアロンソがチームに溶け込んでいることを明かした。


「すごくフランクに話をしますし、本当にF1での印象とはまったく違って、耐久レース用の彼のモードがあるんじゃないかなと。ただ、クルマに対する要求は感心するくらい高いですし、意見もはっきり言ってくれるので、チームメイトとしてはやりやすいし頼もしい存在です」

左から中嶋一貴、小林可夢偉、北澤茂久GRマーケティング部部長、小島正清GRモータースポーツ開発部部長


 一方の可夢偉はアロンソの意外な一面を発見したと言い、プレイステーションの『グランツーリスモ』と『ウイニングイレブン』の腕前が相当高いことを暴露。


「チームメイトのホセ-マリア・ロペスはゲームで世界大会に出るくらいのゲーマーなんですけど、その彼を秒殺K.O.ですよ」


「それも変態なんで、(グランツーリスモでは)ステアリングコントローラーではなく通常のコントローラーでABSなしやTCなしで走るんですよ。僕らは1周目の1コーナーで刺さってるくらい恐ろしく難しいのですけど、彼はゲーム屋さんですか? ってくらい上手いです」


「スパではトヨタのドライバースペースにプレイステーション4が持ち込まれましたが、実際のレース距離よりゲームの走行距離の方が長かったです(笑) 僕らがレースを戦ってる間にアンソニー(・デビッドソン)やフェルナンド、ロペスが競ってて、もう和気あいあいですよ」


 そんなスパでは予選後にペナルティを受けポールスタートから一転、1周れでのスタートを強いられた可夢偉。決勝での気持ちを問われると「やるしかない! 1周遅れでも勝つんだという気持ちでドライバー3人はもちろんエンジニア、メカニックもすごく努力して(優勝した7号車と僅差での2位)まで6時間でもって行けました」と振り返っている。


「正直なところ、あれ(予選の失格)がスパでよかったなというのが本音です。あれがル・マンだと1周遅れって3分になるわけで、結構厳しくなります。参戦台数も多いですしね。それに比べればスパでよかったなと」


 また、追い上げるなかで気持ちをコントロールしながら6時間を走りきれた点では「ル・マンに向けて、いい仕上がりになっているのかなと思います」と自信をのぞかせた。


 決勝レースのその後に起きた事件については「その裏で……表彰台に居なくて申し訳ございませんでした」と頭を下げた可夢偉。


「いろいろありまして、本当に遅刻したんですよ。ほんとに! (メディアの)皆さんがね“僕が怒った”っていうニュースを書くんですけども、怒ってません。本当に遅刻したんです」


「遅刻して(表彰台に)向かったらもう(セレモニーが始まっているので入っちゃ)ダメだと。もちろんレースなので勝ちたいのは当たり前なんですけど、個人的に表彰台に行けなかったのは残念だし、(チームに)迷惑をかけたと思っています」


「ただ、次のル・マンではどっちが一番かは分からないですけど(トヨタの)6人でしっかり表彰台に登りたいです。今回のスパでは、その本番前にひとつ話題作りをしたということで(笑)」と会場を沸かせた可夢偉と一貴の両名が挑む伝統のル・マン決戦は、6月3日(日)にテストデーが行われ、16(土)〜17日(日)にかけて24時間の決勝レースが開催される。


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